4


語り「勇者たち三人は、北へ向かうことになりました。

   魔王が北にいるからです。

   そして途中の森に差し掛かったところです。

   なんと雨あられと矢が飛んできたのです」


勇者「危ない!」


語り「勇者はすごい剣技で、

   矢をすべて打ち払いました」


勇者「何者だ!」


語り「勇者が誰何すると、

   とても美しい女エルフが現れました」


女エ「ここからは、エルフの森だ! 人間は立ち去れ!」


勇者「この先に魔王がいる!」


女エ「知るものか! ここから立ち去れ!」


語り「女エルフは勇者の説得に聞く耳を持ちません。

   魔王こそが真の敵なので、

   勇者は戦いたくなかったのです」


勇者「話を聞いてくれ!」


語り「そう言うと勇者は、

   飛んでくる矢を打ち払いながら、

   女エルフを抑え込みました」


女エ「くそ! 汚らわしい人間が、

   誇り高きエルフに触るな!」


勇者「違う!

   人間もエルフも関係なく、

   みんな誇り高いんだ!」


女エ「え…」


語り「女エルフは勇者の言葉に心打たれました」


勇者「…それにしても、とても綺麗な髪だ」


女エ「そ、そんなこと言われたの初めて…(頬を朱に染める)」


語り「そのまま勇者と女エルフは、野外で交わりました。

   女騎士と僧侶も、もちろん参加しました。

   翌朝には三人とも気絶してしまいました。

   こうしてまた勇者に新たな仲間が加わったのでした」


   5


語り「仲間を得た勇者は、

   魔王の軍勢を悉く打ち破りました。

   そしてなんやかんやで魔王四天王の三人まで倒し、

   最後の四天王と対決することになりました。

   それはとても手強いサキュバスでした」


サキ「とうととうここまで来たのね、勇者。

   でも男である貴方が、ワタシの相手になって?」


語り「なんと最後の四天王は、

   勇者と同じ魅了の力を持っていたのです。

   普通の男では狂わされてしまいます。

   しかも絶大な魔力も持っており、

   他の三人は手も足も出なかったのです。

   しかし勇者は諦めません」


勇者「サキュバスと戦う方法は、これしかない!」


語り「勇者はこのピンチに賭けにでました。

   彼は剣を捨て、盾を捨て、服を脱ぎ捨て、

   すっぽんぽんになったのです」


サキ「このワタシに勝負を挑もうと言うの? 愚かね!」


語り「勇者とサキュバスの戦いは、三日三晩続きました。

   他の三人も参加しましたが、

   サキュバスはどっちもイケたので、

   あっという間に気絶させられてしまいます。

   しかし最後まで立っていたのは勇者でした。

   勝負はついたのです」


サキ「負けたわ…。このワタシが敗れるなんて」


勇者「サキュバスよ。悪さをしないというなら許そう」


サキ「! なんて優しい…」


勇者「共に来い!」


サキ「喜んで!」


語り「なんと勇者はその寛大な心で、

   魔王四天王の一人を仲間にしてしまったのでした。

   そして残すは魔王一人となりました。

   勇者の壮大な物語は、

   終焉を迎えようとしていたのでした」


  6


語り「勇者たちは幾多の困難を乗り越え、

   とうとう魔王の居城へと足を踏み入れました。

   そして最後の部屋で魔王は待ち構えていました」


魔王「ふふふふ、とうとうたどり着いたな勇者よ。

   我の野望を阻む痴れ者め!」


勇者「魔王よ! お前の悪逆非道の数々許さない!」


魔王「小賢しい! 我の力の前にひれ伏せ!」


語り「その戦いは、それはもう激しいものでした。

   魔王の前に仲間が一人一人と力尽きて行きました」


勇者「み、みんな…。おのれ魔王!」


魔王「ふふふ、これで貴様一人。

   だが余を最終形態まで追い詰めたことは褒めてやろう!」


語り「魔王の一撃は、とても強力なものでした。

   勇者は押しつぶされそうになります。

   しかし勇者は諦めません。最後の力を振り絞ります。

   と、その時」


女騎「勇者!」


僧侶「勇者様!」


女エ「勇者よ!」


サキ「勇者ちゃん!」


語り「なんと倒れた仲間たちの魂の力が、

   勇者に集まったのです!」


勇者「うおおお!」


魔王「な、なんだこれは!

   どこにそんな力がぁ! ぐわぁあーーーーー!」


語り「勇者の最後の一撃で、魔王は粉々に砕け散りました。

   なんとか勝利できたのです。

   しかし、代償は大きいものでした。

   大切な仲間たちが皆犠牲になってしまったのです」


勇者「くそ、くそ」


語り「己のふがいなさに勇者は悪態をつきます。

   ですが、勇者は気付きます。

   新たな力が己にやどっていることに」


勇者「!? こ、この力は」


語り「なんと勇者は力を使い切ったことで、

   賢者モードに入っていたのです。

   勇者はその力を使い、すごい蘇生魔法を使いました」


女騎「勇者!」


僧侶「勇者様!」


女エ「勇者よ!」


サキ「勇者ちゃん!」


語り「復活した皆は勇者に抱き着きます。

   こうして物語は大団円を迎えたのでした」


  6


語り「勇者たちは王都に凱旋しました。

   国中が震えんばかりの大歓声です」


王 「勇者よ! よくぞ魔王を倒した!」


王女「勇者様! よくぞご無事で…」


語り「勇者は王女の前に片膝をつきました」


勇者「あなた様がいたおかげです。

   あなたを思えばこそ、生きて戻ってこれらのです」


王女「そ、そんな(頬を朱に染め)。…勇者様」


王 「はっはっは、我が娘は既に勇者の虜だな!

   よしこれから婚姻の儀だ!」


語り「勇者の凱旋は、

   そのまま国を挙げての結婚式になりました。

   そして勇者は王位継承者になったのです。

   それから王女との初夜では、勇者は貪りまくりました。

   王女が勇者のどストライクだったのです。

   他の仲間も参加しました。

   十日十晩続きました。

   起きては交わってを繰り返しました。

   やはり最後まで立っていたのは勇者でした」


   7


語り「王がすぐポックリいったので、勇者は王になりました。

   かつての仲間もすべて側室にしました。

   そして国は、勇者が王になってから繁栄しました。

   作物は大量にとれるようになり、

   経済も活性化しました。

   国力が以前よりも倍になりました。

  

   そして勇者王は、領土的野心を抱きました。

   隣国に大規模侵攻を開始したのです。

   後に勇者戦争と呼ばれる、

   長く凄惨な戦いが始まりました。

   勇者王は逆らう者には容赦がなく、

   反抗する自由都市などはなで斬りにしました。

   そして、史上初の大陸統一国家が立ち、

   帝国と名乗りました。

   

   勇者王は初代皇帝となったのです。

   

   それから月日が経ち、皇帝は老いました。

   つい先日、三人目の皇后を擁立していました。

   年齢差は50くらいあります。

   

   ふと皇帝は皇城のバルコニーから、

   眼下を見下ろしました。

   中心に自分の黄金像が立つ、

   人口100万人の大帝都が見渡せます。


   目に映る風景すべてが皇帝の物です。


   望む物は、すべて手に入ったのです。


   彼はポツリとつぶやきました」


皇帝「最高の人生だった」


声 「それは重畳ちょうじょう重畳ちょうじょう


語り「懐かしい声が皇帝の耳に届きました」


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