第17話
「……は、ははははっははははははははははははっははははははっははは……何を言いだすかと思えば……諦めろ。私たちは死人だ。今更生きなおすことなんてできやしないなぁ!」
私は、黄が叫ぶのも無視して突進する。子供の頃から握らない日なんて無かった自分の手足のような大苦無が、今はただ重い。
「なんだよ。どんな秘策があるのかと思えば自殺覚悟で突進ってか?興冷めだな」
黄の手が、湊の心臓を抉ろうと突き出される。
「湊ぉ‼」
私は絶叫すると、そのまま黄の懐に飛び込んだ。
穿たれた大穴から、血がとめどなく吹き出す。
「……なん……で……?」
喉に大穴を穿たれた黄と、身体に大穴を空けられた私は、どちらからともなく膝を付いた。
「輝っ……!」
無傷で地面に転がる湊が、私の名前を呼んでいる。
変わり身の術で私が彼の身代わりに傷を受けたからだ。
「……まぁ……これで生き残れるわけ……無いわな」
「おい!しっかりしろ!今、ウチの連中に助けを……」
「ええねん……それより……湊……」
「え?あ、おい!目を閉じるな!起きろ!輝!輝ぁ!」
ありがとう、という言葉が音になる前に、私の意識は途切れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます