18:51 図書室

 ディミ子ちゃんとアリスは、クラスも部活も委員会も違っていて、接点らしい接点はない。でも、最近になってそんな彼女たちが、放課後の図書室でよく顔を合わせるようになったらしい。

 図書委員で、部活には所属していなかったディミ子ちゃんは、他のサボり気味の委員の代わりに毎日下校時刻まで図書室を開けて、貸し出し受付の仕事をしていた。

 といっても、テスト期間前でもなければ部活時間に図書室に来るような生徒なんてほとんどいないから、そこは実質ディミ子ちゃんが一人で――隠れて紅茶なんかを飲みながら――読書をするだけの場所だった。

 そんな、ディミ子ちゃんにとっての至福の読書空間だった放課後の図書室に、今年の夏休み過ぎごろから、アリスがよく現れるようになったらしい。


「彼女は別に本を読んだり、勉強をしたりするわけでもなく……ただそこの窓際の席に座って、うつ伏せになっているだけでした」

 ディミ子ちゃんが指さしたのは、図書室の奥まったところにある、左右に仕切りがついた一人席のうちの一つだった。私の学校だと、主に試験勉強とか宿題をする生徒が、同じような席をよく使っているような印象がある。

 アリスは放課後、しばらくするとぶらりとその席にやってきて、うつ伏せになる。そして、一時間とかそのくらい眠ったあとで、またぶらりと何も言わずに帰ってしまうのだそうだ。


「私は哀田アリスとは会話をしたことはありませんでしたが……しかし、彼女が自分と同じような孤独を愛する性質を持っていることは、薄々気づいていました。

 廊下ですれ違ったとき……。カフェテリアの隅の席で一人で昼食を食べているのを見たとき……。それに、図書室で寝たふりをしている彼女の背中からも……。

 彼女はいつも、その内側からほとばしるほどの孤独の気配を振りまいていたように思います。それは決してネガティブな意味ではなく、彼女の一部を形作っている、ある種の個性のようなものだったのでしょう。私はそんな彼女に勝手に親近感を持ち、言葉をかわしたこともない彼女のことを、心の中で一方的に友人のように思っていました。

 ……彼女が悪質なイジメを受けているということも、そのときの私は人づてに聞いていました。だから彼女が毎日のように放課後図書室に来ていたのが、もしかしたらそんなイジメから逃げるためだったのかもしれないということも、考えていました。彼女はこの図書室に……この私に、助けを求めていたのかもしれないと……」


 多分アリスは、静海たちと鉢合わせしないように図書室で時間を潰していたのだろう。放課後になったら、クラスが違う静海たちが自分をイジメにやってくるかもしれない。帰宅部のアリスが帰ろうとするのを、校門で待ち伏せされてしまうかもしれない。だから、図書室の奥に隠れて寝たふりをして、静海たちが部活に行ったり帰ってしまうのを待っていたんだ。

 ただ……その逃げ場所として図書室を選んだことには、ディミ子ちゃん本人が言うような気持ちもなかったとは言い切れないけれど。


 しばらく無言で、表情に暗い陰を落としていたディミ子ちゃん。やがて、また何かを決意したように真顔になって、言った。

「私の罪は……そんな彼女に手を差し伸べなかったこと。彼女の苦しみを知っていたはずなのに、臆病にも、彼女に声をかける勇気を出せなかったことのようです」

「……」

「毎日のように図書室にやってくる彼女に、何か一言でも話しかけてあげることが出来たなら……。同じ性質を持つ者として、ほんの少しでも彼女の苦しみを背負ってあげる勇気があったなら……味方のいなかった彼女にとっては、それだけでも救いになったかもしれないのに。

 私は、うつ伏せになっていた彼女の背中を見つめていることしかできなかった。助けを求めている彼女を前にして動くことが出来ず、一歩を踏み出す勇気がなかった。それが、私の『臆病者』の罪なのでしょう」


 え……?

 それ、だけ……?


 それは、ディミ子ちゃんの話を聞いて率直に感じた私の感想だった。


 例えば静海は、アリスのことをイジメていたという明らかな罪がある。それに多分、いつも静海にくっついている千衣も、本性を隠していた『偽善者』の土岐先生も、同じようなものだ。

 でも。

 今聞いたディミ子ちゃんの罪は、それらと比べるとちょっと軽すぎる気がする。

 図書室で二人きりのときに、アリスに声をかけてあげなかったこと。

 ディミ子ちゃんが『臆病者』という『肩書』を与えられてこの世界にいる意味は、本当にそんなことなんだろうか? そんなことが、静海のイジメと同程度に扱われるようなことなんだろうか……?


 そんな私の気持ちを悟ったのか、ディミ子ちゃんは、

「あまり、納得がいっていなそうですね?」

 と微笑んでみせた。

「い、いや……そんなことは、ないけど」

「私の罪が、軽すぎると感じましたか? 私がまだ、何かを隠しているのではないかと?」

「う……」

 思っている通りのことを言われて、言葉に詰まってしまう。

「まあ、無理もありません。私たちは、嘘をつこうと思えばいくらでもつくことが出来るのですから。言葉だけで信用しろと言われても、難しいでしょう。

 それに実際のところ……私自身にも、自分の罪がなんなのかを正確に分かっているとは言えないのです」

「そ、そうなの?」

「はい」

 ディミ子ちゃんはうなづいて、その意味を説明した。

「現在の私たちに与えられている確かな情報は、目覚めたときに自分の懐に入っていたカードくらいのものだと思います。だから、そこに書かれていた不名誉な『肩書』から、各自が勝手に自分たちの罪を想像しているだけなのです。

 例えば不破さんは、自分の『独裁者』という『肩書』が、『この学校で誰も逆らうことのできない独裁者として哀田アリスをイジメていた罪』に由来すると考えたようです。そして私も、自分が持っている『臆病者』というカードの『肩書』を、『勇気がなくて哀田アリスに話しかけることが出来なかった罪』に結びつけて先ほど飯倉さんにお話ししました。土岐先生の『偽善者』はもはや自明として……『卑怯者』の鶴井さんについても、鶴井さん本人が『卑怯者って呼ばれても仕方ないようなことはしたかもね』というようなことを言っていたと記憶しています。

 まあ……唯一『嘘つき』のカードを持っている大神先輩だけは、かたくなに『自分は哀田アリスに罪なんてない』と主張しているようですが……。彼女の持っているカードの『肩書』が『嘘つき』であることを考えると、それは話半分に聞いておいたほうがいいかもしれません。そもそも彼女は『嘘つき』の能力のせいで、私たちとほとんど会話らしい会話をしてくれないのですけれどね……」

「そう、なんだ……」


 まあ、大神先輩が『自分がアリスにしてしまった罪』を言いたくないのだとしても、それは普通の感情だろう。

 だってこの世界は、一応今のところは、アリスを最も追い詰めた『犯人』を殺すことが目的ってことになってるんだ。しかも、『犯人』としてちょっとでも怪しいと思った人間を問答無用で殺そうとしている静海もいる。そんな状況じゃあ、下手なことを言って『犯人』と思われたくないと考えるのは自然だ。少し気になったけど、大神先輩のことについてはスルーした。


「とにかく一つだけ確かなことは……罪の軽重、すなわち哀田アリスにとって私たちの行為がどれだけつらく、憎むべき行為だったかということを本当に知っているのは、当人の哀田アリスだけ、ということではないでしょうか?

 飯倉さんから見ればそれほど重い罪とは思えない行為が、哀田アリス本人にとっては、イジメの首謀者の不破さんと並ぶほどつらい仕打ちであった、ということは十分に考えられることです。それを私たちがこの場で論じても、結論は出せないと思いますよ?」

「だから、私がディミ子ちゃんと他の人と比べて『罪が軽すぎる』とか言っても、『そんなこと、こっちだって知らないよ』ってわけ……ね」

「まあ、おおざっぱに言えば、そのような結論になるかと思います」

「なるほどね……」

 そんな、開き直りとも聞こえるようなことをディミ子ちゃんは私に言った。


 でも……私の疑惑を生むことは彼女だって分かっていただろうに、そういう自分が不利になるようなことをちゃんと話してくれた彼女の態度には、いくらかの誠実さを感じた。やっぱり彼女は、静海や土岐先生たちとは違うのかもしれない。

 彼女と今後も議論を重ねることは、私をこの世界の本当の意味へと近づけてくれるような気がした。


 だから私は、彼女にさらに尋ねてみたくなった。

「ねえ、ディミ子ちゃん……」

「はい、なんでしょうか?」

「あなたは本当に……この世界が、アリスが誰かに復讐をするために作った世界だって、そう思っているの? ディミ子ちゃんの知っているアリスは、そんなことをする子なの?」

「……」

 ディミ子ちゃんは、少しだけ顔をうつむかせる。角度的に彼女の表情が分かりづらくなる。でも、わずかに見えた彼女の顔はいつもよりも口角が上がっていて、まるで微笑んでいるようだった。

 私は、さらに続けようとする。

「本当はディミ子ちゃんだって、アリスのことを……」

「私は、」

 でも、ディミ子ちゃんは顔を上げて、私の言葉を遮った。

「今の自分たちに見えている情報を鑑みて、妥当だと思える行動をとっているだけです。少なくとも現時点では私たちが持っているカードの内容は、この世界が哀田アリスの復讐に由来していると判断するに十分であると思えます。他に新しい情報がない以上は、それを信じるしかないと思います」

 彼女はもう、いつもの感情の分かりづらい冷静な表情に戻っていた。

「……」

 その言葉も表情も、少しもおかしなところはない。今のディミ子ちゃんは本当に、心の底からこの世界のことを「アリスが自分たちに復讐する世界」だと信じているように見える。でも……そう答える前にちょっとだけ見せた彼女の微笑みには、それとは別の感情が含まれていた気がする。

 あのときの彼女は、私がアリスのことを「復讐なんてしない優しい子」だって思っているのが、嬉しいって感じているようだった。彼女もどこかで「優しいアリス」のことを信じていて、私が同じ考えだってことに喜んでいるように見えた。

 やっぱり、彼女は……。



「あ、情報……新しい情報なら、あるかもしれないよ?」

 そこで私は、思い出した。

「何でしょうか?」

「静海だよ」

「不破さん、ですか?」

 それは、私がこの図書室に最初にやってきて、静海につかみかかったときのことだった。

 彼女が「自分はアリスをイジメていた」と言って、そのことで私は頭に血が上って、居ても立っても居られなくなって彼女に手を出してしまっていた。でも、思い出してみるとあのとき、静海は他にもっと気になることを言っていた。

「静海はここで私に、『自分はアリスをイジメていた』……でも、『自分は犯人じゃない』って言ってたよね? それっておかしくない?」

「……つまり?」

「ここがもしも本当に、アリスの復讐の世界なんだとしたら。そしてディミ子ちゃんたちが、復讐の候補として集められた罪人なんだとしたら。静海がアリスの死に一番責任がある人物……『犯人』じゃないなんて、そんなわけないじゃん? 誰がどう考えたって、一番『犯人』っぽいのは静海でしょ?

 というか、今私たちが持っている情報だけで、誰かのことを『犯人じゃない』なんてことを言えること自体がおかしいんだよ」

「ええ、そうですね」

「本当なら、誰がどう考えたって静海は『犯人』の最有力候補で、それは静海本人だって分かっているはず。それなのに、あいつは自分のことを『犯人じゃない』って断言してる。そのことを、確信しているみたいだった。それってもしかして……」

「不破さんは、私たちの知らない情報を知っているのかもしれない……」

 言おうとしたことを先に言われてしまって、私は「う、うん……」と口ごもってしまう。

 でも、すぐに続きを言って、話の主導権を取り戻そうとする。

「だ、だからさ……その静海が持っているかもしれない情報を私たちも知ることが出来れば、他にも『犯人』候補じゃない人が分かるかもしれないよね? それどころか私たちが今考えているのとは全然違う答えにたどり着けるかもしれない。もしかしたら、ここが『アリスの復讐の世界』じゃないっていう可能性だって……」

「しかし、ですね」

 でも、そのことはディミ子ちゃんもすでに気づいていたみたいだ。彼女は少しも考えるような仕草もなく、私に反論した。

 そして会話の主導権も、結局ディミ子ちゃんに取られてしまった。


「飯倉さんが言うように、不破さんが『自分は犯人ではない』と断言しているという事実は、とても興味深いことではあると思います。私も、それは少し気になっていました。

 ただ、それがこの世界の解釈を変更する材料になるかというと、それは少し疑問です。なぜならば……不破さんは哀田アリスの復讐や『犯人』の存在自体は、疑ってはいないようでしたから」

「あ……」

「彼女は、『自分は犯人ではない。犯人は他にいる』と言いませんでしたか? さらには、不破さんは飯倉さんと最初に会ったときに、彼女の『独裁者』の能力でその場の全員を皆殺しにしようとしてましたよね? あのときも彼女は、『哀田アリスの死に責任がある犯人を殺害すれば、自分は元の世界に戻れる』と信じているような言動をしていたように思います。

 ですから、彼女は確かに何か自分が『犯人』ではないと確信するような、私たちが知らない情報を持っているのかもしれませんが……それは、『この世界が哀田アリスの復讐を目的としている』ということを否定するものではないと想像できるのです」

「そ、そっ……か」

「もちろん、不破さんがハッタリや勘違い、あるいは何も考えずに、あのようなことを口走っているという可能性もなくはないですが……。

 しかし、私が知っている不破さんの性格から判断するに、その可能性は低いと思います。彼女はああ見えて、実はなかなかに頭の切れる人なのです。一見すると考えなしに行動しているように見えますが……その裏では、十分な計算と打算を済ませて、自分のメリットを確保してからでないと動かない人だと私は考えています。

 そんな彼女が『自分は犯人ではない』と言ったからには、何かそう思えるような確固たる証拠があると考えるほうが、よいかと思います」

「うん……」


 正直、静海が頭が切れる、っていうくだりは全然信じられなかったけど……。でも、あいつが『アリスの死に責任がある犯人』の存在を信じたうえで、『自分は犯人じゃない』って言っていることには、反論する余地はない。

 だとしたら、あいつが持っているかもしれないっていう情報をどうにかして私が聞き出すことが出来たとしても、私の望むような結論にはならないのだろう。


「じゃ、じゃあ……大神先輩は? 『嘘つき』の、大神先輩はどう⁉」

 私は、少しヤケクソになっていた。とにかく何か言って、ディミ子ちゃんにこの世界が「アリスの復讐」が目的じゃないって思って欲しかった。この世界にいる人たちの中で唯一分かり合えそうな彼女に、自分の味方になって欲しかったんだ。

「ディ、ディミ子ちゃんたちの『肩書』って、基本的にみんな最後に『しゃ』って字がつくじゃない? 『独裁者どくさいしゃ』、『卑怯者ひきょうもの』、『偽善者ぎぜんしゃ』、『臆病者おくびょうもの』……音読みと訓読みの違いはあるけど、みんな『しゃ』か『もの』で終わるよね? でも、大神先輩の『嘘つき』だけは、そのルールから外れてる。一人だけ、仲間外れなんだよっ! 私、それがずっと気になってたんだよね!

 しかも今聞いたら、大神先輩は『嘘つき』に対応するようなアリスへの罪はない、なんて言ってるわけでしょ? もしかしてそれって……『嘘つき』のカード自体が真っ赤な偽物で、大神先輩が私たちを何か騙そうとしてるってことなんじゃない⁉ つまり、この世界がアリスが作った世界っていうのは、大神先輩がついている『嘘』とかで……」

「それは、どうでしょうか?」

「え?」

「確かに、現在私たちの知っているカードの『肩書』を考えると……不破さんの『独裁者』、鶴井さんの『卑怯者』、土岐先生の『偽善者』、それから私が持っているカードの『臆病者』と……飯倉さんがこの学校に来る前に不破さんが殺害してしまったという白石琴乃さんのカードは、『怠け者』だったそうです。

 飯倉さんが言う通り、現状では大神先輩が持っている『嘘つき』のカードの『肩書』だけが、『者』がつかないと言うことは出来るかと思います。ですが……それは単純に、『嘘をつく者』という意味の一般的な用語がなかったから、というだけではないでしょうか? 例えば偽証者とか欺瞞者のように、『者』のつく言葉を無理やり探して当てはめることは出来るかもしれませんが……そうなったら今度は、『偽証者だけが一般的な言葉ではないから仲間外れだ』という理屈で、大神先輩を疑うことができてしまうのではないですか? それでは結局、『嘘つき』に『者』が付かないことに意味がないと言っているのと同じだと思います。

 そもそも本当に大神先輩が嘘をついているなら、最初から『仲間外れのカードを持っているから怪しい』なんて思われないようなカードを作っていると思いませんか? 『嘘つき』という偽物を作ることができるなら、そうすることも容易いはずです。そうしていないということは、大神先輩も私たちと同じように、哀田アリスから『嘘つき』のカードを与えられただけの立場だと考えられるのではないでしょうか?」

「そっか……そう、だね」

 勢いで言った私の言葉は、あっという間に論破されてしまった。


 あまりにも考えなしに話してしまってちょっと恥ずかしくなっていた私を慰めるように、ディミ子ちゃんは静かに続けた。

「正直に言えば……私も、『それら』を信じることが出来たならどれだけいいかと思います」

「え? 『それら』、って?」

「さっき飯倉さんが言ったように……誰かがこの世界の意味を覆すような情報を持っているとか……誰かがついた嘘で、私たちがこの世界の意味を誤認させられているとか……」

 彼女はまた、さっき一瞬見えたときの微笑みになる。

「この世界が、哀田アリスが自分たちを断罪するために作り出した『復讐の世界』ではない。自分たちは、哀田アリスに恨みを持たれてはいない……なんて。私もそんな風に思うことが出来たなら、どれだけ嬉しいか……。

 でも、私は土岐先生よりは嘘が上手ではないようです。『肩書』や、カードに書かれた文面、そして集められたメンバー。それらの現状の情報を考慮するとやはり……哀田アリスが私たちに憎しみを持ってこの世界を作ったということを、認めざるを得ないと思ってしまいます。

 それがどう考えても動かしがたい事実だと思えてしまって……他人はもちろん、自分の心をだます嘘をつくことができないのです」

「ディミ子ちゃん……」

 そこで私は気づいた。

 彼女の「優しいアリス」を信じる微笑みに、わずかに悲しさも混じっていることに。何かを諦めてしまったような、深い悲しさが。


「誰でもつらい思いをすれば、それを復讐をしたいと思うのは当然です。哀田アリスだって、例外じゃない。彼女は聖女なんかではなく、感情を持った一人の人間なのですから……。

 だから私は、彼女のそんな気持ちを受け止めて……彼女の遺志を叶えてあげることこそが、この世界で私に与えられた使命だと考えているのです」

 そう言って、ディミ子ちゃんはテーブルの上の紅茶のカップを口元へと運んだ。


 彼女のその言葉が深く心に残って、私は体が硬直したかのように、その場をしばらく動けなかった。

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