第10話伝えたいこと
次の日、俺は学校に行った。そして俺が教室に入って、自分の席に向かうとそこには、吉田と赤井が俺の席にいた。
そこで、俺がなんていったかはもうわかるだろ。俺の親友だってことを伝えただけだよ。
二人に、白雪のことは話したが、協力は断ることにした。これは、俺一人だけでやろうと、学校に行く前から決めていたから。
学校が終わり、俺は家には帰らずそのままあの図書館に向かった。
もし、白雪が昔の俺と、同じなら俺のことを友達と思ってくれているなら、きっといつかは、またここに来てくれると信じているから。
そのとき、一人だったら寂しいだろ。
「こんにちは」
そういっていつもの扉を開けると、やっぱりそこにはいつものおばあちゃんしかいなかったが、今日は、珍しく起きていた。
「答えは見つかったのかね?」
なんでそんなことが、寝ていただけなのに解かるかは本当に謎だったが自分が言いたい言葉は自然と出てきた。
「はい、白雪に伝えたいことがあります」
そういうと、満足そうにうなずいてそれから、部屋の奥にある小さな扉を指さして
「あかりちゃんなら、そこにいるよ」
そういうと、少しだけドアを開けてこっちをうかがっている白雪がいた。
俺は白雪に近づくと
「二人だけで話さないか」
そう声をかけた。
*
二人で初めて行った喫茶店に行き、いつものフレンチトーストを頼んだ。
白雪は、ついては来たけど、まだ一言も話さなかった。いつものパーカーのフードもかぶらず、ずっとうつむいている。
俺は出来るだけ優しく、そして白雪にまず一番聞きたいことを聞いた。
「俺に教えてくれないか。白雪が図書館に来なくなった理由」
少し、白雪は迷ったようなしぐさを見せたが、ぽつり、ぽつりと、話し出した。
「わ....わたし、頑張らなくちゃって思って....が....がっこうにいってみたの。わ....わたし、がっこうにちゃんと通えたことないの。でも、ゆうすけに....言われたから頑張って行ってみたの。でも、ダメだった。やっぱり怖いの。う....うまくはなせないの。みんなが、わたしに注目してくるの」
それを聞いて俺は気づいた。白雪と俺の違い。
白雪はとても素直な女の子なのだ。だから、ごまかすことが出来ない。
だから、俺もごまかさず話すことにした。
「白雪に一つ謝りたいことがある」
「?....」
そこで俺は少しだけ間を開けて話した。
「あのとき、俺は白雪に前に進んだ方がいいって言った。でも、今の俺はこう思っている。前の進み方は自由だと思う。俺は絶対に学校に行かないといけないとは思わない。自分が少しでも納得できる自分になれたらそれでいいと思う」
白雪は、少し迷っていた。
「で....でも学校は....」
「白雪が学校に行かないといけない理由は何なんだ?」
そうきくと、少しだけ黙って口を開いた。
「一人は寂しいから....」
それを聞いて俺は、白雪に、そして無理していたころの俺に言った。
「学校に行かなくても友達だっていっぱいできる。たくさん思い出を作ることもできる。」
そこで俺は一度言葉を切ってこう言った。
「俺たちは友達だろ」
それを聞いた白雪は目を大きく開いた。
「こんな、私のことを友達だと思ってくれるの.....?」
そんなの、こう答えるに決まってるだろ。
「ああ、俺たちは友達だ。あかり」
*
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