後日譚「その後の酷幻想」

第301話「後録、佐渡タケルの大後宮(随時書き加えていきます)」

 タケルの後宮のメンバーと、その後です(その子供達も含めて)。


――上位後宮会議十三席


 第一位 シレジエ王国 女王 シルエット陛下


 ストロベリーブロンドの小さなお姫様。ハーフエルフのためか、かなり容姿は整って美しい。

 シレジエ王国第十七代国王ガイウス・シレジエ・アルバートの庶子で、かつてはシルエット(影絵)などと呼ばれて、養育された日陰者であった。

 騎士団長ゲイルのクーデターのあと、シレジエ王国内で建国王の血を継ぐ最後の生き残りとなり、王国摂政となった勇者タケルによってシレジエ王国の女王として擁立される。

 偉大なる女王として、シレジエ王国の最盛期を築くこととなる。


 のちにシルエットはタケルと結婚し、その間に長女リュミエールが生まれる。

 金髪の柔らかい髪にペールオレンジの肌、エルフの血が混じっているのでかなりの美貌を持つリュミエールは、中興の祖となったシルエット女王を継いで、シレジエ王国の次期女王となる。


 その後、シルエットはリュミエールに続いて十二人(三男、八女)もの子宝に恵まれた。

 シルエットとの子供達は、光の女王と呼ばれたリュミエールを補佐し、シレジエ王国の各界重鎮として活躍する。

 シレジエ王国の王都は花の都と呼ばれ、末永く世界最大の王国として栄華を誇った。


 第二位 トランシュバニア公国 公女 カロリーン殿下


 亜麻色の長い髪で、当時としては珍しいメガネをかけている。

 かなりの愛国者で、真面目で考え方がしっかりしている女性であった。

 遠い親戚筋に当たる同じ王族であるためか、シルエット姫とたいへん仲がよかった。

 勇者佐渡タケルと結婚して、父ヴァルラム公王より、トランシュバニア公王の座を引き継ぐこととなる。


 タケルとの子に長男のマウリッツ。

 マウリッツは、産まれた時からどっしりとした大柄で泰然自若としており、やたら威厳のある立派な若者として成長し、早期に引退したカロリーンより公王を継承した。


 その後、マウリッツに続いて四人(二男、二女)の子に恵まれる。

 皆、若くしてカロリーンより公王を引き継いだマウリッツを支えて公国に尽くした。

 海外交易に適した土地柄であったトランシュバニア公国は、厳格王とも呼ばれた公王マウリッツの先進的な国家経営により、繁栄の一途を辿ることとなる。


 第三位 ランクト公国 公姫 エレオノラ殿下 


 綺羅びやかな真紅の炎の鎧に身を包んだ、金髪碧眼の姫騎士エレオノラは、人呼んで『ランクトの戦乙女』。

 そうとうな跳ねっ返り公姫として有名であった。

 勇者佐渡タケルとの出会いは戦場で、当時は敵同士であった。

 シレジエ王国がゲルマニア帝国との戦いに勝利すると、諸侯連合は帝国より独立。

 その中心国家であるランクト公国も、シレジエ王国の友好国となり、紆余曲折を経てタケルと結婚することとなった。


 タケルとの子供に、男子のタイクンが生まれる。

 金髪碧眼で宝石のように輝かしい赤ん坊であった。

 アムマイン家は美形の家系であるためか、かなりの美男子に成長。

 祖父のエメハルト公爵が何かというと大陸一の財力で甘やかそうとするところを、エレオノラの時のような育成失敗をさせないようにと躍起になった執事騎士セネシャルカトーの尽力もあって、ランクト公国を継ぐ立派な大公主に成長した。


 タイクンの他に、三人の子供(二男一女)を設けた。

 次男と三男も、立派な公主に成長したが、末の長女レオノーラだけはどういうわけかまた姫騎士になってしまい、二代目『ランクトの戦乙女』を継承してしまった。

 せっかく楽隠居できると思っていた執事騎士セネシャルカトーであったが、タケルからもらった永寿茸(寿命が倍になる薬草)で下手に寿命が伸びてしまったため、九十を過ぎてもなお現役で二代目姫騎士レオノーラの起こした面倒の始末に奔走するハメに陥った。

 人生何が災いするかわからないものである。


 第四位 新生ゲルマニア帝国 皇帝 エリザベート陛下


 老皇帝コンラッドの直系の孫娘。老皇から見ると長男の娘に当たる。フリードの専横がなければ、いずれは帝国を継いでいたのは彼の父親になったことであろう。

 青みがかったブロンドを腰まで伸ばしている、金と青のヘテロクロミアの瞳。

 コンラッドの血筋は、帝位継承権争いでほとんどがフリードに殺されたが、エリザベートはあまりにも子供で女子であったために、さすがのフリードも殺しきれなかった。

 生まれつき聡明な彼女は、権力争いに荒れ狂う帝宮のなかでひっそりと祖父である老皇帝の影に隠れて、なるべくフリードの眼に止まらないようにしていた。

 フリードの死後、混乱する情勢のなかで子供なりに耄碌したコンラッドを守ろうと必死に立ちまわるが、拳奴皇ダイソンに捕まって幽閉されて、無理やり婚約者にされてしまう。

 ダイソンを見事に倒したタケルと結婚することになる。

 また新生ゲルマニア帝国となったエリザは、ゲルマニア帝国最後の後継であり、そして新しく生まれ変わった新しい帝国の女皇帝としての気位と強い意志を持っている。


 一方、孫娘のエリザに皇帝の位を譲った先帝コンラッドであったが、老衰で余命いくばくのなかったところを、タケルがもちこんだ永寿茸(寿命が倍に伸びる薬草)で健康を回復し、政務へと復帰した。

 それでエリザは、タケルとの新婚生活を楽しむ余裕もできた。


 のちに、タケルとの間に最初の男子ラインハルトを産む。

 ラインハルトは、エリザの後を継いで皇帝となるに相応しい英傑ではあったが、先帝コンラッドがなかなか引退しないのでむしろ皇太子としての時代に多くの業績を残した。

 その後、エリザはラインハルトに続いて十二人の子供(五男、七女)を産む。

 エリザはタケルととに末永く幸せに暮らし、曾孫に囲まれた先帝コンラッドも百五十まで生きて大往生を遂げた。


 第五位 アラゴン王国 女王 セレスティナ陛下


 特異魔法『魅惑ファンネーション』を使う彼女は、カスティリア王国最強の上級魔術師であった。

 紫色の長い巻き髪は、実は染料で髪を染めていて、彼女の地毛はタケルと同じ黒色である。

 いつも豊満な身体のラインがぴっちりと見える、胸の大きく開いたドレスを着ている。色気のあるお姉さんであった。


 アラゴン王の庶子ラミロの血を引く旧王家の血統であった彼女は、カスティリア王国がシレジエ王国との戦争に敗れると、反乱を起こしてダンドール人の統主として立つ。

 カスティリア北東部、パンプローナの街を中心に少数民族、ヴィスコン人と、カンタブリア人とともに、三族連合王国、アラゴン王国を建国すると、その初代女王として君臨、かつて敵であった勇者佐渡タケルに庇護を求める。

 タケルとの結婚で、シレジエ王国との同盟を取り結ぶと、その独立を確かなものにした。


 タケルとの間に男子エドワーズを産む。

 エドワーズは、アラゴン王国の二代目国王となった。

 その後、タケルとの間に子供が五人(三男、二女)。

 次男は王国の貴族となったが、他は芸術家になったり踊り子になったりと芸術方面に進んだ子が多かった。


 第六位 ランゴ・ランド島(独立地域) 竜姫 アレ殿下


 アフリ大陸の北西。大砂漠の沖合に浮かぶランゴ島の女王の娘。

 青いセミロングの髪から、黒褐色の二本の竜角が突き出している。手足の先が太く鋭い爪と青い鱗が付いていて、ドラゴンの青い翼と長い尻尾が付いている以外は、大柄な人間の女と変わらない。

 対照的に肌は透き通るように白く、豊満な身体つきで、胸や腰に白い布を巻きつけただけの簡素すぎる格好をしている。


 竜乙女ドラゴンメイドは、古き者である竜神とアーサマの作りし人間の混血で、何故か女しか生まれないので、年頃になると島外に婿取りに出る。

 ランゴ島は、ランゴ島の竜女王レディ・オブ・ザ・ランゴに支配されており、カスティリア王国の寄港地でもあり、港を提供する代わりに物産を交換する友好関係にある。

 知識を求めるアレは、客将としてカスティリア王宮に招かれるが、勇者は島で尊敬の対象だったので当初はシレジエの勇者との戦いは拒否していた。

 のちに、勇者佐渡タケルの戦いに感銘を受けてさくっと寝返る。そのまま、タケルと結婚する。


 タケルとの子供に、長女のアレレを産む。

 容姿は、竜乙女なのでアレと一緒の竜乙女ドラゴンメイド。元気いっぱい。

 アレレは、今の女王が元気すぎるのでいつになるかわからないが、おそらくいつかはランド島の女王を継ぐはずである。


 その後、タケルとの間に八十八人の子供を産む(記録に残る限りなので、もっと多いかもしれない)。

 もちろん、全員竜乙女ドラゴンメイドの武闘家である。

 タケルが存命で在り続ける限り、子供は増え続けるであろうとも言われる。


 第七位 シレジエ王国 摂政 ライル閣下


 茶色の短髪に淡い茶色の瞳、後に髪は長く伸ばす。

 ライル先生の学識は広く、兵法、外交術、博物学、教育学、薬学、有職故実にも通じている。ありとあらゆる知識チートを有している万能の天才、と言ったほうが早い。

 元々が、大学者の家系という教育環境と、家族で自分だけが魔法力で劣っている(あと身体の事情もある)ために、疎まれ廃棄物扱いされた過去のトラウマから、極められる知識を全て吸収するようになる。

 それだけの優秀さを示しても父親には認められることはなく、さらに疎まれるようになった。

 大博士の父親ニコラに強い愛憎を抱き、上級魔術師である兄を純粋に憎悪していた。物静かな性格ではあるが、その奥にマグマのように滾る力への渇望と大きな野望を抱えている。

 タケルと出会ったときは、左遷された書記官であったが、タケルを救国の勇者へと押し上げて国務卿、のちに摂政にまで出世する。

 のちにトラウマを克服してタケルと結婚、子供ができてからは父親ともやがて和解する。


 タケルとの子に男児のコイル。

 上級魔術師の実力を持ち、あまりに天才過ぎるために転生者疑惑があるコイルは、その才能をいかんなく発揮する。

 のちに産まれた、次男サドルと共にシレジエ王国の最上級魔術師となるが、その業績はむしろ研究者としてのものが多い。


 コイル・サドルの兄弟は、シレジエ王国の大博士ともなり、外燃機関の開発を皮切りに蒸気機関車の発明に成功、シレジエ王国に世界初の鉄道を通すことになる。

 続いて内燃機関の発明に成功し、海運では蒸気船の開発、陸運では自動車、飛行機の開発。

 軍事では戦車を開発し、ついにはリリエラ女王国の古代技術まで解き明かして、スウィフトゴーレムの再現にも成功。

 民生分野においては、もはやその功績を全て列記することは不可能であるが、火力・水力・魔力による発電を行い、数々の電気製品を発明して、人々の生活を一変させた。

 発明王としても名高い勇者佐渡タケルと、その二人の息子コイル・サドル兄弟の業績がなければ、世界の歴史は五百年遅れただろうと評価する歴史家もいる。


 第八位 シレジエ王国 宮内卿 佐渡商会CEO シャロン閣下


 オレンジの髪に琥珀色の瞳、犬科獣人の血が入っているせいか基本的には従順な性格で、後宮の安定を第一に考える習性がある。

 佐渡商会の統括をしつつ、後宮では子供みんなのお母さん役と大忙しである。


 タケルとの子供に男女の双子を産む。

 シャロンと同じオレンジの髪色と、タケルの黒い瞳を受け継いだ女の子が、ロランジュ。

 タケルの黒い髪と、シャロンの琥珀色の眼を持った男の子のほうがノア。


 シャロンの子ロランジュは後に佐渡商会のCEOを継ぎ、ノアはそれを補佐することになった。

 タケルに最も愛された元奴隷少女であるシャロンは、多産の犬科獣人の血統もあって、六十人もの子宝に恵まれることになる(うち双子八回、三つ子が二回)。


 シャロンの子供達は、佐渡商会の地方支店長や経営部門など各部署に散らばって、世界企業となった佐渡商会の屋台骨を支えることとなる。


 第八位 オラクル大洞穴の主 魔王国王母 オラクル妃殿下


 白っぽい髪をツインテールに結んで、赤い目に青い肌。

 外見上は、ちんちくりん。せいぜいが十三歳ぐらいで、奴隷少女には背伸びして辛うじてお姉さんぶれるぐらいの見た目しか無い。

 実年齢は三百歳なので、少女っぽい愛らしい身なりは安全を確保するための擬態である。内部はムレムレに成熟している。

 さもバンパイア・ロードっぽい擬態をしているが(血も吸える)正体はエンシェント・サキュバス。いわゆる精気と呼ばれる、異性のエネルギーを吸収することで、大きな力を得ることができる。

 オラクルは、大洞穴のダンジョンマスターとして作られたクローンで、タケルが死して後はまたダンジョンに戻って営業を再開すると言っていたのだが、タケルの寿命がやたら伸びてしまったので結局帰れずに後宮に居着くこととなった。


 タケルとの子にオラケル。

 灰色の髪に灰色の肌。不死王オラクルの血筋で、生まれついて魔王の地位を約束されている。

 上級魔術師の実力を持ちカアラの英才教育を受けた天才児なのだが、一緒に育ったコイルがそれを超える超天才だったためにちょっと劣等感がある。

 そのオラケルも果ては、アビス大陸にオラケル魔王国を築いて立派な大魔王となった。

 オラケルの他に、子供は三人(一男二女)でいずれも、新しく国を築いたり、各地域の魔王国と婚姻したりして魔王となっている。


 第九位 アーサマ教会 聖母 神聖ステリアーナ王国女王 ステリアーナ猊下


 少しウエーブのかかった、淡い金髪の長い髪、やたら胸が大きいのが特徴のシスター。

 白地に青のラインが入ったローブを目深にかぶっている。

 当初は、教区を寄進を求めてふらふらする伝道修道女であったが、神聖錬金術が得意であり勇者認定資格の三級をかろうじて取得していたことから、条件を満たしたタケルを勇者に認定できた。

 そのままタケルと共に『禁呪の秘跡』によって、二級、準一級へと昇格して聖女としての力を得る。

 元から得意だった神聖錬金術がレベルアップで冴え渡り『封印の聖女』の二つ名を付けられるまでになった。

 その後、タケルが世界を何度も救うサポートをした彼女は、勇者付きの聖女であるにもかかわらず、強引にタケルと結婚。


 タケルとの子にルアーナ。

 リア譲りの金髪の髪に白い肌。リアの子にしてはかなりの常識人に育った。

 神聖ステリアーナ王国を半ば強制的につぐこととなり、母親が母親なのでかなり苦労したという。

 ルアーナの他に、六人(一男五女)の子供ができ。

 子供達はみな画家、作家、企業家、踊り子、ファッションデザイナー、飲食店経営など多彩な才能を発揮して思い思いの道に進む。

 ただ、リアの子は誰一人として聖女にならなかったのは不思議なような、当然のような感じである。


 第十位 シレジエ王国 剣聖 カールソン流師範代(準男爵) ルイーズ閣下


 茜色の瞳で、燃えるような紅い髪をポニーテールにしてる女騎士。

 ルイーズは、元シレジエ近衛騎士団、参事(副団長クラス)だった。

 カールソン家は、二百四十年前のシレジエ王国建国から、代々優れた騎士や将士を生み出している名門武家の家柄で、武家の棟梁でもある。

 その家柄の高さと、その柄物を選ばぬ奮迅ぶりから、騎士見習い、騎士、将士、侍従、参事と近衛騎士団で、異例の出世をしていたのだが、女騎士の出世を喜ばぬ保守派貴族や男騎士に疎まれて、今の近衛騎士団長ゲイル・ドット・ザウス(当時は同じ参事だった)の罠にハマり排斥される。

 そうして、一介の冒険者まで落ちたルイーズは、逃げるようにして誰も知り合いが居ない、ロスゴー村にまでたどり着いてタケルと出会った。

 タケルの義勇兵団設立の際に、義勇兵団の団長に就任し、辣腕を振るう。

 ゲイルのクーデター鎮圧後、要職の誘いを断りタケルの騎士として活躍して、やがてタケルと結婚した。


 タケルとの間に、長男シャルルを産む。

 ルイーズの才能を受け継いだシャルルは、不敗の騎士と呼ばれ一度として傷を受けること無く全ての決闘に勝ち抜いたと言われる。

 その不敗の伝説は評判を呼び、すでに剣術の時代ではなくなっているにも関わらず、カールソン流をさらに盛り上げた。

 カールソン家を継いだシャルルの他には、子供は三人(一男二女)。

 ルイーズの子供は、みな一門の名剣士となって各地で活躍し、吟遊詩人の詩になる程の伝説とロマンスと誉れの数々を残した。

 それらは、愛おしくも懐かしい騎士道の時代の残光である。


 第十一位 シレジエ王国 アビス魔王国大宰相 最上級魔術師 カアラ閣下


 力が弱まり下級魔族しかいなくなったシレジエ地方から、極稀におこる先祖返り、突然変異によって生まれた天才魔族。

 若干十九歳にして、人間界の最上級魔術メテオ・ストライクを会得する。

 人間の国同士の戦争や内紛を利用して、魔素の瘴穴の解放・魔王復活という大目的を達しようと動く。

 魔王軍の大幹部になるのが夢で、策士を気取っているのだが、感情に左右されすぎて詰めを誤ることが多く、人間を利用しているつもりが、利用されてしまうこともよくあった。

 魔素溜りの解放方法は、実はカアラが開発したのだが、その情報をゲイルに教えたせいで、ゲイルと通じていた帝国側に流出してしまい、フリードに利用されるハメに陥った。

 タケルによって捕まり、改心して仲間となる。

 やがて、タケルとオラクルの間に生まれる子供が大魔王となると信じるようになり、自身も大魔王を補佐する子孫を生むためという理由でタケルと結婚する。


 タケルとの子供に長男のカアル。

 カアラ譲りの金髪にハーフの魔族によくある灰色の肌をした子供であった。

 カアルは苦労人に育ち、母親ともども次世代の魔国大宰相として、大魔王オラケルの覇業を支えていくこととなった。

 母親の期待が過大すぎると、子供は苦労するという例である。


 カアルの他に、タケルとは八人の子(三男五女)を設ける。

 みな、アビス魔王国の重鎮となったり、アビス大陸の新規開拓地を開いて大領主となって活躍した。


 第十二位 シレジエ王国 密偵部隊長・宮内警護統括 ネネカ閣下


 濃い紫色の巻き髪をタラッと足元まで垂らした変わったお姉さん。色気ムンムン。

 メス猫盗賊団の頭目であり、イヌワシ盗賊団に使われてタケルと敵対していたが、後に寝返る。

 故郷の村の窮状を救われて、タケルに心酔。

 メス猫盗賊団は、のちにそのときの元スパイの経験を生かして義勇兵団に密偵スカウト部隊を結成することとなった。


 その後密偵の長となったネネカは、タケルと結婚。

 タケルとの間に、長女ネネリを出産。

 その後、七人の子宝に恵まれる(四男三女)

 ネネカの子孫は、ネネカの故郷の村に帰って生活したりもしたが、同時にシレジエ王国の密偵スカウトとしての仕事も続けており忍者の隠れ里と噂されるようになる。


 以上、後宮会議の上位十三席。


 タケルの後宮を司るとは、すなわちユーラ・アビス両大陸の血の連盟を司ることであり。

 のちに上位後宮会議は、実質的に世界の政治経済を統括する影の大陸連盟会議とも呼ばれるようになった。


――後宮会議


 まずは、奴隷少女第二期のシェリーを加えた、十三人の奴隷少女達。


 シェリー 十五歳 シレジエ王国財務卿 佐渡商会経営戦略本部長(専務取締役兼任)


 銀白色の髪に、青味がかった銀の瞳。

 一人だけ二期生ながら、数学的な天才チートを持つ彼女は、旧ゲルマニア帝国に経済破綻で潰すなどの高い功績を打ち立て、シャロンに継いで奴隷少女達の取りまとめ役を務める。


 人一倍励んでいるのに子がなかなかできず、焦る。

 いろいろと試行錯誤の結果、ようやく五年後にできた銀髪の男の子はクラークと名付けられる。

 クラークは長じて大博士に育ち、シレジエ王国の経済史をまとめた大著「農本主義と資本主義」を皮切りに経済理論を次々と打ち立て、経済学の基礎を確立することになる。


 クラークの他にも二子(一男一女)設けるが、共に学者となった。


 フローラ 十六歳 エステサロン『フローラ』経営者 佐渡商会商品開発顧問(専務取締役兼任)


 よく手入れされたウエーブのかかった亜麻色の長い髪

 自由奔放な性格。親が元娼婦ということもあり、奴隷少女達のなかでは大人びている。

 タケルとは子供を五人(二男三女)もうけた。

 女性の美の追求をテーマに、世界初のエステサロンを経営して各国で大ブームを起こす。


 ロール 十五歳 佐渡商会製造本部長(常務取締役兼任)


 赤銅色の髪に褐色の肌。

 黒妖精ドワーフの特徴で、背が低い、我慢強い性格。ワーカー・ホリックの傾向があり、仕事に耽溺する。

 後宮では、お風呂当番をずっとやっていた。

 いつまでも子供のような身体で、性的知識は皆無のようだったが、丈夫な黒妖精ドワーフであるゆえか、毎年ポコポコ子供を産み、その数二十三人(十一男十二女)に達する。

 タケルも新しい子供の名前を考えるのに苦労するほどの多産であった。

 ロールの一族は、みんな鉱物に対して独特の嗅覚を持ち、フラフラと外を遊行しては世界各地で鉱山開発に多大な貢献する事となる。


 コレット 十六歳 王宮料理長 佐渡商会料理部門長(常務取締役兼任)


 ブラウンの髪、ブラウンの瞳、元パン屋の娘だがどちらかと言うと酒場の看板娘っぽい雰囲気の少女であった。

 王宮の料理長で酒蔵を管理しているせいか、ロールと仲がいい彼女は、タケルの作った料理を世界に広めたいという夢を持ちながら、ロールと同じく王宮を離れられなかった。

 その代わりに執筆したレシピの百科事典は、本人の代わりに世界に新しい料理を広めて、世界の料理史にコレットの名を近代料理の巨匠として残す。

 タケルとの子供は三人(一男、二女)。

 子供達は親の夢を継いだのか、新しい食材を求めてみな新大陸や南方、東方へと散らばって各地で新しい料理を広めた。


 シュザンヌ 十六歳 近衛騎士団長 佐渡商会安全保障担当官(専務取締役兼任)


 明るい赤色の短髪で、赤い瞳。

 ルイーズの薫陶を受けたシュザンヌは、騎士隊長となり末は近衛騎士団長にまでなった。

 子供は三人(一男、二女)

 男の子は佐渡商会に入って警備部門長を引き継いだ。女の子の二人は本人が言っていたように、のちにタケルの護衛騎士となった。


 クローディア 十六歳 近衛師団長 佐渡商会警備部門長(専務取締役兼任)


 髪も瞳も淡褐色ヘーゼル。ルイーズの真似なのか、肩甲骨辺りまで伸ばした髪を、後ろでくくっている。

 騎士隊長から、近衛師団長に出世したクローディアは、シュザンヌとともに軍務に励みつつ後進の指導にあたった。

 自身がそう言っていたように、タケルの護衛役も忙しい軍務の合間を縫ってたまに変わってもらったようである。

 タケルとの子供は、六人(四男、二女)

 男の子四人のうち、一人は武者修行の旅に出て武芸者として名を残し、南方で島の王女と結婚して王様になった。残りの三人は、無難にシレジエ王国軍人として出世する。

 女の子二人は、クローディア自身がそうなれと言ったわけではないのだが、なぜか申し合わせたようにタケルの護衛騎士となった。


 エリザ 十六歳 各地でレストラン『エリザ』経営 佐渡商会レストラン部門長(常務取締役兼任)


 黒髪のショートカット、瞳の色も漆黒。

 佐渡商会から独立して、エリザが経営し始めた王宮の味を庶民も食べられるレストランは好評を博して、やがて世界の各都市に広がった。

 タケルとの子供は二人(一男一女)、二人とも立派な料理人に育つ。


 メリッサ 十六歳 各地でスイーツの店『カフェ・ド・メリッサ』経営 佐渡商会カフェ部門長(常務取締役兼任)


 セミロングの茶髪、茶色の瞳。 

 エリザがレストランなら自分はカフェだと始めた、スイーツの味にこだわるメリッサの店は、長らく繁盛した。

 シレジエ風のお菓子がどこでも食べられるようになったのは、メリッサの功績といってもいい。

 タケルとの子供は三人(二女一男)。

 上の女の子二人はメリッサのスイーツの味を継いだが、バールと名付けられた末の男の子はタケルの血が強く出たのかお菓子よりコーヒー豆にこだわり出して世界初のバリスタ(コーヒー職人)として、よりコーヒーにこだわったカフェの店を出す。

 世界に先駆け、エスプレッソを淹れて提供するカフェを始めたのも、バールである。


 ルー 佐渡商会事業部門長(常務取締役兼任)


 茶髪のロングに緑色の瞳。

 目立たないが、無難になんでもこなすのがが持ち味のルー。

 タケルとの子は、二人(一男一女)

 ルーの子も、そのまま佐渡商会に入って支店長などを歴任した。


 リディー 佐渡商会営業本部長(常務取締役兼任)


 赤毛の長い髪に茜色の瞳。

 社交的な性格のリディーは、営業のエキスパートになっていく。

 世界の物産を買い付けに走って活躍し続けた。

 タケルとの子は、三人(一男二女)。

 堅実な長男は佐渡商会に入社して支店長になったのだが、残り二人の次男と長女は二人で独立の商社を作って投機的な仕事で活躍した。


 ジニー 十五歳 アンバザック領代官(のちに男爵) 佐渡商会事業本部長(常務取締役兼任)


 奴隷少女には珍しく官僚としての仕事に携わったジニーは、のちにタケルの直轄領であるアンバザック領の代官に就任してさらに領地経営に励む。

 のちに短い期間ながらアンバザック男爵となり、タケルとの子ジミーにアンバザック領を引き継がせた。

 その傍ら、佐渡商会の実務部門を統括する仕事にも携わり、その業務は多忙を極めた。

 あんまりにもジニーにばっかり仕事が集中していると気がついたタケルが、ジニーのために特別に別荘を建てて保養させたが、一線を退いてからもなんだかんだで仕事してしまったようである。


 ポーラ 十六歳 タケル流忍術道場経営 佐渡商会防犯部門長(専務取締役兼任)


 ポーラが忍術道場を作るまではタケルも賛成だったのだが、反対を押し切ってタケル流という忍術の流派をたちあげてしまい、勇者の忍術ということで評判を呼んで大繁盛してしまう。

 そこはまさにポーラの狙い通りであったのだろう。タケルが恥ずかしい以外はみんな幸せなので、これも一種の忍術といってもいい。

 庶民相手のお遊びレベルの忍術道場とはいえ、素質があるものは王国の密偵スカウトとして採用されることもあったようだ。

 タケルの子供は八人(二男六女)とかなり多い。

 ポーラは、夜の忍術ももしかすると開発したのだろうか。

 ポーラの子供達は、忍術を受け継いで道場主になったり、新大陸を旅する探検家になったり、船乗りになったり、盗賊王ウェイクの元で修行して盗賊になった子までと多彩である。


 ヴィオラ 薬草園経営 シレジエ王国環境卿 佐渡商会環境委員長(常務取締役兼任)


 水妖精ニンフの血を継いでいるため、

 タケルのために薬草園や試験農場で働いていたヴィオラだが、シレジエ王国の工業化や急速な開発に伴う環境破壊を緩和するため。

 王国に環境局、佐渡商会にも環境委員会を作って、環境の保全と動植物の保護に当たる仕事をこなすようになった。

 世界をより良くするために、もっともタケルのために役に立ったのが彼女かもしれない。

 タケルとの子が九人(全て女の子)と、彼女もかなり多い。

 水妖精ニンフは、多産の傾向はなくむしろ人間との子はできにくいと言われているので、これは異例である。

 タケルの血が強かったせいか、産まれた子供はみんな外見が水妖精ニンフではなかった。

 ヴィオラの子はみんな穏やかな性格で、植物園の経営を引き継いだり環境保護活動に従事したりと、ほとんどが生涯シレジエの王都に定住して離れることはなかった。

 ちなみに、水妖精ニンフの血筋が呪われた存在と言われる原因である、ヴィオラの井戸の水を毒に変えるほどの力は、タケルによって世界が平和になったその後、二度と振るわれることはなかったことも記しておく。


――


 サラ・アジェネ・ロッド 十五歳。アジェネ伯爵


 さらさらの金髪の髪にエメラルドグリーンの瞳。

 年齢の割にはやや小柄、胸やお尻はまだ発展途上。

 ロスゴー村の富農の娘として産まれ、そこから地元の村の若者を集めて義勇兵団の兵長になり、地元の村代官・防衛隊長を歴任して、果てはタケルの代理将軍としてシレジエ南部で破竹の快進撃。

 功績からアジェネ伯爵領の領主に収まって、ついには女伯爵の地位にまで登り詰めた。シレジエ王国の最も有名な大英雄、立志伝中の人物として讃えられている。


 タケルとの子供は十人(五男五女)、みな南部の領地を継いで貴族となり、領地経営に邁進して果ては他の貴族を追い落として領土を拡張する。

 初代サラを始めとしたロッド家は、勇者佐渡タケルに最も愛されたと自称しており、ダナバーン侯爵のアルマーク家とともに、シレジエ王家を支える重鎮の一族となった。


 ラ・シェバ・デバ 十三歳。(通称、ララちゃん) ジェバ族の次期族長


 爬虫類人レプティリアンのシェバ族のデ族長の娘で、半爬虫類人ハーフレプティリアンの少女。

 灰色の肌。上半身は人間の少女のもので、手足としっぽがトカゲ型爬虫類人レプティリアンの特徴がでている。

 よく見ると瞳孔が縦に割れていたり、ハーフらしい特徴がある。

 珍しい物を見にタケルに付いてきたというぐらいは好奇心旺盛で、最初はシェバ族の民族衣装を付けていたのだが、最近は絹の下着やドレスに尻尾穴を開けて着てみたりもしている様子。


 猛烈なアタックで、タケルと結婚した一年後に男子を設ける。

 次の年、もう一人女子が産まれたことで満足してシェバ族へと戻っていた。

 その後も王都にも遊びに来ていたりしたが、ララちゃんがシェバ族の族長を継ぎ、外の世界で見てきた知識を活用して、村を発展させることとなった。


 ユリアーナ 二十八歳。 宮内警護副統括


 濃い金髪に茶褐色ブラウンの瞳で、派手めの美人。巨乳。

 密偵スカウト部隊所属で、ネネカの片腕として働く。後宮入りしてからは、宮内警護の副統括を務める。

 鞭の使い手だが、そういうプレイはしないはず。

 故郷の村が疫病の被害にあったことから薬局を作るのが夢で、奴隷少女のヴィオラから薬草の扱いを学んだりしている意外な一面がある。


 タケルとは男子を一人設ける。

 ライル先生やヴィオラの助力もあって、試験農場の外でも薬草を育てることに成功して、故郷の村を治療の薬草の村として発展させることに成功する。

 もう、ユリアーナの村が疫病に苦しむことはないだろう。


 ハルリン 十六歳。 宮内警護


 黒髪碧眼、貧乳。長い髪をツインテールにしている。活発そうな印象で能力はまさにリアル忍者。

 密偵スカウト部隊所属で、体術が得意な若手のエースということもあり、宮内警備として後宮に抜擢された。

 ユリアーナとハルリンは、近衛騎士団と密偵スカウト部隊との折衝から、タナボタ的に後宮入りできた。

 将来は、王都で忍術道場をやってみたいそうだ。


 タケルと男子を二人も受ける。

 奴隷少女のポーラを手伝って、二人で忍者道場を立ち上げる。

 タケル流なんて忍術を流行らせたことで、タケルが悲鳴を上げたのは前記である。

 密偵スカウトの仕事の傍ら、忍者道場の師範代として後進を多く育てた。


 ベレニス 二十四歳 タケルの護衛騎士


 黒ギャルっぽい褐色の肌に、黒妖精族ドワーフの長い耳。

 庶民の出の娘ながら、王国兵士から騎士の従卒、正騎士へと登り詰めた有能。

 戦時には分隊長としての指揮経験もある。

 黒妖精族ドワーフが王国兵士、ましてや騎士になるというのはとても珍しいことである。彼女は、ちょっと変わっているらしい。

 思い切りの良さが特徴で、敵の騎士を多数打ち破るなど殊勲を立てている。

 やや軽率なところがあり、シモネタ好きで下品なのが玉に瑕。ちなみに筋肉フェチでもある。

 将来の夢は、特になし。強いて言えば、のんびり暮らしたいらしい。


 タケルとの子供は二人(女子二名)

 一人はベレニスを継いで騎士になったが、もう一人はドワーフの血が騒いだのか鉱山技師となった。

 ベレニスの時代に、王都シレジエは世界で最も賑やかな都市となっており、そこでまったりと幸せに暮らしたのだった。


 クレマンティーヌ・マンチーヌ 十八歳 タケルの護衛騎士。


 金髪、縦ロール。お淑やかに見えるが、実は怪力。たゆんたゆんしてる肉付きの良い肢体を持つ。

 ヴィエンヌの街を治めるマンチーヌ家の子爵令嬢。嫡子ではなく家督を継げないため、女性騎士の道を選んだ。

 騎士団一の怪力で騎士としても高い志操と能力を持つが、性格が引っ込み思案なためイマイチ活躍できていない。

 お父様、お父様と言うのが口癖。どうも可愛がられすぎて、ファザコンの毛があるらしい。

 戦時では副隊長としての指揮経験もある。

 ちなみにマンチーヌ家の開祖は、聖槍せいそうのロドリゲス・マンチーヌという英雄騎士。


 タケルとの子は十一人(男子三人、女子八人)

 そういう血統なのか、その十一人全員が立派な騎士となった。

 クレマンティーヌの子の代に、本家のマンチーヌ家の継承者がいなくなり、クレマンティーヌの長女の息子がマンチーヌ本家を継ぐことになった。

 クレマンティーヌはその孫に、受け継いだロドリゲスの聖槍を与えて、伝説の聖槍は再び本家へと返ることとなる。


 ジル・ルートビア 二十七歳 シレジエ王国近衛師団長。


 癖のない黒髪をルイーズと一緒のように、ポニーテールにしている。

 筋肉質だが、小麦色の肌でスタイルはスポーティーで良い。

 ルートビア家は、ルイーズの家に代々仕えている郎党。ルイーズの後宮入りに触発されて後宮入りを決意する。

 ルートビア家を継ぐ子供を欲している。自分が女性騎士として苦労したので、できれば男児がいいそうだ。

 極度の甘党でお菓子好きだが、料理はあまり得意ではない様子。


 タケルとの子供は三人(一男、二女)。

 上の長男と長女は騎士となった。

 ルートビア家はガチガチの武家の家系なのだが、三女はなぜかお菓子やさんになってケーキ作りを始める。

 三女が作ってくれたケーキを食べるのが、ジルさんの楽しみとなった。


 マリナ・ホース 二十六歳 シレジエ王国近衛騎士団長


 栗毛色の髪と眼を持つ小柄な女騎士。

 石と呼ばれるほどに寡黙で、およそ近衛騎士団長に向いている人物ではない。彼女ができることは、騎兵を操り、自らの想いのままに駆け巡らせることだけ。

 ホースという家名は伊達ではない。彼女は人を操るのにはあまり向いてないが、馬を操ることにかけて右に出るものはいない。

 五百人にまで減少した近衛騎士団を、短期間で騎士的な驕りを削りとり指揮されたとおりに動く軽騎兵へ編成しなおした。

 『転がる石』のマリナ。ロックンロールな二つ名を付けられたマリナは、かつてルイーズの率いる騎士隊の副隊長だった女騎士。

 彼女もルイーズの影響で後宮入りを決意する。


 タケルとの子供は二人(一男一女)

 両方とも騎乗に長けた騎士となった子供たちは、どちらが家を継ぐかで揉めた挙句、長男が家名をついで将軍となり、長女がマリナの仕事を継いで近衛騎士団長になることで和解したそうだ。


 ハイドラ 二十一歳 シレジエ王国魔獣隊長 


 青い肌の蛇型魔族の血が混じった若い女。

 肌もあらわで際どいボンデージアーマーに身を包んだ、美貌の女である。魔獣使いらしく、手には使役するための杖を持っている。

 極度な出世主義者で、出世の糸口を掴もうと魔軍やシレジエ王国軍を渡り歩く。

 ついにはタケルの後宮に入って、将来の魔国の大将軍になる子を生むことになる。


 本人の宣言通りタケルの子をポコポコと十人産んで(四女、六男)全員魔国の魔公爵として多数の領土を拝領した。

 ハイドラちゃん大勝利!


 ツィター・シャイトホルト 二十五歳。新生ゲルマニア帝国の宮廷楽士。


 しっとりとした蜂蜜色の長い巻き髪。淡褐色ヘーゼルの瞳をした小柄な女性。

 宮廷楽士としての天才を持つ。

 可愛らしい小娘にしか見えないが、瞳に熱い情熱を秘めた楽士。

 歌も演奏も得意で、オーケストラの指揮から演劇のプロデュースまで、音楽のことにかけては右に並ぶものがいない。

 エリザ救出の際にタケルの変装していた流離いの黒銃士ドリフ・ガンナーに恋をしていたようで、正体を知ってエリザと共に後宮入り。

 あと、凄まじい天然。


 タケルとの子供は四人(三男、一女)。

 シャイトホルト家は、代々の楽士一族なこともあって全員が音楽家に育った。

 ツィターは長らく宮廷楽士を務め、多くの音楽家を育てた。

 タケルの業績にインスピレーションを受けたツィターが考案した新しい楽器の数々で、家族だけでもオーケストラが回せるというのがシャイトホルト家の自慢である。


 セシリィ・コーラング 十五歳


 海を思わせる深い青の瞳、濃い紫色の髪から水牛のツノが二本生えている。

 タンムズ国王となった、タンムズ・コーラングの一粒種であり、母親譲りの優しげな表情と、父親譲りの芯の強さを持っている。

 三百年前にタンムズ一帯の海を支配した伝説の大魔人『海皇コーラング』の直系の血筋を引いているが、同時に貴種魔族に軽視されがちな『人族混じり』でもある。


 タケルとの子供は二人(女子二人)

 彼女の子供はアビス大陸における魔族の代表国ともなったタンムズ国を継承し、末永くシレジエ王国との友好を保った。


 アモレット女王の女官達。


 金髪のミーヤさん(二十三歳)に、青髪のメーヤさん(二十四歳)に、黒髪のネーヤさん(二十五歳)。

 女王アモレットに仕えるうら若き女官三人娘。

 三人とも王族に連なるアビスパニア貴族としての血筋を持ち。

 生まれついての高い志操に加え、女王の側近として仕えるのに不可欠な教養、礼儀作法、戦闘力までもを極めている。


 ミーヤさんはタケルの子供を三人(二男一女)、メーヤさんは二人(二男)、ネーヤさんは四人(一男三女)を設けた。

 子供達は、みんなアビスパニアの貴族や独立領主となり、新しいアビスパニア女王国を切り盛りする重臣となって活躍することとなる。

 若き女王アモレットを支える女官三人娘達は、アビス大陸に戻っては内務の仕事をしたり、ユーラ大陸に来ては外交案件を片づけたり、タケルの子供を産んだりと賑やかで忙しい人生であった。


 シスターマレーア 年齢不詳 ランクト大司教


 セピア色の髪と瞳。

 豊満な肢体を持つ、清楚でありながらにじみ出るような色気を持つシスター。

 前々から勇者付きシスターの地位を狙っていたが、一足飛びでタケルの嫁となった。


 タケルとの間に子を五人(二男三女)生む。

 五人とも聖者、聖女へと成長してアーサマ教会の発展を支える。


 シスターローザ 年齢不詳 シレジエ司教(のちに大司教)


 鮮やかな赤い髪と瞳。

 胸とお尻は控えめでやや小柄、すんなりした体型をしている。


 アーサマ教会の幹部としてはローザは控えめな方なのだが、マレーアへの対抗心からやはり勇者付きシスターの地位を求めて、一足飛びでタケルの嫁となる。

 しばらくのち王都シレジエに七番目の大司教座が設けられたため、ローザはそのまま大司教となった。


 タケルとの間に十六人(五男十一女)を生む。

 女子は全員聖職者となったが、男子五人は佐渡商会に入り、のちにノウハウを学んで独立しローザ商会を作る。

 ローザは教会で孤児院を経営しており、ビックマザーとして千人を超える数の子供達を立派に育てあげた。

 ローザの子供たちが独立して会社を設けたのは、孤児たちの就職先の支援でもあったようだ。


 メアリード・リバタニア 二十八歳 シレジエ王国第二艦隊の提督


 少しウエーブのかかった黒髪で蒼い瞳のとても美しい顔立ちの美女。

 かつては、美貌を台無しにするような傷跡があったが、タケルによって癒やされた。

 元は北限の地の海賊の頭で女子供を守るためには、他人を騙し討ちして殺すことも厭わない悪党であった。

 タケルに見出されて、シレジエ王国第二艦隊の提督を勤める。


 王侯貴族を憎んでいたが、タケルによって顔の傷とともに心の傷も癒えて、ヒノモトへの航海の時にタケルと結婚した。

 のちに、タケルとの間に二人の子供(男児と女児を一人ずつ)を産む。

 二人の子供は、メアリードがそのまま船の上で産み育てたのでそのまま船乗りとなり、長じてシレジエ王国を支える海軍提督となった。


――教皇および女神様たち


 混沌母神(触手お姉さん) 年齢などすべて不詳だが、おそらくその意識は世界が誕生した一万二千年前から存在する。


 外見は、上半身は無表情の美人で下半身は触手生物のお姉さん。

 混沌生物すべての親。それ以前に、存在がこの世界を生み出した源でもある。

 タケルと交合して、世界華せかいかを毎年のように生み出す。

 その蕾からは、タケルとの子供っぽい何かが花開き、世界に散らばったと伝えられる。

 子供っぽい何かは勇者の贈り子カーゴと呼ばれ、世界中に奇妙な幸や災いを振りまきつつ、各地に伝説を作って何処かへと消えたと言い伝えられる。


 アナスタシア二世 九歳 幼女教皇


 頭に花冠を載せた、白銀の髪の幼女。瞳は青い。

 他者と心を同調させることで、相手の心を読む憑依体質の巫女。

 アーサマが降臨するのにもこの上ない体質であり、八歳にしてアーサマ教会最高位の教皇となる。

 教皇として仰々しい言葉遣いをしているが、中身は普通の幼女である。


 タケルとの子供に、長男アナスタシア三世。

 アナスタシアの読心の力を受け継ぎ、アーサマ教会の歴史始まって以来の男性教皇となった。

 それを聞いて、どこぞのアビス大陸にいる聖者が狂喜乱舞したというのは余談である。


 アナスタシア三世の他に、子供は二十人(四男十六女)。

 多くは聖者、聖女となったが末の三人は冒険家として名を馳せた。


 アーサマ 創聖女神


 アナスタシアとタケルとの間には、普通の子供ではなく白銀の翼を持つ子供が生まれることもあった。

 女神アーサマの子ではないかという伝説がある。

 翼を持った子供達は、二十柱生み出され、やがて天へと登り、のちに天上の二十門を守る大天使と呼ばれ、守護天使として信仰の対象ともなった。

 その役割は、各国の大都市を守護したり、『魔素の瘴穴』の噴出を抑えたり、高位の神官や当代の勇者に恩寵を与えて民を助ける女神の補佐役とされる。


 シズカ 二十二歳 大皇アーサマ皇女みこ


 黒絹のような長い髪に、白い肌。

 どこか儚げのような印象を与えるが、実際のシズカの性格は子供の頃より活発で侍女を困らせることも多い。

 女神アーサマがヒノモトの島に人を作った時に、唯一その声が聞こえた初代の皇女みこからその高貴なる血筋は始まっている。


 シズカとタケルとの結婚生活は、お互いに王族としての仕事もあり、またそれがヒノモトの古い伝統でもあるため、通い婚であったと伝えられている。

 二十二歳で結婚はヒノモトでは遅い方だが、歴代の皇女みこは釣り合う男子がなかなか見つからず、晩婚になりがちなのでタケルが渡ってきてくれたことにシズカは歓喜し、逃してなるものかと酒に酔わせて物にしたという話である。

 八岐の大蛇ヤマタノオロチを酒で酔わせて倒したと伝えられる大皇アーサマの勇者タケルが、皇女みこに酒で倒されてしまったというのは、面白い昔語りとなっている。


 結婚後、程なくして長女カグヤが誕生。カグヤが百二十代目の皇女みこを継ぐ。

 その後も、タケルがヒノモトに通うたびに次々に子宝に恵まれて、七人の子供が生まれた。

 不思議と皇女みこの家系は、太古より女の子ばかりであった。

 三女カヅキが、ヒノモトのミナモト将軍家に嫁ぎ、のちにタケルとの血筋の子が将軍となり、ヒノモトとシレジエ王国の友好の架け橋ともなった。


――その他の逸話


 ダレダ・ランゴ・ランド 三十三歳 ランゴ・ランドの女王 


 アフリ大陸の北西。大砂漠の沖合に浮かぶランゴ島の女王。

 青いセミロングの髪から、黒褐色の二本の竜角が突き出している。手足の先が太く鋭い爪と青い鱗が付いていて、ドラゴンの青い翼と長い尻尾が付いている以外は、大柄な人間の女と変わらない。

 対照的に肌は透き通るように白く、ゆったりとした豊満な身体つきで、胸や腰を白い木綿のローブで覆っている。


 後宮のメンバーでもなんでもない(というか娘のアレが妻になってるので入っているとまずい)のだが、なんだかんだでタケルとなんかあって、一女ウッカリちゃんを設ける。

 その後も、定期的に誘惑に来たりしてなんだかんだある様子だが、公式的には全てなかったことになっている。


 ジョセフィーヌ 年齢不詳


 タケルとジョセフィーヌが最後に出会った二十年後。

 奇妙な詐欺事件が起きる。

 勇者タケルのご落胤と称する少年と、全盛期と全く変わらず美しい出で立ちで現れたジョセフィーヌが、姿を現し。

 貴族や大商人などを騙して、資金を出資させたという事件だ。

 シレジエ王国の司直の手が伸びる前に、ジョセフィーヌとその少年は消えてしまったため、この話が本当だったのかどうかは謎のままであった。

 ジョセフィーヌとシレジエの勇者タケルは本当に関係があったのか。

 タケルは、そのことについては何も語らなかった。

 ただ事件の報告を受けると、しばらく楽しそうに笑い。

 ジョセフィーヌが集めた金を弁償してやって、司直にも追わないようにと命じたと伝えられる。


 妻合計46人。愛人2人。

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