第10話
あれから、数年後・・・
縁とは不思議なものだ。
どこで、どう交わるかわからない。
俺には、彼女と呼べる人がいなかった。
しかし、親はもちろん、両祖父母も孫の顔を見せろとうるさい。
いつかは、結婚したいとは思っていたが、当分先と思っていた。
しかし、どこからわいてでたのか、父方の祖父母がお見合いの話を持ってきた。
来なくていいのに・・・
こんな、贈り物はいらない。
なので、断るつもりでしぶしぶ参加した。
あれ以来、ゼルとは会っていない。
(あいつを彼女にしたてあげ、やりすごそうか?)
そんなことを、心の中で思う。
まあ、あいつは天使だから結婚出来ないのだが・・・
新しいスーツは、ちくちくする。
そうしているうちに、お見合い相手が入ってきた。
内気なのか?
下を向いて、もじもじしている・・・
同席した、俺の両親は席を立った。
彼女は、ひとりのようだ。
しかし・・・どこかで見たような?
他人の空似だな。
「すいません。私なんぞのために、貴重な時間を使わせてしまい、申しわけありません。
気がひけるのでしたら、こちらからお断りさせていただきます」
自然と言葉が出た。
「君らしくないね。かしこまらなくてもいいよ」
「えっ?」
聞き覚えのある声だ。
そうして、彼女は顔をあげた。
そこには・・・
「久しぶりだね・・・」
「ゼル?」
ゼルの姿が、そこにあった。
「お前、天使だろ?死の概念はないのでは?」
「そうだよ。でもその代わりと言わなかった?」
「訊いたが、詳しくは・・・」
ゼルは、続けた。
「私たちも、子孫は残さないといけないんだ」
「でも、死なないんだろ?」
「うん。その代わりに、消滅があるんだ」
「消滅?」
「うん。だからこそ、子孫を残す事は、義務付けらているの」
「消滅っていつだ?」
「それは・・・・」
その後の事は、覚えていない。
ただ、自分が心から愛する人が死んだ時に、魂が一体化となり、消滅するらしい。
「でも、それだと・・・」
「私は、君と・・・ううん、あなたと一緒になりたい。だめかな?」
断る理由はない。
ていうか、断れない・・・
「じゃあ、よろしくお願いします。旦那様」
つなぐもの 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます