第4話

「全く変わらないな・・・」

「見た目はね・・・でも、科学は進歩しているよ」


ゼルと並んで歩く。


人々の服装は、俺の時代とあまり変わらないので、紛れ込んでもわからないだろう。


「天使とやらは、タイムスリップも出来るのか?」

ゼルに尋ねた。


「神様の許可が下りたときだけね」

「許可?どういう意味だ?」

「前に、天国と地獄の境目があるって言ったよね?」

「ああ。覚えてる」


あの日の事を、思い出した。


「地獄に落ちた人は、強制転生」

「強制転生?」

「死者の魂の希望はきかない。こちらで決めた先に転生させる」


自分の意思は、聞いてもらえないのか・・・


「じゃあ、天国に行けた人は?」

「レベルにもよるけど、多少のリクエストはきく。もちろん転生を拒否する事もできるよ」


俺もそれを選びたい。


「リクエストというのは?」

「性別、環境、容姿・・・そして、時代」

「時代?」


ゼルを見ると頷いた。


「時代を希望したものには、いくつかの時代の風景や文明などを見せ、その中から選択してもらうの」

「選択?」

「もちろん、記憶は消してもらうけど・・・」


確かに、未来がわかればつまらない。

運命は、わからないほうがいい。


「で、10年後・・・つまり、この時代を見てみたいと言う、死者がいて、映像に納めに来たんだけど・・・」

「なら、俺はいなくても、いいのでは?」


ゼルは、続けた。


「それが、大ありなんだな。なぜなら、その死者は、君も知っている人だから」

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