　吉川みかんは自分の名前に納得出来ずため息をついた。

「可愛くない。おばあちゃんみたい」

隣のクラスには白木苺という可愛い名前の子がいるから尚更だ。

「苺とみかんなら絶対苺が優勢だよ」

「何に対して？」

呆れ顔をする姉の気が知れる。

「苺狩りとみかん狩りならどっちがしたいよ？」

「苺？」

「でしょう？しかもみかんはそのまま齧れないし、手がベトベトになる」

いじけて見せると、姉は

「でも私は蜜柑派！だって蜜柑はビタミンたっぷりだし、凍らせても美味しいし、洗い物でも大活躍！」

力強く返ってきた蜜柑の素晴らしさに何の話をしていたのか忘れそうになったが、姉の手元を見て再びため息をついた。

姉の手には輝く赤い苺が添えられていた。

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