第19話 16歳の妹が甘えてきた

山本「ひとつ歳の離れた妹が僕にはいる。名前は、沙織。引きこもりを3年間続けていた。妹も人間なのだから、ご飯、トイレ、お風呂、気晴らしに家から出ていたに違いない。そういう意味で僕が遭遇していなかっただけ、とも言える。歳は16歳。13歳の頃の面影は少しあるが、3年見ないうちに超可愛くなった。沙織は、ご飯を食べ終わると、部屋の出入りを普通にするようになった。脱・引きこもりに成功したようだ。なんとも嬉しい。佐藤さんがお風呂に入ると、ドアがゆっくりと開いて、妹が部屋にやってきた。黙って入ってくるなり、ペタン。と、僕のベッドの上で女の子座りをしている)」


沙織「ぉ、ぉ兄ちゃん?」


山本「な、なんだ! 突然甘えた声出して!」


沙織「ぁ、ぁ、ぁのぉ?」


山本「だから、なんだよ?」


沙織「3年ぶり」


山本「お前な、メールくらい返せよ! 心配してたんだからなっ!」


沙織「ご、ごめん!」


山本「そんな、落ち込むなよっ! で、何しに来た?」


沙織「ぇぇっと。3年ぶりに、あれぇ」


山本「なにっ?」


沙織「お兄ちゃんってさ、今朝、妹系ラブコメがなんとかって言ってたよね? そう言うのも好きなの?」


山本「よく聞いてくれた! エロ本先生って作品を知ってるか? 電マ文庫から出版されている超人気シリーズ・エロ本先生! 近年の妹系アニメの代表作と言える作品だ。僕の守備範囲は広い! 異世界からラブコメ、学園、日常、妹系まで全てのアニメ・ライトノベルを愛している。その中でも妹系は読んでいて胸がキューッと締め付けられるんだよ。なんと言っても、多種多様な妹が可愛い。お兄ちゃんの不甲斐なさを無性の愛で包む妹、お兄ちゃんのエリートぶりに憧れる妹、ヤンデレからツンデレまで、どの妹も魅力に溢れている。そして、僕が導く一つの答えは、これだ! 妹さえいれば、この世界は素晴らしいのだ!」


 ヒューン!


山本「イテッ!!! 僕を殺す気かっ! フィギュアを投げるな。大切なコレクションだぞ」


沙織「ご、ごめん。ちょっと妹の立場である私としては、お兄ちゃんって、正直キモイッッ!!!」


山本「っで。そのキモイ兄の部屋に、わざわざ何しに来たんだ?」


沙織「その作品の中の妹ってさ、お兄ちゃんとお風呂一緒に入ったりしたり、するの?」


山本「作品によっては、それもある」


沙織「そ、そ、そ、そ、そ、そっかぁぁぁ。良かったぁ」


山本「良かった? 何が?」


沙織「……ぇぇっと、私とお兄ちゃんって、会うのが3年ぶりな訳だしぃ」


山本「それで?」


沙織「3年前みたいに、……ぉ、ぉ、ぉ、ぉ、ぉ、ぉ風呂。一緒に入らなぃ?」








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