第10話 ポンコツ転校生とお風呂上がりのfight!
男子「(僕の部屋で一緒に暮らすことが決まった佐藤さんは、生活に困らない程度に、物を買い揃え、初めての山本家での夕食を食べ終えた。そして今、佐藤さんは、お風呂に入っている。僕は自分の部屋で、あっちに座ったり、こっちに座ったりと、佐藤さんの私物が部屋の隅に置かれているだけで、まるで女子の部屋にいる気がし、そわそわしている。少しでも心を落ち着かせるために、格ゲーを開始。そこへ『あぁいい湯でしたぁ』と、佐藤さんが体にバスタオルを巻いて、髪の毛を拭きながら入ってきた。当然行くところがないので、ここに戻ってくるわけだが。実際にお風呂上がりの佐藤さんは、僕のちっぽけな想像の世界を遥かに超えていた。水を弾くその素肌! タオルからはみ出た生乳に生足。女神様ですかっ! いかん、いかん! 集中集中ゲームに集中! 僕は男という下心を捨てた身だ。さあゲームをしよう!」
女子「あぁまたゲームしてたんだぁ。せっかくだし、私と格ゲーごっこしようぉ」
男子「っ! 今、なんとおっしゃいました?」
女子「格ゲーごっこって言ったよぉ」
男子「格ゲーごっこ? 格ゲー好きにはたまらない響き。やったことはないが、確実にそれは楽しいと断言出来る。なんて素晴らしいお誘いだ。オッケイ、オッケイ! そういう誘いは歓迎するよ。パンチ、キックは全部寸止めっ! 当てないこと! 3ポイントを先に取ったら勝ち!」
女子「いいょぉ。よーし、じゃ行くよぉ。――fight! 手加減はいりませんよぉ、泣き言はなしですよぉ!」
男子「全力で行くぞぉ! おりゃぁぁぁぁああ!!! ――今の気合の叫びで、1ポイントゲット!」
女子「何それ、ずるいぃ」
男子「ここからは、佐藤さんとの間合いが勝負の決め手になる。距離を取りつつ攻撃あるのみ! いまだっ! ストレートパンチ!」
女子「来たなぁ! これをよければ。よしっ、上手くいった。ひざのバネを使って、ヤッッ!」
男子「アッパーかっ、想定内だ!! えっ……。(その瞬間、佐藤さんのパスタオルが宙を舞った。そうして僕は、彼女がお風呂上がりだったことを再認識する。すかさず両手で目を塞ぐ。ふわっとしたパンチが3回、腹に入った)」
女子「――WINNER、リン! 初心者だからってなめないでよぉ。勝利の決めポーズッ!」
男子「格ゲーにおいて、勝利ポーズは最大の見せ場。ここだけは、見せてもらうぞ!」
女子「今日は、これで許してあげるねぇっ!」
男子「(裸でウインクされてしまった。ありがとうございます!)真の脱衣KOで、目を閉じる。まさに格ゲーの面白さは、一瞬で勝敗が決まること。そして白黒はっきりしていることが素晴らしい。僕は、言い訳をしない。完敗です。……で、服は着てくれましたか?」
女子「お風呂上がり、裸じゃダメかなぁ?」
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