第15話 クラス委員長の高橋さんの生着替え

男子「(クラスには優等生、劣等生、ぼっち、ギャル、オタクといるが、そんな誰もが皆、裏と表を持って生きている。そして、そんな裏と表に関係なく、ここでは皆が一様に制服からスク水に着替える。2クラスが合同で体育の授業をするので、1クラスに女子が15名。2クラス合わせて、30名の女子がつい先ほど、この女子更衣室で制服と下着を脱ぎ、水を弾く紺色のスク水に着替えたことになる。僕はちょっとした事でも感じやすい多感な時期を生きるお年頃だ。この部屋に充満するとてつもなくいい香りが、鼻から入ってきて体の全細胞へと染み渡る。甘い蜜のような香り。それを発するのが女子高生だと思う。天使、女神、妖精、まさに彼女たちはそういう存在だ」


幼馴染「大変大変ー! 忘れ物っ忘れ物っー! ぁぁあああっまだいたの? ここ気に入ったんだ。良かったね! てか着替えてない子がいたみたいで、すぐそこまで来てるよ! バレたら、山本君は確実に死ぬねー!」


男子「嘘っ! 来ちゃう! 来ちゃうの? それマジッヤバから!」


幼馴染「バカっ! 隠れるしかないでしょ!」


男子「(物凄い勢いで、掃除道具入れに押し込まれた。1人の女子が更衣室に入ってきた。隙間から薄らと見える姿を確認する。クラス委員長の高橋琴乃さんだ。っておい……どうした? どこへ行く? おーい! 佐々木楓様ー! 僕を1人にしないでくださいよー! あろうことか、幼馴染が僕を見捨てて更衣室から出て行った。唖然としている。もはや心ある人間とは思えない。結論から言うと、僕は女子更衣室で掃除道具入れの中にいて、黒髪の委員長である高橋琴乃さんと2人きりになってしまった。これは言い逃れのできない事実である。多分彼女は極度の恥ずかしがり屋で、他の子と着替えのタイミングを少しずらしていたのだろう。高橋さんがボタンを外し制服を脱ぎ始めた。薄い赤ピンクの下着が見えた。少し情熱的な色だ。ドキッとする)」


委員長「誰? 誰かいるの?」


男子「(いませんっ。下着姿でうろうろしないでください)」


委員長「やっぱり、誰かいる。そんな気がする」


男子「(マジ気のせいっす! テンパって口調が変わってきたっす)」


委員長「……気のせいかしら。あぁぁぁ!! もう〜誰かしら、こんなところにゴミを散らかしたのは。共有スペースは、使う前よりも、綺麗にするのが常識ですよ」


男子「(嘘でしょ! イヤそのスポーツマンシップ的な精神は、すごく尊敬してます。いつも放課後、最後まで残って掃除してくださりありがとうございます。皆は気づいてなくても、僕は知ってますよ! あなたが綺麗好きなことを! でもよく考えてください! 掃除っていつするの? 今じゃないでしょ!!!!! ちょ、ちょっ――!)」


 ガチャ(掃除道具入れが、開く音)



男性「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



 ガチャ(掃除道具入れが、閉まる音)


委員長「だ、だ、だ、黙っててあげてもいいの。そ、そ、そのかわり、条件があるわ。わ、わ、わ、私ね、小学校からずっとクラス委員長なんてやってるから、真面目そうってよく言われるんだけど。じ、じ、じ、じ、実はね。す、す、す、す、すごく性に興味があるの。この年なら普通だよね。山本君は女の子の着替えを覗くために命懸けで女子更衣室の掃除道具入れに隠れるほどの人だから分かってくれると思うけど。……そんな山本君にだから、今から出す交換条件をのんで欲しいの」


 ガチャ(掃除道具入れが、開く音)


男子「(薄い赤ピンクのブラジャーがさきほどより、積極的にアピールしてくる。こんなの公開処刑だ。まるで刀を首元に突きつけられたような感覚。逃げ場はなかった。どんな交換条件だろうと、その条件に助けられるのだ。ありがたく思うしかない)」



委員長「わ、わ、わ、わ、わ、わ、わ、わ、私の――セフレになりなさいっ。そ、そ、そ、そ、そしたら、このことは先生にも皆んなにも黙っててあげる。断ったら先生に突き出すわ」



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