第5話ともだちづきあい
あの図書館に行った日から一週間が過ぎ、今日はどうしようかと考えながら
いつもの通学路を歩いているとき、
「おはよ~」
いつものように吉田が声をかけてきた。
「ねえ~最近はどうしたの~。あんまり暇そうじゃないけど~」
「俺は別に忙しくなんて......」
嘘である。最近は白雪のところに行くのが日課になりつつあった。
「じゃあ~今日、ぼくとなつきとゆうすけの三人で出かけない?」
「まあ、別にいいけど......」
前の俺なら迷うことなく「いいよ」と言っていたはずなんだがな......
俺は、手早く白雪に今日は行けないということを伝えた。
「ふう~ん」
「なんだよ」
「それが~、ゆうすけが暇じゃない理由か~」
「別にいいだろ、俺の勝手だ」
その後はまた、吉田と他愛もない話をしながら学校に向かった。
*
放課後は、三人でなんとこの前行ったばかりのあの喫茶店に来た。
「いや~ここ、来たかったんだよね!!」
「まあ~オープンしたばっかだからね~」
まあ、俺は一度来たことあるのだが....
「どしたん?ゆうすけ。ここ、来たくなかった?」
「い、いや別に....」
さすがに、二人に内緒でここに来たことあるとは言えないよな。
俺たちは、席につきメニューを見始めた。
「わたし、このパンケーキにする!!」
「じゃあ~ぼくも~。ゆうすけは~?」
「俺はいいかな。コーヒーだけで十分だ」
「ええ~せっかく来たのに食べようよ~!!」
悪いな、そのパンケーキは想像以上に量があるからな。俺は遠慮しておこう。
注文したものが届き、俺たちはそれぞれ食べ始める。
「うわ~!!これ、量が多い‼」
「食べきれるかな~」
二人はパンケーキの量に驚いている様子だった。そのとき、窓の外の少し離れた
場所からこちらをみる小柄なパーカー姿の人影がみえた気がした。
「どしたん?ゆうすけ?」
なつきから声を掛けられ慌てて振り向くと、怪訝そうな顔をしてこちらを
みていた。
「悪い、なんでもない」
そういってもう一度窓の外を見たが、そこにはもう誰もいなかった。
*
次の日、学校が終わると俺はすぐに図書館に向かった。鈍感系主人公じゃあるまいし、あれはきっと、白雪だろう。いつもの扉を開け奥の部屋に向かうと、
「お....おそい‼」
腰に手を当てほほを膨らませた白雪が仁王立ちしていた。
「いや、別に時間指定があるわけじゃないし....」
この場合俺は別に悪くはないと思うのだが、ここは謝っておくほうがいいのか?
「まあ、悪かったよ。でもあれは俺の友達なんだ許してくれよ」
「ふうん......」
どこか不満げな様子なんだよな....。
「わたしよりも、そっちを優先するんだ....」
独り言なのか、あえて俺に聞こえるように言っているかはわからないが、なんだか
めんどくさい彼女みたいなことを言い出したな....。
「わかった、わかった。なら俺はどうすればいい?」
「え....ええと......」
少しの間考え込んでいたが、
「ほ....ほんとうに、何でもいいの?」
「俺に出来ることならな」
「じゃ....じゃあ、あ....あのともだちとよくすることを私ともして!!」
想像していたより思い切ったことを言って来たな。
「それなら、たまにゲーセンとか行くから、町に行くか」
「う....うん!!」
「じゃあ、今度の日曜日にするか」
「わ....わかった!」
こうして、二人で初めてのデート?の約束をしたのだった。
*
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます