じゃんけん
世の中には、ごく稀に特殊な才能や力を持つ者が存在する。
少年もその内の一人だった。
傍から見るとただの平凡な高校生だが、少年は、必ずじゃんけんで勝てるという特殊能力を持っていた。
生まれてこの方、少年は一度もじゃんけんで負けたことがなかった。
何か特別な作戦を立てるわけでもなく、じゃんけんをすれば絶対に自分が勝つ。
たとえ負けようと思っても、必ず勝ってしまうほどに少年の力は確実だった。
ある日、少年は考えた。
せっかくこんなに凄い力を持っているのだ。
この力を使わない手はない。
これまで、自分の能力が周りに目立つ事を避けてきた少年であったが、歳を重ねるにつれて、野心が湧き上がるようになっていた。
少年は、大金を稼ごうと決意し、じゃんけんで大金を得られる方法を模索した。
数ヶ月後。
少年は、その存在自体がほとんど知られていない裏カジノで、危険な賭けに参加していた。
入場を許可された観客たちに囲まれながら、少年は対戦相手と向かい合っている。
「さあ皆様!いよいよゲームが始まります。ゲームと言ってもその内容は至ってシンプル。じゃんけん一発勝負です。勝者には1億円。敗者がどうなるかは皆様のご想像にお任せします」
少年の身体は恐怖で震えている。
しかし、それでも少年にはこの勝負に絶対に勝てる自信があった。
何しろ、少年はじゃんけんにおいては負けることなどありえないのだ。
「それでは両者、準備はよろしいでしょうか。今回は、観客の皆様が勝負をよりお楽しみ頂けるように、じゃんけんで負けた方を勝者とさせて頂きます」
少年の顔が青ざめる。
「負けるが勝ちよ!最初はグー!じゃんけんぽん!」
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