第9話「愛する人を守る為の選択」

「佐藤さん私一つ気になってることがあるんですけど」「何?」「あの誘拐事件の後あのサイト消去されてませんでした?」「確かに誘拐事件も未解決のまま終わったよね?」「謎が多い事件ですが私の中ではもう一つあるんです。」「気になってることが?」






「はい私、黒岩と三年前に一度会ってるんです。」「えっ」「あの廃棄工場で佐藤さんが三十人に警棒一つで勝った後黒岩が男達を引き連れて私達の元に来て手当てをしてくれたんです」「黒岩がどうして?」






「理由は分かりません、分かってることは黒岩は誰かの指示を受けて私達を助けたってことだけです」「誰かの指示って、!?まさか……」「安藤糸」私は名前を言う。「えっでも何で安藤が私達を助けるの?」「殺人鬼が何を考えてるかなんて分かんないです」





「でも安藤糸が光ちゃんを他の人とは違う感情を抱いてることは確かだよもしかして光ちゃんを気に入ってるのかな」「怖いこと言わないで下さいよあんな殺人鬼に好かれても嬉しくもないです。」「確かに」「あんな殺人鬼さっさと捕まえて下さいよ、警察は何をしてるんですか?」




「捕まえたいのは山々なんだけどなかなか捕まらないんだよね」「それっての能力のせいですか?」「うんそれもあるし安藤糸は裏社会の中で一番恐れられている人だから誰も逆らおうとしないのだよ、逆らえば無惨に殺されると知ってるから」





「安藤糸はそんなに危険何ですか?」「うん裏社会のトップと言っても良いぐらい」「そんな人間に目をつけられるなんて私達が何をしたと言うのだろう?」「光ちゃん……、光ちゃんごめんね、ちゃんと守ってあげれなくて光ちゃん私は最後まで光ちゃんと周君を守り抜く」




「佐藤さんは相変わらず熱血でブレない人ですね。」「何それ」「ありがとうございますでも周を守るのは私です」「光ちゃんこそブレないよね?」「はい何があってもそこだけは譲れません」「光ちゃんに一つで提案があるんだけど」「何ですか?」





「光ちゃん、光ちゃんさえ良かったら警察官の試験受けてみない?」「えっ警察官の試験?佐藤さんちゃんと言葉の意味を分かって私に言ってますか?」「もちろん私は光ちゃんには向いていると思うけど」





「嫌ですよどうして警察官何かならないといけないんですか?確かに佐藤さんのことは信用しています、もちろんお母さんのしたことも間違ってるなんて思ってません、けど私は今でもあの日のことを思い出すと辛いんですお母さんを見捨てるように指示した警察庁の人間が憎くてたまりません」




「光ちゃん……ごめんねそうだよね、辛いよね受けた心の傷は簡単に消えることはないしね、けれど私は光ちゃんは良い警察官になれると思うよ、凛さんは光ちゃんがいつか自分のような警察官になってくれたら嬉しいと言っていたのを覚えている」




「えっお母さんが私を?けれど私には向いていないと思います、私は周を守ることしか興味がないので赤の他人を命を懸けて守ることなど出来ません、人助けは私よりめぐみの方が向いています、誰かに警察官の試験を受けさせたいのならめぐみの方が良いかと、」





「確かにめぐみちゃんは警察官になる素質があるけど私はめぐみちゃんよりも光ちゃんの方が素質があると思った」「素質?そこまで言うなら具体的にどこに私の素質があると言うのですか」






「能力ももちろんそうだけど事件が起きるたびに毎回短時間で推理して犯人を見つけて事件を解決してるし警察官にとって必要な体力も十分にあるそれに光ちゃんは正義感が強い光ちゃんなら周りの人を気にせず堂々と犯罪者にも上司にも立ち向かったいくはず」




「佐藤さんは私を買い被りしすぎです、私は佐藤さんが思うほど立派な人間じゃないです」「光ちゃんは自分をそう思うかも知れないけど私はそうは思わない、ごめんね勝手なことを言ってるって分かってるんだけどけど一度じっくり考えてみて」





「ですが私は……」「試験は二ヶ月後受けるも受けないも光ちゃんの自由だよ、受けても受けなくても私は光ちゃんの判断に任せる、これは試験の申込書と試験内容、」私は茶色の袋を渡される。「でも私は……警察官には…」「光ちゃんと話が出来て楽しかったよまた話そうね」






立ち上がる佐藤さんに私は「佐藤さんだから私は警察官には……」なりません。と言おうとしたと同時にドアが閉まる。「何て勝手な人でもありがとうございます、私は佐藤さんのその情熱が私の心の傷を癒してくれたんです、出会えて良かったです」「そうだめぐみに電話しなくちゃ」スマホを出して「もしもしめぐみお願いがあるんだけど」






次の日私はリビングに行くと「おはよう光ちゃん」エプロンを着けた佐藤さんの姿があり

「おはようございます佐藤さん、すいません私も手伝うべきなのに」「いいのそんなこと気にしなくて私が好きでやってるんだから」「おはよう、光」周がリビングに来た。





「おはよう」「佐藤さんもおはようございます」「おはよう周君昨日はよく眠れた?」「はい」「二人共座って朝ごはん食べよう」「はい」「ありがとうございます」私達は椅子に座ると「あれ?泰造さんは?まだ寝てるんですか?」私が佐藤さんに行くと「お父さん朝早くから仕事に出掛けたよ」




「仕事ですか?もしかして問題も?」「元々テレビに出るつもりだったみたいお父さんは法務大臣だし今日記者会見があるみたいだし」「法務大臣ってあの」「周知らないの?泰造さんが政治家だって」「俺あんまりそうゆうの分かんないからでも政治家ってっ国を守る人だよね」「そうだね」






私は周に聞かれて答える「まったくよくやるよ、お父さんもあの歳で」「泰造さんって六四歳でしたっけ?」「うんいい歳だからそろそろ引退した方がいいと言ってるんだけどあの頑固親父は「俺はまだやれる」とか言うんだよ」「きっと泰造さんは法務大臣の仕事に誇りを持ってるんですよ」





「政治家の仕事がお父さんにとってやりがえのある仕事だって事は分かってるんだけど心配なんだよね、」「泰造さんならきっと大丈夫ですよ」「そうだ光ちゃんあの件考えてくれた?」「あの佐藤さんですから私は受けないですよ試験」




「試験って?」周は私には聞く。「何でもないよ」私は隣に座る周の頭を撫でる「どけ!光!」聞き覚えのある声が聞こえてきて「えっこの声もしかして」私は立ち上がって廊下に出るとスーツを着た三人のSPに取り押さえられている翼君の姿があった。






「翼君!どうしてここに?」「光!」翼君は振り切って私の元に来て私を抱き締める。「光!どうして俺に何も言わずに居なくなったんだ?俺がどれだけ心配したか分かるか?」「ごめんね翼君これには事情があって……」




「だからって電話してくれても良いだろう?俺がどんだけ光を探したと思ってる?徹夜で色んな所を駆け回ったんだぞ」







「ごめんね迷惑かけて仕事もかなりキャンセルしたでしょ?」「当たり前だろう仕事はどんどん無くなっていくしクレームの電話は次々に入ってくるし社長にはマネージャーの責任問題だと怒られるしまったく散々だったよ」「ごめんね」





「でも良かった光が無事で俺、光がまた誘拐されたのかとまた守れなかったのだと焦った」私は周がこっちを見ていることに気付いて「翼君、周が見てるから」私は翼君から離れる、佐藤さんが私達に近づいてきて「おはよう翼君、翼君も一緒に朝ごはん食べる?」「あぁ」





めぐみが走ってきて「翼君、光大変、ちょっとこれを見て」「めぐみどうしたの?そんなに慌てて」私達にタブレットを見せてくる。≪サバイバルチャンネルを観ている皆どうも安藤糸です私は実は五万人以上を殺した殺し屋をやってるんだけど最近面白いゲームを思いついて≫




画面が変わって≪題してターゲットを殺して願いを叶えろサバイバルゲームイエーイ、ゲームのターゲットは今大人気のモデル見守周君この人を殺した人の願いを叶えます、≫周の写真が出てきた


≪叶え方は私は能力者で運命を操る事が出来る例えば死んだ者を生き返らせたり病気を直したり私が思えばすぐに出来る≫




「何これ?めちゃくちゃじゃない」私が言った後翼君が「こいつイカれてるな」「仕方ないよ、殺人鬼なんだから」めぐみが言った後に





≪参加も自由だし私の言うことを信じるかも自由ただし四つのルールを守ってもらうその三つのルールについてはこのチャンネルのルール説明の所をタップしたら書いてあるから読んでねもしルールを破った場合は私に仕える側近が失格になった者を処刑しに行くからそのつもりでね≫




安藤は笑顔で言う。≪さあ今日からゲームスタートだよ挑戦者は参加ってボタンをタップして願いを記入してね、見守周を殺せるのは一日一人でその一人を私が決めるもし勝手に見守周を殺したらその時点で失格になるから気をつけてね、それに、プレーヤが自ら負けを認めたらその時点でも失格になるから≫



安藤は笑顔で手を振った後私に向けて≪光、光はきっと前のように挑戦者達から弟君を守ろうと必死に守るはずでもこれから私が死ぬまで弟君は命を狙われ続けることになるまた会えるのを楽しみにしてるよまたね光≫動画は終わった。




「何このふざけたゲームは」私達は周を見る、周は佐藤さんのスマホで動画を観ていた、周の目から涙が流れていた「俺は生きていらいけないの?生きたいと思うことは罪なの?俺は何も悪いことしてないのにどうして?」




「周……」私は周の元に行き抱き締める「周そんなことないよ周は何も悪くない、周は生きていていいんだよ、周大丈夫だよ何度でも何度でも私が必ず守ってあげる」私は自分の無力さを思い知った、





泣き続ける周にこれ以上掛ける言葉が見つからなくてただ抱き締めることしかできなかった数分経って周がめぐみと二階に上がっていき私は泣く姿を思い出す「佐藤さん私受けます試験」「えっ本当に?」「はい」「ちょっと待て光、試験を受けるって何の試験だ?」




「警察官」「警察官ってよりにもよって何で……お前警察とは関わりたくないって言ってたじゃないかそれなのにどうしてだ?」「もちろん警察官になんてなりたくないよ私もけどならなきゃならない理由がある周を守る為にはやるしかない」



「今の仕事はどうするんだ?」「もちろん引退した後に警察の試験を受けるよ」「光お前勝手すぎるぞ社長の気持ちを少しは考えろよ」「確かに私のしてることは勝手で許されることじゃないってことぐらい分かってるだけどそれ以上に周を守りたい、もう大切な人が死ぬのを見たくないの」




「光、けど自分が何を言ってるのか分かってるのか?警察官になるってことは市民を命がけで守るってことだ」「もちろん警察官になったら仕事はちゃんとするそれで周未来も必ず守る私は必ず警察官になる」「光……」





翼君はそれ以上は何も言わなかった。私は警察への恨みを押さえ警察官になることを決意した。




























  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る