7

 火鉢家に行った次の週の学校。

 放課後、俺達のクラスに6人が集まっていた。

 珍しく俺たち以外にほかの生徒はいない。

 いつものテンション、波止場はとば 志津河しずか

 今日も凛としている、火鉢ひばち 華燐かれん

 チャラそうな雰囲気、䬅扇きょうせん 響来ひびき

 相変わらず目の下にくまがある、浸渡しみわたり きょう

 元気溌剌、土壌どじょう 結媄ゆみ

 そして俺こと、輪洞りんどう 周一しゅういち

 いつものメンバーが揃っている。

 そんな中、響来が俺に質問をしてきた。

「 周一この前なんで理事長室に呼ばれたんだ?」

 俺は志津河と華燐、二人を見てから、答える。

「火鉢の魔術師になった。志津河も同じだ」

 と言って響来と峡、土壌、三人が同時に驚いた反応をした。

 そして三人におめでとう!と言われた。

 響来は悔しかったみたいで、待ってろ俺も魔術師になるからと言っていた。

 峡は相変わらず、暑苦しいやつめと言って、うざったいような目線を響来に送る。

 結媄はすごいすごいと言ってはしゃいでいた。

 そんな騒がしい中、さらに火鉢が口を開く。

「私も魔術師になった」


 俺は今日一驚いた顔をして、えええ!?と叫んで、思わず火鉢を二度見した。

 その場が一瞬静かになる。

 志津河はそのことを知ってそうな顔をしていた。

 そうか、これまでずっと魔術師じゃなかったけど、彼女も何か決めたのだろう。

 そして、俺含めみんなで言う。

 "おめでとう!"と。


 ***


 少し時をさかのぼって、二人の試験が終わった日の夜。

 火鉢ひばち 赤華音あかねは自室で一枚の資料を見て悩んでいた。

 こんな魔力の素の能力でばちとよく渡り合えたわね。

 本来なら循環や魔術を使うのもままならないだろう。

 私には才能があったから彼ほど魔術を使うのに苦労はない。

 彼の場合はそれすらままならないだろう。

 能力だけで見たら、他の魔術師からして魔術が遅すぎて相手にならない。

 だが彼は撥と魔術で戦い合った。でだ。

 彼の努力は並外れた努力では済まない。

 そしてその努力は自分の魔術が使えるほどにまで努力した。

 ちゃんと結果が付いている。凄い事だ。

 私も修行をしたと言っても、才能があったその上で修行している。

 彼と比べられるものではない。

 彼の努力、修行は私の想像絶するものだろう。

 彼の力になって上げたいという思いが私の中でこみ上げてくる。

 そして、見ていた資料を机の上に置いた。

 魔力の素の能力の評価は強度は5段階、透明度は11段階、色は23段階で評価される。

 撥は確か、強度5、透明度10、色16(赤)だったはず。

 強度が数値以上に凄いのかしら?、理屈では分からないことだらけね。


 彼女の机には三枚の資料。

 評議会に魔術師として提出するための資料。

 その三枚の資料には写真と所属、魔術、魔力の素の詳細が載っていた。

 試験の後、顔写真を撮影したのと魔術を教えてもらった。

 魔力の素は、入学時の資料で既に持っている。

 そこにはこう書かれていた。


 輪洞りんどう 周一しゅういち

 所属:火鉢

 魔術:円環

 ・強度  5

 ・透明度 1

 ・色   1(無)


 波止場はとば 志津河しずか

 所属:火鉢

 魔術:波紋

 ・強度  3

 ・透明度 8

 ・色   18(青)


 火鉢ひばち 華燐かれん

 所属:火鉢

 魔術:焔天脚

 ・強度  5

 ・透明度 9

 ・色   17(赤)


 天狗の面と赤い下駄、終わり。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る