第2話 その図書館で


次の日の午前、俺は話に聞いていた、図書館に行ってみた。思えばこうやって休みの日に一人で出かけたのはいつぶりだろう。駅前近くのスーパーのすぐ脇の裏路地の途中で止まる。


「ほんと、吉田はこんなとこよく見つけたな」


図書館とは、聞いていたが、赤く錆びた扉と字がくすんで見えにくくなり図書館とだけ書かれた看板が付いている。この外見では、営業しているのかも怪しい。


扉を開けると、少し埃っぽい香りがした。そこには、入り口からたくさんの本が積み上げられていた。


「これは図書館と言っていいのか?」


そんな疑問が湧くほど本がただ山のように積み上げられている。中を覗くと一人のおばあさんが部屋の奥で揺りかごに座り静かに眠っていた。


「勝手に入って大丈夫なのか?」


そのとき、奥にある本棚の奥から一人の少女がこちらの様子を

うかがっていた。


「あ....あなたは....い....いったい....誰なの」


俺は、一目見た瞬間言葉を失った。白のワンピースを着てるだけでも目を引くのに、彼女の髪はまるで白鳥を思わせるかのような白い色をしており、さらに両眼も白い色をしていた。


「お、俺は図書館があるって聞いたから。ところで、君は一体?」

「わ....わたしも......」


そのあと俺は、ここに来た理由や、彼女のことについていろいろなことをきいた。

彼女の名前は、白雪あかりといい、まさかの俺と同じ16歳だった。


「白雪は、どこの高校に通ってるんだ?」

「わ....わたし、高校、もうずっといってない......]

「ご、ごめん」


聞けば、入学してからわずか二ヶ月しか通っておらず、その後は一度も学校には行ってないそうだ。まあ、あったばかりの俺なんかには理由は話してはくれないだろうけど。


「白雪はいつからここにきてるんだ?」

「わ....わたしは、去年の八月くらい、い....家ではずっと暇だから......]

「ずっと一人で?」

「うん。ひ....一人で本を読んだりしてた......」


なぜだろう、彼女とは、ずっと話していられそうな気がしてきた。

まあ、いつもは吉田たちの話をきくばっかりだからなあ。


 それから、俺たちは他愛のない話をばかりして過ごした。

気づけば時刻はもう日が落ち始めていた。


「じゃあ、俺そろそろ帰るから」

「あ....あの!あ....明日も来てくれる?]


一瞬迷ったが自然と言葉がでていた。


「ああ、もちろん」


そう、うなずき返していた。


この日から俺のちょっとだけ退屈じゃない日常が

始まったのかもしれない。








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