感想『楽園ノイズ』
杉井光著 (電撃文庫)
あらすじ
出来心で女装して演奏動画をネットにあげた僕は、謎の女子高生(男だけど)ネットミュージシャンとして一躍有名になってしまう。顔は出してないから大丈夫、と思いきや、高校の音楽教師・華園美沙緒先生に正体がバレてしまい、弱みを握られてこき使われる羽目に……
無味無臭だったはずの僕の高校生活は、華園先生を通じて巡り逢う三人の少女たち――ひねた天才ピアニストの凛子、華道お姫様ドラマーの詩月、不登校座敷童ヴォーカリストの朱音――によって騒がしく悩ましく彩られていく。
恋と青春とバンドに明け暮れる、ボーイ・ミーツ・ガールズ!
感想など
『さよならピアノソナタ』にどハマリしてた中学時代の柳川にとって、杉井光先生が再び電撃文庫で音楽モノを出すって発表された時は、もう歓喜しました。多分僕らの同年代だとまさに青春を一緒に過ごしてきた作家のひとりだと思うのです。
今作は女装してネットに音楽を上げていた真琴が、同じように音楽に取り組む3人の少女と出会いながら、お互いに影響を与え、受け合いながら成長していくというまさに王道ストーリーです。
3人のヒロイン、それぞれが悩みを抱えていて、それを取り除きながら……というふうに進んでいく、そしてその中心にはいつだって音楽がある。彼らがセッションを通じて心を通わせていく様は胸を熱くするものがありました。
そして、この物語の中核を担う演奏の描写が凄まじい。単純な勢いに頼らない、音の文章化、やっぱり凄いなぁと思います。本当に演奏シーンが持つ読者を魅了する力が凄まじい。
音楽用語や有名アーティストが作中に出たりすることによってなされる演出もここぞという時に爆発していて、それが読者の心を鷲掴みにしてきます。
ああ、これが僕らが大好きなライトノベルなんだなぁってしみじみと思いましたね。ぼくらの好きだったライトノベル、色褪せないなぁ。
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