第56話「自由の権利」

それから三十日が経って私と自利はめぐみの知り合いの弁護士に直接会うことになった私達めぐみと七海さん率いる十万人の部下と一緒に事務所に行った、事務所に案内された私達に弁護士バッチをつけた女性が「お待ちしておりました、どうぞ、そちらの席にお座りください」と言う






私達は座る「見守光さんですね」「はい、そうですが私のことを知っているのですか?」「はい、私は弁護士として色んな事件に関わりますから警察官関係者の方と会う機会が多いですからよく貴女が事件を解決した話を警察官の方から聞きます」





めぐみが「耶雲さん、その話はまた今度にしてください、」耶雲さんと言う方はめぐみを見て「そうだね、改めまして、耶雲花梨です〈やくも、かりん〉です、今回の依頼内容は聞いてます、戸籍がほしいんですよね、確か貴方は自利さんでしたね」と耶雲さんに聞かれて







自利は「はい、ですが私は人間ではないのです、それに力を持った精霊だなんてこの世界の人が知ったら怖がります」「「……」」






私は自利に「自利、でも自利は精霊としてではなくてこの世界の人間としてやっていていくと決めたのでしょ?、確かに自利は精霊で人も殺せる力を持ってる、それは事実だ、だけど私は三年間他の誰よりも自利のことを見てきた、だからこそ思うの、自利は自分勝手に人を傷つけたり人の命を奪ったりしない、大丈夫、一緒に戸籍をもらえるように頑張ろうね?」








「……はい」私は自利に微笑み「すいません、お待たせしました、耶雲さん、戸籍を作る方向でお願いします」「はい、まずは戸籍を作る為に裁判を起こします、その手続き今からお教えしますね」そう言って説明を受けて手続きを終わった、家に戻り私は「自利、今日のお昼はオムライスにしようか?」「はい?オムライスですか?」






「そう、自利はオムライス食べるの初めてだったね、自利、卵はふわふわな方がいい?それとも硬めの方がいい?」「あのー」戸惑ってる自利を見て






「あっ初めて食べるからどう違うのか分からないか、なら小さいオムライスを作って二つ食べようか?私も自利の好み知っておきたいし、なんなら一緒に作ろうか?作り方教えてあげるよ、」私が言うと「はい」自利は嬉しくそうに微笑む、






「自利、卵を割ってみよっか、お手本見せるから見ててね」私は軽く机に叩きヒビが割れた所を両手の親指で押して割る「こうやって割るだよ、自利もやってみて」自利私の真似して卵を割る、「うんいい感じその調子でもうもう一個割ってみて」と自利に卵を渡す







それから私は自利にチキンライスの作り方と卵をふわふわに焼くコツを教えた、「出来た、お~、初めてにしては上出来じゃん」「それは主の教え方がお上手だからです」「それが本当なら嬉しいけど上手く行ったのはきっと自利が手先が器用だからだよ、あとはサラダとスープを作ろう」





「はい」そして作り終わると「「いただきます」」と言って私達は食べ始めるふわふわ卵を食べた自利が「!?凄いとろとろしてます、」「口に合う?」「はい、美味しいです」「そっちも食べてみて」もう一つオムライスを食べた自利「!?こっちはトロトロはしてなくてしっかり焼いてありますが美味しいです」





私は「それは良かった、それで自利はどっちが好みだった?」「私は硬めの方が好みでしたね」「そうか、なら次からオムライスを作る時は自利は硬めってことで」自利は微笑んでから「はい」と言うと「ねぇ自利、私、自利のみよじ考えたんだけど」そう言って紙を渡す





オグムは手にとり「進に未ですか?」「そう進む、の進に未来の未で進未〈すすみ〉と読むの自利が嫌ではなければ、みよじはこれにしない?」自利は嬉しそうに口角上げて「進未自利、〈ススミ、オグム〉はい、これにします、」「気にってくれたみたいで良かった、私は十日後休みだからその時に裁判が行われるから私は自利の証人として参加する」






「主……」「さぁ食べよう」そして十日後に私達は法廷に行き自利の戸籍を作るかの議題で裁判は開廷となった、予想通り裁判官達も検事も精霊の自利が戸籍を作ることに反対していた今回の事件を担当した私は自利の証人として栗林陸斗の尋問を受けることになった





「弁護側のおしゃる通り人ではない動物、生き物に戸籍を与える法律は国により許可されております、ですが、人に危害を加え兼ねない力を持った精霊でしかも別の時代から来て、日本人ではない戸籍をこの国で作るなんて非常にも程があるのでは?」






私は「お言葉ですが栗林検事、それは貴方自身が勝手に作り出した偏見ではありませんか?」「私が勝手に作り出した偏見だと今おしゃりましたか?」「はい、言いました、」裁判官達含めた法廷に見に来ている人達まで驚きが隠せない「私がどんなに偏見を言ってるか詳しくおしゃってください」






「栗林検事だけではありません、ここにいる皆さんが自利を悪い精霊だと思って自利を見てますよね?、自利の言葉には一切耳を傾けず、さっきの自利の尋問でも栗林検事は自分の聞きたいことだけ自利に聞いて自利がどうして戸籍がほしいのか訳を話そうとした時、邪魔するように尋問を強制的に終了させましたよね?、それに、三人の裁判官の方も弁護側の耶雲さんがそのことで異議を唱えた時、その異議を棄却しましたね?」








図星なのか四人とも黙り込む「それが身勝手な偏見ではないと言うなら一体何なのですか?、何故皆さんが自利をそんなにも悪い精霊だと言うのかその理由を考えました、」栗林検事は「それでその答えは見つかりましたか?」







私は「はい、これはあくまでも私の考えですが皆さんは自利を銃や刃物と同じくような感覚で見てるのです、銃は警察官にとって犯罪を捕らえる為に必要道具として認識されています、ですが時には罪のない市民の命を守る為に手に持った銃で一般市民と変わらない同じ命を持った犯人を心臓を撃ち抜くことだってあるのです」「「……」」






「何故撃ち抜くか、それ以外犯人を止める術がないから、刃物類は包丁も入ります、包丁は料理をする時に必要なものです、その包丁で美味しい料理を作れます、ですがその包丁が時には人を殺める刃物になることだってあるのです、皆さんは自利を外見は普通でも中身は人を平気で傷つける危険な物になるとお考えなのでしょう?」






栗林検事は「確かに貴女のおしゃる通りです、仮に戸籍作ったとしてこの国で普通の人間として生きる資格を得たとしても、この先の未来あの精霊が人に危害を加えないという保証はどこにもありません」







私は栗林検事の言葉を聞いて「はい、その考えも一理あります、皆さんが不安に思うのは仕方がないことです、ですが皆さんが自利に恐怖を感じて存在事態を拒絶したくなるのは皆さんが自利のことを何も知らない上に自利の言葉に耳を傾けず、自利がどんな存在なのかを知ろうとしないからではありませんか?」










「「……」」何も言いかえせないのか黙り込むそんな周り人に私は今まで自利と過ごしてきた日々を思い出しながら「私は自利がどんなに存在か知っています、故に自利に対しての恐怖も不安も一ミリも感じません、ですから裁判長もう一度自利に尋問をしてください、で自利がどんな存在なのか、果たして誠に悪い精霊なのかをお考えてご決断ください」と言うと







裁判長は「その考えを認めます」と私を見ながらおしゃり裁判長は栗林検事に「異議はありますか?」と問うと栗林検事は「……いえありません」とおしゃる私は「自利、こっちにおいで」と呼び自利を証言台に立たせると裁判長は「では栗林検事は尋問を始めてください」






「はい、ではお聞きします、貴方が戸籍を受け取り何がしたいのですか?」自利は「はい、私は普通の生活が送りたいです、他の人と変わらない当たり前だけど穏やかな日々を送ることを望みます、皆さんがご存知の通り私は精霊ですし別の時代から来た私をこの世にの人達は決して受け入れてくれないと思っておりました、私が特別な力を持った剣の精霊だと知った人は私を恐れるか、私を私欲を満たす為だけに利用するかどちらかでした」「「……」」







「ですがただ一人だけ例外な方がいらしゃったのです」自利は私を見ながら言うそして微笑むとまた裁判長の方を見て「その方は今まで出会って来た人達とは全く違う人間の方で、私が特別な力を持った精霊が剣だと存じても恐れもしなければ私欲の為だけに利用しようともしませんでした、それどころか私が精霊でいる自分を嫌がってることに気がついて、その方は人ではない私を他の人と同じように接してくださったんです、」「「……」」







「そしてその方は私におしゃってくださいました、人間ではないけど自由の権利がある、だからこそ自由に好きなことやってもいい、なりたい自分になっていいんだよ、そうおしゃってくださったんです、ですから私はその方と共にこの世に来てこの世の私がまだ経験したことがないことをして、見たことがないものを見て、食べたことがない物を食べて、その度にまだ感じたことがない感情を感じてその感情がなんなのか少しずつ学んでそうすればきっと自分の中で変化が起きて今の精霊の自分を受け入れられて生活していけると思ったのです、」





私は堂々と自分の気持ちを伝える姿を見て嬉しくて微笑む「ですから私はこの世の人達を傷つけるつもりなど全くなくて、私はただこの世で他の人と同じように暮していける、自由の権利がほしいだけなのです、それ以外は何も望んでおりません、私からは以上です」






裁判長の目をしっかり見て最後まで言った自利に裁判長は「貴方の気持ちは分かりました、この件は一度持ち帰り、しっかり話し合って決めた上で日を改めてご報告します、これより裁判を閉廷致します、」裁判長のその言葉で裁判が終わった、法廷を出ると「主」と呼ばれると後ろを振り向くと目を潤ませた自利が立っていた




「!?自利どうしたの?泣きそうになってるよ、この場のほとんどの人に戸籍を作ることを反対されたから泣きそうになってるの?」「違います、自分でもこの感情がなんなのか分からないんですが悲しくもなければ辛くもないのでこの感情はきっと嬉しいんだと思います、今心がとても温かいです」






「おっ自利、少しは感情について分かってきたじゃん、そう、嬉しい時は心が温かくなるの、私も嬉しい時になるからそれは間違えない、自利の中で今少しずつ変化が起こってる、きっとこの先も色んなことを経験して色んな感情を感じて知ってそれが今よりもっと大きくなって自分の中で変化していく、」「はい、そうなってくれると嬉しいのですが……」









「大丈夫、自利がこれから精霊である自分を好きになっていけるように私も協力するし、もし今回が駄目だしても自利が望む通り自由の権利を手に入れるまで、私は自利と最後まで一緒に戦うよ」私は微笑むと自利は一瞬驚いた顔したまま固まる「えっ?自利?大丈夫?」我に帰るように自利は「!?はい?大丈夫です」「さぁ帰ろう」









裁判所の建物を出て車で帰っている途中「そうだ自利、耶雲さんがおしゃってだけど結果が分かるまで数日はかかるらしから耶雲さんが連絡してくれるみたい」「はい、分かりました」「自利今日のお昼ごはんは唐揚げにしようか?」「唐揚げとはまた聞いたことない食べ物がですね」「でも自分利は鶏肉好きでしょ?」








自利「はい、好きです」私は「なら自利の口に合うかもしれない、樹君も唐揚げ食べる?」「えっ、私ですか?」「だって樹君も鶏肉好きでしょ?、」「はい好きです」「なら決まり、三人で唐揚げ作ろうか?」私がそう言って、微笑むと二人は私を黙って見つめていた







そして数日が経って見事自利の戸籍が作られることが国からの認められたその事実を耶雲さんの弁護士事務所に行きその事実を知った、「本当ですか?自利に戸籍が出来るんですか?」耶雲さんは微笑んで「はい、出来ます、戸籍書が届いたので手続きを済ませれば戸籍を作ることが出来ます」





自利は「あの、一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」「はい、何でしょう?」「何故私の戸籍を作ることが認められたのですか?、あの裁判では裁判官三人の方も検事の方も私が戸籍を作ることに反対していたと思うのですが……」






耶雲さんは「どうしてそうなったのか私にもよく分かりません、ですがきっかけは栗林検事が裁判が終わった三日後に今回での裁判での負けを認めるといい突然貴方の戸籍を作ることに賛成したそうです」自利も私も驚きを隠せなかった、そして私は、疑問に思った





「それだけでも裁判長も他の裁判官の方も自利が戸籍を作ることにあんなに反対してたのに栗林検事に負けを認められたからと言って戸籍を作ることに認めるなんて妙な話ですね、」「それは私も思いました、ですが見守さんが今まで残してきた功績を考え言葉を無視できず姿を見れば誰もが認めざるおえないでしょう」と耶雲さんは言う







私は「はい?私がしてきた功績?確かに刑事として多くの事件を解決してきましたが……私がしてきたことがどんな功績を残すのか私にはよく分かりませんが」「つまり見守さんは凄いと言うことです」私は疑問に思いながらも






「私の何が凄いのかよく分かりませんがまぁ私は自利の自由の権利が保証されるなら問題ありません」自利の戸籍が作られたことを嬉しく思っていた、耶雲さんは「戸籍が出来上がるのは約二週間程かかります手続きはこちらの方で済ませておきます」「ありがとうございます、よろしくお願いします」と頭を軽く下げる「はい」「あとはこれお代で」と言って封筒の中に入ったお金の束を渡す








「はい丁度頂きました」「色々お世話になりました、」「はい、見守さんにお会いできて良かったです、」「私もです、耶雲さん、では失礼します」それから二週間に無事自利の戸籍が完成、進未自利としてこの世界の住人として生きていくことになった


















































































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