お題『コンビニの店員と客』【海苔弁と恋】

 友人の月子は惚れやすい。

学校帰り、コンビニの店員に惚れたと言って毎日通う彼女に恋の相談を受け、

今日私は月子と共にコンビニに寄った。

 「おかえりなさいやせ!」

月子を見た店員は笑顔で出迎えた。歳は五十代くらいだろうか、掛け声のおかしさよりも、月子が照れる姿にこの相談には乗れないことを悟った。

海苔が歯に付くから嫌いと言っていた海苔弁を店員に渡すと、「健康にいいから」と笑顔を浮かべた。恋は盲目とはいえ何でこの人何だろう?と首を傾げつつ、どうせ上手くいかないだろうと遠い目で見ていた。

「へい!お待ちぃ!」

けれどどうやらそれは杞憂のようだ。

弁当を手渡す二人は湯気のせいか頬が赤く染まっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る