第4話
「あれが噂の転校生?めっちゃ可愛いじゃん!!」
「黒髪の乙女だ……」
「あれは男を未だに知らない感じだな。早速俺が」
「ばっかお前、ああいうのほど遊びなれてんだよ。お前じゃ無理だここは俺に任せて」
「君何組なの?俺今友達100人目指しててさ、連絡先交換しようよ!」
「いきなりすぎんだろ!ごめんね変なやつ多くて」
「何ちょっといいやつポジション取ろうとしてんだからテメェ!」
「何だやんのかオラァ⁉︎」
同じ教室にいた警護対象者の姿が消えていることに仰天し、体調不良を口実に2限の授業をサボタージュして昇降口まで来た時だった。これから体育の授業なのだろう体操服姿の男子高校生に囲まれていた。目測で100人ぐらいに。
「あ……ちょっと体調が良くないので保健室に……」
「あ、そうだよね!保健室の場所わかる?案内するよ!」
「いやここは俺が」
「いや僕が」
「某に」
そう言いつつ私の方へ手を伸ばす男子高校生の群れ。その一団の中から伸びた手が、私の胸に触れ
「なぁぁぁぁぁぁぁぁにさらしとんじゃぼけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
気が付くと私は、あろうことか人ごみに紛れて人の胸に触った不埒な輩を手を取って梃子の要領で投げ飛ばしていた。
「……」
やってしまった。周囲の男子高校生達は、地面に投げ飛ばされた男と私の顔を交互に見比べ、固まっている。
「あー……うん。その、なんや……そういうボケなんかなーとね……」
我ながら言い訳にしても苦しすぎるだろう。潜入任務の初日にこれほど悪目立ちする諜報員がどこにいる。何とかしてこの場を離れようと一歩踏み出した時だった。
「こっち」
人ごみの間から出てきた女子生徒が、私の手を掴み、そのまま駆け出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます