鏡の中に

午前の授業が全て終わり、昼休みの時間になった。

私は、いつものように、仲の良いSちゃんとNちゃんと一緒に雑談をしながらお弁当を食べていた。

楽しい話が続く中、Sちゃんは突然こんなことを言い出した。

「ねえ、あの噂って本当なのかな」

「あの噂?」

私とNちゃんは聞き返した。

「ほら、最近うちの学校で話題になってる噂だよ。深夜に真っ暗な部屋で1分以上鏡を見つめ続けてると、その人は鏡の中に吸い込まれちゃうんだって」

「えええ、嘘っぽーい!人間が鏡に吸い込まれるなんて、そんなの有り得ないよー!」

Nちゃんはケラケラ笑いながら言った。

「うん。確かにその話は怖いけど、誰かがふざけて広めた作り話だと思うな」

私もNちゃんと同意見だった。

「そっかー。まあ、冷静になって考えてみると、噂が本当なわけないかあ」

Sちゃんも納得してくれたようだった。

そうそう。

本当なわけがない。

だって、もし本当に鏡の中に吸い込まれるのなら、その人が急にいなくなったことに対して、きっと周りが慌てるはず。

そうなっていないということは、この噂は作り話なのだろう。


「それはそうと、私さ、ずっとNちゃんの箸を持つ手が気になってたんだけどね、Nちゃんって前から左利きだったっけ?」

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