異世界孤児院は高待遇です〜ゲーム世界に転移してしまったけど孤児院作ったら戻る気失せました〜

秋霖 幽鬼

児童期

第1話【転移は突如?!】

 ✤✿✤✿✤


「どうやら1番さんが来たようだ」


「……」


 沈黙を保ったまま、共に桜の舞い降りる木をくぐり抜ける。


「さぁ、何が欲しいんだ?」


 ✤✿✤✿✤


「は〜、今日の仕事もかったるいわ。何だよ!あの上司、期限手前で仕様変更って、こっちの都合も考えろっての!昨日まで連続残業、今日は先方の方へ行ったってことで足疲れる」


 幸い今日は、そのまま帰っていいということで早めに上がることができた。といっても定時より遅いけど。

 仕事帰りにオレは、片手にビールを持ちながら、上司の愚痴を独り言で話していた。


「憂さ晴らしにIWOイヲでもガチるか。フレンドさんログしてんのかな?」


 そして家に着くと、オレは、頭部を覆うほどの大きさがあるヘルメットに、少しだけ被っているホコリを払って、装着する。


 インフィニティワールドオンライン

 通称IWO、イヲ

 ゲームにダイブ型のMMORPG

 発売から10年経った今でも、その熱は留まるどころを知らず、全世界で愛されているオンラインゲーム。


 無数のアップデートを経て、数10万を越す武器や防具、その全てを公式は掲載せず、ネットにその情報を熱心に残すプレーヤーは少ない。

 クリアできることが全て、そのため、攻略法などは自分やクラン、ギルド、ユニオンで隠し持っておくことが基本的になる。


 スキルは初期で獲得出来るスキルを暗記して全て言えれば、それは天才と言われ、上級スキルの会得情報をタダで教えてくれた人を神と崇める程のシークレットの具合になっていた。

 更には、その中から知る人ぞ知るスキル、通称【隠れスキル】、通常のスキルの獲得方法は条件達成でスキルポイントを使えば習得できる、これとは違い、条件達成のみで習得できる。有料情報サイトでもあまり出回ることはない、特別なスキルである。

 そのスキルは、異常なものが多く、中には、対人戦で上級ランカーに逆転できるものもあり、隠れスキルを得るために諭吉様を数人出す猛者もいる程の強さである。

 ただし、中にはデメリットしかないようなハズレの隠れスキルもある。



「きゃはは、また振られた。オンラインしてる全てのフレンド、述べ100名、全員に振られるオレ」


 様々なコンテンツがあり、これを飽きれば、別のやればいい。ギャンブルもあるし、料理も出来る。自分が作った料理を食べることも出来る。けど五感全て精密に再現されておらず、触覚と視覚のみリアルと変わらずに再現されいる。それでも、五感を使って大いに楽しめるぐらいにはあった。


 そして、長時間のログインを防ぐためにも、23時間を連続でプレイすると強制ログアウトし、1時間を再ログイン不可にする、その際に生体情報をスキャンして、再度プレーに支障がないようになるまで、ログインできないようにしているなどの予防策もある。

 こういうことがあると、効率よくできるのは1日15時間までになっていて、廃人スタイルは逆に効率が悪くなっていた。(自論)


「しゃあね、クラメン誘うか」


 ユニオンには平均的に数千人が所属していて最大1万人まで所属できる。

 その中には最大千人まで所属出来るギルドがいくつかある。

 更に百人まで所属可能なクラン、これらが枝分していて、合併分離などよくあり、それぞれに長と副長が数人あって、細かな部分まで管理をしてもらっている。

 クラン及びギルドは基本ユニオンに所属していて、ユニオン内でクランやギルドに入らなくても良いし、クランだけ、ギルドだけな人もいる。

 そして3ヶ月に1回来るイベント、領土争奪戦、ユニオンどうしがリアルタイム1週間掛けて、領土の奪い合いを行う、領土によって貰える特典、常時発動のパシップスキル、スキル獲得条件の中には特定の領土を所持する必要があるスキルもある。

 ギルドとクランはもっとスパンが短いし、被らないように設定されていて、休憩の時間もしっかりとある。


「おっ!やっぱりクラメンだわ。ギルメンなんて知ってる人少ないし、仲のいい奴もあんましいないしな」


 クランなどは目標や思考を設定でき、近い目的や趣味が合う人と出会えたりする。

 フレンドは強い人をフレンドにしたり、面白い人をフレンドにすることもあれば、特定のスキルの獲得情報欲しさに近寄る人も多い。

 そのため、フレントは作るだけ作って、一緒に遊ばないことが多い


「よっ、卓三」


 声の主はオレの名を呼び、注意を引きつける。


「おう、来たか。んじゃ行くか、デイリークエスト」


 声の主はオレの親友の武蔵、高校からの友達で、大学も同じ、それがいつしか、親友と呼べる関係になっていたのはどのタイミングなのかは分からない。


 クエストの量も果てしなく、終わりが見えなく全て終わらせようとするだけ無駄。


 インフィニティワールドオンラインはリアル世界で1秒経過に対して、2秒経過になっている。

 つまり、リアル世界が1日経つにの対して、ゲーム世界では2日経っている

 そういう事もあって、ログインしていると時、睡眠状態になり、脳への負荷も軽減される。


「あと何?聖水収集か?」


「そう、報酬キャンペーン中だから化粧箱落ちるんだわ、ちなオレカンスト」


 聖水をクエストの依頼人に渡せば、姿を変更出来る【化粧箱】が手に入る、普段は課金アイテムだが、期間中全てこなせば99個手に入りカンストが出来る。クエストによっては数時間掛かるクエストや敵地に潜入して行うクエストもあり、そうカンストが簡単にできるものではない。


「最近仕事超きついから、会社泊まりで5日ぶりのログインで全く手に入らんわ」


 そこで突然くだらないネタを思いつく。

 手に持っている2つしかない、化粧箱を使う。


「ほれどうだ?ちみの好きなゴスロリ、オレ様アレンジ、バレンタインデーの1日限定ガチャで出る確率0.0001パーセントの激レア限定コス」


 ガチャで強くなることができるが、本気で強くなろうと思えばクエストなどが一番である。だから、課金が全てでは無い。

 ガチャの価格は比較的に安価で、逆にそのせいで小さい課金で大きな額になることは孔明の罠と言っても差し支えない。現にオレもその中の一人だ。


 黒と白がベースでフリフリがたくさん着いている服に着替えていた。

 髪の色は武蔵の好きな銀色にし、フワフワでで肘まで届くような髪型にしていた。


「残念だったな。それは100連回した時に手に入る、チケットで交換可能、そして交換済み。見せてやろう!オレの嫁を!」


 春のボーナスをつぎ込んだバレガチャで、偶然当たった服を持っているとは、さすが、本キャラの嫁を世界一ゴスロリ選手権で世界一にさせた男だぜ。

 ヘンテコのポーズを取り、キャラを切り替えようとするオレの親友、武蔵。


「我が嫁よ。我が親友の痛く心にしみる呼び声に答え、顕現し刮目せよ、世界一のゴスロリをな!黒よりも黒き深淵から生まれ、太陽よりも鮮明な笑顔を見せる、かの降誕を願いたもう、その名は」


「長い」


「んじゃパパっとね」


 自分の嫁に愛情をつぎ込みすぎせいで、リアルでは嫁なし三十路1歩手前チェリーおっちゃん、「嫁のためなら労働ができる」が迷言の武蔵、いつか娘も作り出すかも。


「みよ、これが全世界ゴスロリコンテスト略してロリコン優勝者限定で運営との共同で世界に1つしないこれコスをみよ!」


「ま、眩しい、これが世界王者のパワー、53万なんて目じゃね!隠れスキル【性犯罪者予備軍】と【変態(M)】を持っているだけはある!」


【性犯罪者予備軍】

 一定の年齢以下のキャラに対して絶対回避をもち、与えるダメージを強制的に回復にする。

 オンとオフに切り替え可能。

【変態(M)】

 一回の戦闘で異性キャラの攻撃を最大5回までそのダメージを自身のHPとMPに変化する、発動は任意。

 一部の攻撃は不可。


 そして周りに、アイテム【光学カメラ】を持ち写真撮る人があっという間に集まった。


「ネットってやっぱ広がり早いわ、ガハハハ」


「とりあえず、切り替えていくぞ」


 そうして、俺たちは全サーバーエリアから所有している、【ビプリパンの滝つぼ】で聖水を取った。


「で、いつに戻す?その可愛さなら、オレの第3の嫁にしてやってもいいんだぜ」


「いや、性別変えてないからな」


 オレの言葉を聞き、衝撃を受ける。

 てか、第3ってことは第2の嫁があるのか。ハーレムかよ!羨ましいなオイ!てか一夫多妻制は普通に犯罪やろ、いや、まさか!?


「ゴスショタはゴスロリにあらず、オレとしたことが、不覚、くっ…殺せ!!!」


「女騎士になるなよ。そろそろ戻しておこうと思うしな」


 メニューを開いて化粧箱を使う、その時、電話がオレにかかる。

 そもそも、IWOをする機械は電話や出前の注文、ウェブサイトを見たりもできる。


「はいもしもし」


『バッキャロー!!』


「げ、姉貴、てことは親父が来てんの、ちょいまち」


 電話を受け取ると、オレのことを子どものころ、よくオレをいじっていた姉貴が電話の先にいた。

 姉貴は実家暮らしだが、投資家で、オレは姉貴の年収の足元もないぐらいしか稼いでいない。そもそもオレの年収(ボーナス込み)で姉貴の月収だし!


 多分オレがオンラインしている今、うちに来たけど、チャイム鳴らしても、来てないって状況。


『早くしなよ。今日あんたの誕生日たがら、みんなでいい感じのレストランに誕生日パーティしに行くのよ』


「わかった。すぐ落ちるわ」


 電話を切って急いで、ログアウトをしようとする。

 そこで、手が突然止まる。


「ログアウトボタンがない、問い合わせボタンもない。武蔵そっちは、って」


 周りを振り向いても武蔵がいない、リストを確認しても何も表示されない、怪しく思い、フレンドリストを見ても誰もログインしていない。

 フレンドを超えた関係のプレーヤーとなる親友リストを確認してもいない、そう思った時副ギルド長がいた。

 連絡を取ろうと思い、チャットをしようと思ってタップしようとしたら、突然、焼かれたように親友リストが消え去った。

 それに続くように、フレンドリスト、全世界チャット画面、などが消え、使える機能が限られたものになっていた。


「さっきチラッと見えた居場所だけど、ギルドハウスか、唯一の手掛かりはそれしかない」


 そうやって、テレポートでそこへと向かう。

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