第43話「元エリート刑事VS現刑事」

「八年前の事件は二〇一三年六月三十日に起きましたこのホテルの六○八号室で内田冬美さんが前田和樹に性的暴行を受けました、きっかけは冬美さんが働いていた服屋で客と店員で出会ったことでした最初はただの常連でしたがある日前田和樹は冬美さんに告白をしたのです」







前田和樹が私「悪いかよ今の時代告白なんて普通だろう?」「私は今内田さんと話しているアンタは黙ってろ」「……」「そしてフラれた前田和樹は冬美さんにストーカー行為を行いました」








「その事は知ってる冬美から相談受けて生活安全課に相談しに行った最初は相談を受けてくれていたのに途中から対応しきれないって言われて一方的に打ち切られた」










「その原因は分かってます冬美さんが警察に相談してると知った前田和樹の父親が圧力をかけたのです」「俺もその事は知ってる冬美さんが自殺した後前田修一が捜査一課の警視と高校の同級生だってそれでにもみ消して貰うように頼んだんだ」






「はいそれは間違えないそうです、里中軽視の部下が当日の会話をボイスレコーダーで録音していました」私はボイスレコーダーを取り出す。「聞きますか?」 「あぁ聞かせてくれ」内田さんが返事すると私は再生ボタンを押す








≪里中、実は相談があるんだ≫≪相談?前田もしかしてまたお前の息子がやらかしたか?≫≪あぁまた違う女をレイプしたらしい本人が捕まりたくないって泣き付いてきた今回も金を払おうだからもみ消してくれ≫≪分かったもみ消そう≫





私は停止ボタンを押す前田修一は「待てこれはなんかの間違えだ」私は無視して「そしてこれは現場で見つけた証拠品です」私はワイシャツのボタン、歯ブラシを取り出す「待てそれが俺のだって証拠はないだろう?」「あるんだなそれが」翼君がスマホを取り出して




「よく見ろアリバイ作りとして代理と共犯者を遊園に連れて行ったみたいだがそれが仇になったな」翼君がスマホで撮った写真を見せる。佐藤さんが「二人も問い詰めたら共犯したことを認めたよ今私の部下がNSS本部に連行してる」






私は「これだけの証拠があれば家宅捜査の礼状だって取れるあんたの母親に協力してもらってアンタの歯ブラシとワイシャツを回収させてもらった調べればすぐに分かることだ」「「……」」内田さんが「やっぱりお前が冬美を殺したんだな」







「俺は殺してないあの女は勝手に自殺したんだ」「やっぱりお前を生かしておけない」「助けて……罪を償うから助けて!」







「いやそれは出来ないどうせまたもみ消されるだったらこの場で殺す、あの子がお前に何かしたのか?冬美は夢を叶えるはずだったんだ小さい頃から服が好きでファッションデザイナーになるのが昔からの夢だった」内田さんの目から涙が溢れる






それを見て私も涙が自然と出た〈私と同じだ私と同じ大切な人を失って悲しんでるんだ〉内田さんが「俺は今まで冬美が夢の為に努力してる所を見てきた夢為にお金一生懸命貯めて夜遅くまでファッションの勉強をしてお前は私欲の為に冬美の心も体もズタズタにしたんだ」







「お前ら何やってるんだ警察官だろう?早く助けろよ」「「……」」私達が黙っていると「俺はなんとしてもお前を殺す俺は冬美の人生を奪ったお前を決して許さないどうして罪のない冬美が辛い想いをしなきゃいけなかったんだ?俺は冬美に生きててほしかっただけだ!」








「康さん……」「もうお前に許すことはない安らかに眠れ」引き金を引こうとすると「和樹!」父親が叫んだ瞬間私は「内田さん、もうやめましょう」内田さんは私を見る







「内田さんの気持ち私は痛いほど分かります警察官だった内田さんが警察官だった自分を捨ててまで罪を犯して冬美さんの受けた屈辱を今必死に訴えてる、私だって前田和樹を許すことは出来ません、正直死んでも構わないと思っています」





「「!?」」「光?何を言って……」「もしも私が内田さんと同じ立場だったら警察官になる前の私だったら迷わず殺しています、でも私は十年前貴方に助けて貰いました」「ストーカー被害に遭っていた時のことか?」









「はい私はその時は警察官という組織を毛嫌いしていたので思えませんでしたが命懸けて私を守ってくれた貴方は紛れもなく立派な警察官でした」「!?」






「だから私はこれ以上貴方に罪を犯してほしくない内田さんも冬美さんもつまらない私欲のせいで人生を狂わせられた被害者です、私も大好きな両親をを失って一生懸命消えることのない悲しみを背負って今も生きていますだからこそ私達はその悲しみと共に生きていくしかないんです」






「分かってる……こんなことが間違ってるってことぐらいでもコイツはきっとまた犯した罪を罰せられることなく普通に生活するはず」「そんなこと絶対させません私が必ず前田和樹にも父親にも罪を償わせますですから銃を下ろしてください」






私の言葉を聞いて銃を下ろしたそして離れるそして私は前田和樹に「前田和樹、午後十三時四十分強姦罪の罪で逮捕」私は手錠をかける同じく佐藤さんも「犯人蔵匿及び証拠隠滅罪で逮捕」前田修一に手錠をかける。別の部署の警察官達が数名現れて前田親子を連れていった。








翼君手錠を取り出し内田さんに近づくでもすごく辛そうでそんな翼君に内田さんは「翼俺は犯罪者でお前は刑事、気にせず手錠をかけろ」「……内田康宏殺人罪で逮捕する」手錠をかけた「康さん、すいません俺康さん色々助けて貰ったのに俺は助けることができなかった」








「気にするな俺が勝手に警察官を辞めて復讐を始めたのだ、翼は何も悪くないだから謝るな」「康さん俺は何も変わりません俺はずっと康さんを尊敬してます」「翼お前は俺みたいになるなよ、最後まで警察官として市民を守ってくれ」「康さん……」翼君に微笑むと私を見て








「光ちゃんそんな顔をしないで」私が泣く姿を見て言う内田さんに私は「私は内田さんに本当に感謝してます警察組織に裏切られ両親が酷い仕打ちを受けても母への尊敬な気持ちを忘れられずにいられたのはあの時内田さんが命を懸けて守ってくれたからです」






「やめてよ俺は今は殺人犯だから」「それでも私は貴方に救われましたあの時私を守ってくださりありがとうございます」内田さんは微笑んで「光ちゃんのお陰で俺は前田和樹を殺さずに済んだ、ありがとう俺達の為に泣いてくれて」「……」「さぁ行こう」








佐藤さんに連行されて行った。泣いている私達はただ立ち尽くすことしか出来なかった数分が過ぎて「光そろそろ仕事戻るぞ」「うん……」私達は本部に戻った。佐藤さんが私達に元に来て「少しは気持ち落ち着いた?」「はいすいませんご迷惑お掛けしました」






「私は大丈夫だけど上から呼び出し受けてるよ」「光が?」「うん今回中心に動いたのは光ちゃんだからね」「ちょっと待て光は何も悪くないだろうそもそも事実を隠蔽した上の連中が悪いんだろう?」「翼君落ち着いて私なら大丈夫だからって」






「翼君心配しないで私は光ちゃんを売る真似は絶対にしない」「俺も行くどうせ呼び出してるのは警視総監だろう?」「よく分かったねでも翼君は呼ばれてない」「だとしても行く光のせいだけにされたくないし」「翼君私なら大丈夫だよ」






「だが!……」「ありがとう翼君本当に大丈夫だから」翼君の心の声が聞こえてきて≪行くな光俺の目の届かない所にこれ以上行かないでくれ≫「翼君……」私が戸惑っていると「光ちゃん私達だけで行くよ」「はい……」駐車場で「光?どこに行く?」見守警視監が立っていた。








「……」私は問われるがそっぽを向き答えようとしていないそんな私を見て佐藤さんは「お疲れ様です見守警視監これから警察にに行って今回解決した事件を報告に行くのです」「もしかして警視監に呼び出されてるのか?」







「はいそうです私達はこれで失礼します行くよ光ちゃん」そして車で警察庁に向かった。警視総監室の前に行くと「失礼します」「失礼します」私は佐藤さんに続き入った。「よく来た久しぶりだ見守」警視総監は私を見て言う。







「お久しぶりです板野警視総監」私は返事をして礼をする「そこのソファーに座って」「失礼します」「失礼します」私は警視総監、佐藤さんの後に座る「今日呼び出した件は君もよく分かっているだろう?」










「はい八年前の事件を捜査して警察が隠蔽したことを明らかにしたことですか?」「あぁでもどうしてそんなこと?」「警察官として当然のことをしたまでです」「当然のこと?」「はい政治家に媚を売ってその政治家の息子の罪を伏せるなんて警察官として決してしてはいけないことです」







「光ちゃん目上の人だよもっと言い方考えて」「じゃ佐藤さんは権力者に媚売って頼まれたら隠蔽しても許されると思ってるのですか?」「そんなこと言ってないよ」「じゃ何で止めるのですか?」







警視総監「佐藤はきっと君を守りたいのだろう今回のことをやりたいと言ったのは君だたから下手に発言して私を怒らせたら君はクビにされるかもしれないそれを恐れたのだろう?」「えっ」私は佐藤さんを見ると佐藤さんの声が聞こえてきた








〈その通りだよあんなに嫌がっていたのに警察官になって自分と同じ大切な人を失って犯罪に走ってしまった加害者、道を踏み外し犯罪を犯してしまった加害者を正しい道に戻そうと、頑張る光ちゃんを見て私は思った光ちゃんなら何か変えられるかもしれないって〉







「佐藤さん……」「警視総監今回の事件を捜査しても良いと許可したのはこの私ですですから罰するならこの私だけにしてくださいこの今回の責任は私が取りますお望みなら辞職致します」「佐藤さん待ってください、佐藤さんに責任はありません悪いのはこの私です」







後ろからドアが開く音がして「それは違います警視総監」「「!?」」「「なぜ呼んでもないのに何故君がここに居る?」警視総監は言った「何故って決まってるじゃありませんか NSSの責任者はこの私です、ですので部下が問題を起こしたら全て私の責任になります」






「君は自分が何を言ってるのか分かってるのか?」「もちろん分かってますそれにこの二人が責任を問われるのはおかしくありませんか?責任を取るべきなのは貴方の方ではありませんか?警視総監」「何だと?」








「だってそうではありませんか?政治家に媚を売ってその息子の罪を隠蔽するように里中警視に隠蔽するように指示したのは貴方ではありませんか?」「何を証拠にそんなことを……」「俺が何も証拠無しにこんなこと言うと思いますか?」






制服のズボンのポケットからボイスレコーダーを取り出して再生ボタンを推す〈もしもし板野警視総監言われた通り前田和樹の事件揉み消しておきましたはい、はい、ご心配には及びません真実が明らかになることはありませんから〉停止ボタンを押して








「これが証拠ですこれでもまだ自分には責任がないと言い張るのですか?」「……何が望みだ?」








「大した望みはありませんこのボイスレコーダーは差し上げますその代わり二人に責任を取らせるのはお止めくださいそうすれば私はこの事件に貴方は関わっていないことに致します」「……分かった、この件で二人を責任を取らせないそれでいいか?」






「もちろんです」そう言って警視総監にボイスレコーダーを差し出すそれを水のは入ったグラスの中に入れる「二人共もう下がれ」見守警視監は私達を見て言う。「はい失礼します」「失礼します」言った時翼君が一瞬で現れた。「「!?」」





「えっ翼君?何でここに!?」私が聞くと私の腕を掴んで立たせて自分方に寄せて抱き締めた。「何故お前まで来てるんだ?」「今日俺が来た理由はアンタに伝えたいことがあって」「伝えたいこと?」





「あぁアンタが何考えてるか知らないけど光には絶対に手出しさせないから俺は何があっても全力で光を守る」「えっ翼君さっきから何を言ってるの?」「それだけいいに来た」「何の事だかさっぱり分からないが守れるなら守ってみろ」




〈なんかよく分かんないけどバチバチしてる?私を守って一体……〉「行くぞ光」私は翼君の能力で本部に帰った。










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