300字小説

コモド モネ

お題『コロナ』【コロナ】

 非常事態宣言の発令後、初めての夏休みがきた。

去年の終わりにばあちゃんが家にきて、二世帯住宅になってから初めての夏休みでもある。ばあちゃんは長生きのためと、徹底して家でもマスクをしている。

「タカシ、どうしたもんかねぇ?」

1階に住んでいるばあちゃんは、縁側に座る俺にスイカを出すと庭を歩きながら唸った。

「どうしたのばあちゃん」

ばあちゃんの手にはナスと胡瓜が握られていた。庭に畑でも作る気なんだろうか。

「コロナが怖いから今年はやめたほうがいいかねぇ?」

『ばあちゃん、ナスや胡瓜にコロナは移らないよ』と心の中でツッコミを入れていると、

ばあちゃんは続けてこう言った。

「ご先祖様だらけで3密になっちゃうもんね」

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