第2話【1番近い街は驚きだらけ】
「何だここは」
メキッシの大樹林のエリアにある、木造の7階建てのギルドハウス。
いつでも大騒ぎなギルドが物珍しく静かになっていた。
いや、それどころでは無い、所々に破損があったり、コケが生えていたりした。
「仕方ない、ギルドの倉庫にあるものをオレが保管しておくか、幸いストレージは使える」
ニヤニヤした顔になって、倉庫がある地下に手早く向かった。
「これは窃盗では無い、お宝の保護だ」
そう自分を弁護して、ギルド長が公布していたパスワードを使って開ける。
ギルドやユニオンには、専用の倉庫があり、パスワードさえ使えれば、入ることができる。
好きにものを出し入れができる。
自分が置いたものを自分アカウントのキャラ以外は取ると通告が来て……なんやかんやがある。
だが、それでいい。知らせたのなら知らせて、連絡をつきたい。
「それにしてもあ、まるで数十年経ったようだな」
落ち着いてくると、違和感に気づく。
「性別が変わってる、まさかあの時に押し間違えたのか」
あの時とは、姉貴に電話をかけられすぐさまエステのメニュー画面を閉じた時である。
「まあ、化粧箱を使えば元に戻せるな」
そう気楽にしていたのもつかの間。
「元々持っていた化粧箱の数は2個、デイリークエストの化粧箱はクリアしてないから貰えてない。つまり、オレはモテモテ爽やか青年フェイスができないってことかよ!……いや、ワンチャン、クエストを達成を報告すれば化粧箱貰えて元に戻れるかもしれん」
一瞬焦るがすぐさま冷静なる、簡単に戻るといいなと思う心がそこにはあった。
「次はユニオンのでも盗……保護しに行こう。ユニオンのお宝ぐへへ、ギルドのだけでもオレの所持金の10倍なんてもんじゃないし、激レアアイテムや貴重素材がわんさか、やっべーテンション上がってきた」
それにギルドに置くよりもユニオンに置いた方が安全で自宅以外にも多く置いて居る人が多い。
そして、ギルドを跡にユニオンへとワープする、ここもギルドと同様に数十年経ったようであった。
しかし、ここはギルドよりももっと破損したりして、崩壊したとも言える状態であった。
「まじで何があった?」
古代深聖水を装飾はシンプルながらもいくつものパターンで噴水をしているところでも、水が枯れ、僅かに面影があるとしか言えくなっていた。
「よっ、お前らは居てるんだな」
タイプZ、フォセェシリーズのゴーレムがユニオンの中央になっていた【
当然中も、朽ちていたがこれいつらは傷1つつかずに徘徊をしている。
ゴーレムにはタイプがあり、そのタイプに応じて大雑把な形が決まる、タイプZは巨人型、タイプYは人型、タイプAはドラゴン型で、シリーズは作った人やグルーブの総称であり、フォセェはオレが加入しているユニオンの中のゴーレム・ロボット作りに命燃やしているクラン【ロボポーズ】に所属している機械バカの中の天才と呼ばれる5人のグルーブ名である。
その人らが作ったゴーレムは上位ランカーでも手こずることがある程の実力がある。これらはその人らの傑作、そのゴーレムの腰と肩の程よく角張りながらも滑らかなボディラインがお気に入りだそうだ。
「元々、結構持っていたけど、こんだけあったら、ランキング1位取れるんじゃね」
倉庫から保護した様々なアイテムをストレージへ収容する、金額は桁が違い、国内、国外サーバーのトップと比べても余裕が出る程の金額が手持ちにあった。
「何だこれ」
ユニオンの倉庫の奥に人がズッポリ入れそうな不透明な箱があった。
開こうとアクセスする。そうすると、ID入力とパスワード入力画面が現れる。
「厳重なアイテムなんだな……ん?パスワードが違うって……【プログラミング】が使えるのか!あの使い道が特に分からない上、攻撃力が僅かとはいえダウンし、オフにできないっていうクソスキル」
ソースコードを見てみると、IDとパスワードが書かれており、コピーして入力する。
そうすると、箱の切れ目から霧が吹き出され、箱の形が隙間を作る、そこには人が全裸の状態が居た。
「ちょ?!なんで人がいるの!?」
慌てて目を瞑る。
中にいた人は、ゆっくりと目をあけ、
ゲームで高身長や低身長になる時、違和感を感じることがあるため、運営が気を利かせ、プレイ中はプレーヤーをキャラに最適化をしていた。
そのため、卓三は違和感がない、が、流石に長年ともにいる相棒の消失に違和感を僅かに感じる。けれどもすぐさま最適化し、違和感を既に感じることが出来なくなっていた、悲しいことに。
「これは不可抗力というもので、オレは故意では無い、だから警察には」
「マスター認証を行い下さい」
オレは昔、満員電車に乗っていた時の痴漢冤罪の行動になり、手を横に降る、その行為を意図もせずに一言で止める。
「ふぅ、助かったタイプY【
「マスター認証確認しました。なんなりとご自由お使いください」
人ではないと知り、ホッとする。さっきソースコードを確認した時にあった合言葉みたいな言葉を発する。あの時は「何だこれ?」と思っていたが、これのコードだったと知る。
オートマタが卓三の前に片膝を着き頭を下げる、これはオートマタを入力した時ある特定の動作だ。
この動作を卓三は経験したことがあり、すんなりと進めていく。
「オレの名は
「タイプYフォセェシリーズ、番号機【217】、了解しました、卓三様」
マスター認証を済ますと、名前登録と最初の命令をする。戦闘時はオートで戦ってくれて、1週間ぐらい経つと自分との相性をAIが判断し、性格や口調、戦闘スタイルなどが徐々に変更されていく。最初は仰々しい様子だが共に過ごしていくと幼なじみ風や高嶺の花風にもなれる。
本来のオートマタは姿や服装は前もって設定しているため、すぐさま認定が出来るが、これは初期段階もしくは開発段階のものであった。
「目のやり場が悩むから、とりあえずこれでも着て」
ストレージを開き、エンシェント装備を画面越しで渡す、それをすぐさまメニュー画面から装着する、一礼する。
名前の設定は後々からでも設定でき、変更も改名カードがあればいつでも変更出来る、
【
【
【
オレが渡した服は、見た目が一般的に目立たず大人しい服だ。
「保護は完了したけど、どこに行くべきか」
1人でそう悩む、そんな時
「街に行かれてはどうでしょうか?」
「そうだな、とりあえず1番近い街、ギリトリアに行くか」
ユニオンの所有している街には、そのユニオンに所属しているプレーヤーなら、自由に移動が可能なクリスタルがあり、それを使おうとする、ユニオンとギルドはこれで移動してきた。
「ん?一体全体何が起きてるんだ?ギルドとユニオンとクランしか移動出来なくなっている」
ユニオンとギルドとクラン以外にもよく移動する所があるからショートカットに登録していたが、マップを開くと移動不可となっていた。
「ここは久々にアレ出すか」
そう言いながら、軽いストレッチをした。
「召喚【
バイクを召喚し、ポンポンとサドル部分を叩く。
【
卓三の愛用のバイク
このバイクは昔、学生時代の時、「バイク乗れるオレ、カッコイイっしょ」、そう思ってカッコ良さ重視に制作したバイクで、今所属しているユニオンに所属するまで、近い距離間の移動などに使っていた。
ちなみに卓三にとって、ドヤ顔して髪型リーゼントにして襟足伸ばして一世代昔の不良、ヤンキー風になって(ゲームで)注目を浴びていたその時がある意味黒歴史である。
「さあ、乗れオレのドラテク見せてやるよ……足が届かない…そう言えば一定の身長以下は乗れないだった。武蔵はいつも竜に乗るわけだわ」
かっこよくスタイリッシュに乗ったものの、足をべダルに載せようしたが届かなかった。
それもそのはずだ、180cmのキャラ向けに制作したバイクが145cmのロリボディに合うわけがなかった。
キャラを切り替えたとしてもストレージにあるものは変わらない、そのため、武蔵はメインのキャラである武蔵の嫁の移動手段をいつも身長制限のない生物ライドにしていた。
これを機にオレも生物ライドを使おうかな。
【生物ライド】
IWOで乗り物を乗る時に機械類ではなく、生物類の総称。
特別な試験は必要がないが、乗りこなすのに騎乗スキルがいる。
身長制限がなく、【機械ライド】と違ってメンテナンスがない。エサは適当なエネミーや草でいいことが多いためお金を追加で掛けなくて使える。
【機械ライド】
IWOで機械の乗り物の総称。
【マシンの性能も姿も君次第!】とキャッチフレーズで多くの車オタやバイクオタを捕まえて一時期に(今でも)非公式に日本一大会を開いたこともあった。
キャッチフレーズの通り、NPCに設計図とお金を渡せば基礎のマシンができる、そしてそのマシンを様々な素材を集めてカスタマイズして徐々に能力をあげていく、世代交代は案外は大人しい。NPCじゃなくてもできるがさすが作る人が少ないのと料金がかかるので人は物珍しい。
マシンは身長制限があって、以上、以下がちょこちょこあってマシン制作する用の確認ポイントである。
「私が運転しましょうか?」
「ああ頼む」
酷く落ち込み、少女でありながらも、低いため息のような声で話す。
使い魔にも乗れるが、メニューから消えてと使えないな、家の方に預かっているのもあるから家に行けば、再アクセス出来るかもしれない。
オレのオートマタがヘルメットを被っていながらも長い髪を靡かせ、1番近い街までフルスピード400キロを出して一応整備されている道を通って街へと向かい、そしてつく。
「おかしい、ここはギリトリアじゃない」
確認のためマップを見てみる、けど、ギリトリアと表示され困惑した。
そして、道沿いに沿って街を散策した。
そして、喫茶店により、頭を抱きかかえて悩む。
よく見れば、オレが知っている店がちょこちょこあった。
中に入って見ると、設定が8歳ぐらいの子どもが先代店主として既に他界していた。
まるで、100年近く経ったようで、かなり都市化が進んでいた。
「はぁー」
「マスター、どうされましたか?」
「なんでもない、少し疲れているだけだ」
空を眺めて、野外展望の店で頼んだ紅茶を1口飲み、大きなため息を吐く。
これはつまりあれだ、ゲーム転生って奴だ。
もどりたいのが妥当だろうけど、このゲームで暮らしたいって気もあるしな、よくある話し、戻った時は全然時間が経ってないとかあるし、でも心配はさせたくないんだよな。
心に迷いが残りながら、刻一刻と時が経っていく。
「さて、寝床の確保しに行くぞ」
一段落思考にケリをつけて、店を出る。
最後に見た時と違って、巨大化したここギリトリアでホテルを探すの用意ではなかった。
そう思われたが、オートマタがバイクに乗っていた時にマップを記録して、適切なホテルを割り出してくれた。
「悪くないとは言おうとしたけど、ここまで豪華だとはおもわないわ」
回転ドアから中に入ると、無駄に広いロビーがあった。
足元にレッドカーペット、照明は幾つもの巨大なシャンデリア、床の素材に大理石、そしてパー、これらの要素は正しく
「金持ち御用達じゃねえか!?」
オレの声を聞いた1部のキャラから冷ややかな視線で見られる。その視線はまるで場違いな人を見るような目線である。このようになったのもおかしくはない。
手頃なビジネスホテルで1泊と思っていたにもかかわらず、超高級一流ホテルに来ていた。
「はぁ、来てしまったものは仕方ない。部屋は任せた。オレはちょっと待機ロビーで休んでくる」
「かしこまりました」
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