急
第13話
「高校外周の監視班は、周辺に動きが無かったかを報告してください。市街区監視班は遮光タイプのウィンドウ加工車両または救急車両、以前周知した要マークの建築物に対する監視と報告を徹底してください。
土岐家の監視班⁉物理的に首を吹っ飛ばされたくなければ正直に答えてください‼湊がどこに行ったか知っている者は?アンタに聞いとんねんぞ佐橋ィ‼」
校内で人が隠れるのに向いた場所をしらみつぶしにしつつ、土岐家お抱えの護衛チーム全員に向けて指示を飛ばしていく。
3棟ある内2棟の捜索を終えたところで、連絡が入る。
「土岐家、二代目の姿は確認できておりません‼佐橋を締めあげましたが、今回は本当に把握していないようです」
「学校班了解。市街区班、マークした建築物の捜索状況を」
「こちら市街区班、指定建築物に異常は見られず。街区の警邏を……」
その時、高校外周の監視班から割り込みで連絡が入った。
「こちら高校外周監視班‼市街地へ向けて走り去る要警戒車両の目撃あり‼外周監視4班が追跡中です‼」
「……‼了解‼外部監視1から3班も合流し……」
その指示を出す前にはたと足が止まった。
「……追跡は4班のみで継続。残りは、校外監視を継続してください」
湊が失踪したという連絡から、ここまで30分程度。
拉致の手際としては恐ろしいほど良いと言える。
「せやけど、そんな連中がこんなところで見つかるヘマをやらかすんか……?」
あまりに、都合が良すぎるのだ。
これがもしブラフだとしたら?
「……だとして、何者なんや……誰がこれをやれる……?」
私が湊の監視を一時的に外部待機班に任せて用を足しに行ったわずかの間の出来事だった。
外部監視班の話では、私が目を離した後、ゆっくりと歩くような速度で湊の信号がその場を離れ、そして消失したという。
校内には、放課後の閉門時間近くになっても、まだ生徒の姿があった。そんな場所に姿を表す誘拐犯など間抜けも良いところだ。それに、そんないかにもな人物に出会って湊が助けも求めずに黙って連れていかれるとは考えにくい。
「だとしたら、学校にいても不自然でなく、湊と面識のある人間……」
それも、彼に私から物理的に距離を置くという提案をしても、疑いを持たれないような人物。
そこまで思案したところで、私は一つの答えにたどり着いた。
本部との通信用の端末を操作し、本部へ向けていくつかの注文を付けておく。
連絡が済むと、私は校舎を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます