最適な星

人類が初めて月に降り立ってから、科学はさらに進歩を重ねた。

ワープ技術を搭載した宇宙船が開発され、今や、人類は遥か彼方の星々の探索を行う時代に突入していた。


「前方に惑星を発見。これより環境の調査を開始します」


宇宙船の隊員の一人が隊長に報告した。

彼らは、地球を出発してから何度かワープを繰り返し、この星を見つけたのだった。

発見された星は、海を有する青く美しい惑星だった。

しばらくして、調査を終えた隊員たちは隊長に結果を伝えた。


「あの星は、気温、大気の成分、重力を始めとする全ての項目に関して基準を満たしています」

「ここまで優れた環境の星を発見したのは初めてだな。では、これより宇宙船を着陸させ、より詳しく調査を行うことにする」


宇宙船の隊員たちは、さらなる調査を行った。

すると、良い結果が次々に報告された。

海や自然には多種多様の生物が発見され、さらに、この星には豊富な資源が存在することも判明したのだった。

隊長は大喜びした。


「ここはなんと素晴らしい星なんだ。研究対象としても、地球に代わる将来の移住先としても最適な星じゃないか。さっそく地球に報告し、物資と調査員の追加要請を行おう」



その様子を遠い別の星から観察する者たちがいた。

彼らは4本の腕を組みながら、こう話している。


「また見事におびき寄せられたな」

「そりゃあ、おびき寄せられてくれないと困るよ。あの星の環境を整えるのには結構なコストがかかっているんだから。危険が無く、魅力的な星ってのを維持し続けるのも大変なんだぜ」

「とにかく、ああいう星をいくつか用意することで、よその星の奴らを我々の星にたどり着く前に足止めするというアイデアは大成功だ」

「じゃあ、奴らを回収しに行くか。急がないと、増援が到着してしまう。回収後、奴らの住む星を聞き出し、先制攻撃だ」

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