天狗の面と赤い下駄
1
新人戦が終わってしばらく落ち着いた日々を送っていた。
最近は昼休みいつものメンバーに加え、
俺が新人戦後気になって話をしたのをきっかけに、火鉢と話すようになった。
皆に紹介してからは火鉢も自然と俺達と一緒に混ざるようになった。
特に同じクラスの
新人戦から一ヵ月特にイベントというイベントはない。
あったとしても循環の実技テストの結果があったくらいだ。
俺、
ちなみに、志津河、火鉢も満点だった。
***
そろそろ季節は夏が始まろうとしている、そんなある日の休み時間。
火鉢が俺のクラスに入ってきて話しかけてきた。
「
「空いてるけど、どうした?」
「放課後、一緒に理事長室に行くわよ」
「え、俺悪いことした?」
「違うわ、少し込み入った話。
ほっと安堵の息をつく。
志津河にも?なんでだろう。
俺はそんな疑問を持ちながら、わかったと返答した。
じゃあまたと言って火鉢はその場から離れて行った。
放課後、俺は志津河と火鉢がいるクラスに向かって三人一緒になって理事長室へと向かった。
部屋の前について火鉢がドアをノックする。
中から女性の声が聞こえた。
失礼しますと言って、部屋に入った。
あたりを見渡すとたくさんの本棚があり、奥には席があった。
そこには席に座っている女性とすぐ横に一人中年の男性が立っている。
女性の服装はオフィスカジュアルみたいな感じで、見た目は火鉢 華燐にそっくりだった。
俺はその女性のことを知っている。
そして日本最強の魔術師。
なぜ日本最強の魔術師なのか。
それは彼女が12人しかいない「魔宝師」の一人だからだ。
火鉢 赤華音、個人が国と同等の権力持つ。
その影響力は計り知れない。
魔術に関しては火鉢独自の強化魔術を扱うことが出来る。
ありとあらゆるものをその脚で焼き滅ぼす最強の魔術。
火鉢家に伝わる脚の強化魔術は何代にも引き継がれている歴史ある魔術の一つとされている。
その名は
そう彼女、火鉢 赤華音は滅脚の魔術師。
そんな魔術師が今、俺の目の前にいる。
気品あふれる人物だが俺はその気品に当てられて内心少し緊張している。
あの時とは違う不可思議な力を肌で感じていた。
最初に彼女が話を始めた。
「華燐、案内ありがとう。いらっしゃい、自己紹介は初めてよね。私は火鉢 赤華音。この学校の理事長で火鉢家の当主よ。娘から連絡もらったから、今日は学校に来たの」
俺と志津河も簡単に挨拶と自己紹介をした。
「輪洞君とは新人戦にちょっと挨拶をしたわね。そんな君達二人には大切な話があります。二人とも火鉢所属の魔術師にならない?」
俺と志津河が驚く反応した。
そして俺が口を開く
「どうしてですか?」
「優秀というのと、早いうちに私達の魔術師にして囲い込んでおきたいのよ」
「魔術師になるのはいいですが、一つ条件があります」
「どうぞ」
「すぐに師匠がいるイギリスに戻ってもいいでしょうか?」
「すぐには駄目です二人の師匠さんに連絡して許可をもらいました。あと両親にも許可をもらっています。そして師匠から二人に伝言で学生生活を楽しんでくれとも言ってましたよ」
師匠からまだ戻ってくるなってことか。
俺はがっかりしてはあーとため息をつく。
横から志津河にまあまあとなだめられる。
「分かりました、なります。でも師匠ところに戻れるようになったら戻ります」
「もちろんよ、詳しい話はまた今度。今週の週末空いてないかしら?」
俺と志津河は空いてますと答えた。
「じゃあその日迎えを送るわね。じゃあもういいわよ」
そう言われて俺たちは部屋を出た。
***
三人が部屋を出たあと横にいた男が赤華音に話しかけた。
「あの二人ですか?」
「そうよ」
「見た目は普通ですね。男の子に関してはお嬢様に勝ったその実力とやらを見て見たいものです」
「もちろん実力を見てもらう機会は作るわよ、ちゃんとよろしくね」
了解ですと言ってその男がもう一度質問をする。
「あと二人の師匠って誰なんですか?」
「ウィリアム・ラウンドニアよ」
その男が驚きの表情を見せたと同時に赤華音は笑っていた。
ウィリアム・ラウンドニア。
イギリスの魔術師。
二人の師匠。
そして世界最強と言われる魔宝師の一人。
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