第41話 遭遇
「距離は・・・リサ」
「10000キロ・メートルです」
皆は雄一郎に任せる事が一番とおもったのか無言だった。
「何の用か・・・と日本語と英語と・・・ラテン語で聞いて下さい、返事が有ればリサだけが聞こえる様にして下さい、受信はできるだけ広範囲でね」
「はい」
「ラテン語・・・???」
とジェニーの口から洩れた。
「即答でした、周波数は人類と同じです、言語はラテン語、英語、日本語の順番でした、内容はどこから来たのかとの問いでした」
「やはりね・・・しかし日本語もとは少し以外でしたね、ラテン語、それも古代ラテン語と思っていましたが・・・それで御用は何でしたか」
「どこから、どの惑星から、どの星系のどの惑星から来たのか、と聞いています」
「人に物を尋ねる時はまず自分から答えるものだと、言って下さい、勿論日本語です、今度は日本語だけでです」
「了解」
暫く時間が経った、リサが相手と話会っている様だった。
「お返事です、お互いの星系と惑星の呼び名が違うのであろうが我々はヘロンから来た、言っています、星系名もヘロンとの事です」
「うむ~・・・ヘロンへは移住した処でしょう、以前に住んでいた星系と惑星を聞いて下さい」
「了解」
皆はただただこの雄一郎とリサの会話を興味深げに聞いていた。
「まだ姿を見てはいませんが・・・精神は穏やかで正直なようです・・・文明的には成熟度はかなり高い様ですね、少なくとも現在の我々人類よりもです、星系はソル、惑星はテラと言ったとの事です」
「えぇ~ソル~テラ~・・・太陽と地球のラテン語では無いですか」
ケンが叫ぶ様に言った。
「そんな馬鹿な・・・」
「彼らは地球人なの???」
「リサ・・・こう言って下さい、我々もテラから来ました、貴方たちがテラを離れたのは何時ですか、何人で出たのですか、この星系の人類との関係は???」
雄一郎はリサに伝えた直後に身体を固め思考に集中してしまった。
皆も同様に思考に集中した時に同様になるので直ぐに理解した。
「ご報告いたします、雄一郎さんが集中姿勢に入りましたので、今後の指示はケンにお願いします」
「解った、リサ、結果を聞こう」
「はい、二万人以上でテラを離れた時期については我々との単位の照合をしなければ不明との事です」
「当然ですね、リサ、ではソルの位置の確認が先です、銀河の映像でソルの位置を確認して貰って下さい」
「承知しました、年月の単位の照合も試みてよろしいでしょうか」
「可能であればお願いします、リサは方法を考えていますか、私は水晶の振動を考えました、他には公転周期、アンドロメダ星雲との距離の違いもどうかとも思いますが」
「ケン、私は水晶の振動数をと判断しました、宜しいでしょうか」
「そうして下さい、駄目で有れば他の方法も試して下さい」
「はい」
皆が思考状態の雄一郎を見つめていた。
今や相棒のルイが立ったままの雄一郎を椅子に座らせシートベルトで固定し、覚醒した時にと水分補給のジュースを準備した。
皆はそれぞれに雄一郎が何を思考しているのか・・・と思った。
この時、雄一郎は自分の考古学知識を総動員し年代の特定と技術力の想定と比較、そしてその対応策の検討を行っていた。
「ケン、報告します、彼らが地球を出たのは我々の時間で約1万4千年前だそうです」
「約1万4千年前ですって・・・有史以前・・・」
「姉さん、有史以前ってキリストが生まれる前って事???」
「馬鹿ねぇ、それは2千年でしょ、歴史が書かれる前と言う意味よ、文字が無い時代の事よ、見つかっているのは精々4千前年から5千年前の文字でしょうね」
「約1万4千年前なんて、そんな古い時代の文字は見つかっていませんよね」
ケンがそう答え皆を見渡し質問した。
「我々は今、他の惑星に住む生物と通信で会話をしています、皆は接近遭遇と言う言葉を知っているかい」
「たしか、第一次、第二次と言う言い方でしたよね」
「そうだ、他には」
「・・・」
「・・・」
「接近遭遇と言う言葉は1972年発行された「UFOとの遭遇」と言う本で書かれたもので著者は天文学者のアレン・ハイネック博士なんだ。
この本の中で博士は第一次から第三次までの遭遇を区分している。
第一次は500メートル以下で目撃する。
第二次は周囲に何等かの影響を受ける事、まぁ証拠だね、電子機器に影響が有ったとか、生物に影響があった、麻痺、不快感があったとか、地面や何かに痕跡があるか、だね。
第三次は相手と接触する事だ。
我々は相手と電子機器を通じて交信している、接触している・・・第三次接近遭遇した事になるね」
「第一、第二を飛ばしていきなり第三ですか、昔は500mでも遠距離だったんですね」
「まぁそんな処だろうな」
「リサ、次はこちらの大気の温度と湿度と構成比を告げて、あちらのを聞いて下さい」
「はい」
「貴方、合うつもりなのね」
「当然さ、向こうが応じてくれればね」
「兄さんに尋ねなくても良いの」
「あぁ兄さんもその気さ、多分、兄さんは彼らが何時から住んで居たのかを考えているんだと思うよ」
「何時からって・・・地球にそんな古い時代の遺跡なんて・・・」
「たった今、地球が、地球の文明が滅びたとして一万年後に文明の痕跡が残っているかな~」
「そうね~、鉄を使ったビルは勿論、流石のピラミッドも崩れた山でしょうね」
「ピラミッドの完成時は表面が固い花崗岩だったらしいのでかなりの年月は原型を維持していたでしょうね・・・でも、何処かの一か所が崩れれば崩壊が早まったでしょう」
「発見方法も発掘の技術も進んでいますしどんどん古い遺跡が発見されています、その内、一万年以上前の遺跡から文字が発見されるかも知れませんね」
リサが続けて伝えた。
「黄金の四角錘の建物と動物の像はまだあるかと聞いています」
「そんな建物も像ももう無いわね」
「いいえ、在ります」
ジェニファーの無いの言葉に佐紀が在ると言った。
「何処に私は知らないわ」
「知っています、絶対に・・・ピラミッドとスティンクスです」
「えぇ~、だって金色でも無いし動物・・・ライオンの身体だわ」
「僕はクフとカフラー、メンカフラーで4から5千年前だと習った記憶が在ります」
「だが違った様だな、ピラミッドも元は黄金で表面を覆ってあったんだろうな」
「黄金色のピラミッドか~見てみたいわね~」
「うん、見てみたいな、綺麗だったろうなぁ~、スフィンクスも金色だったのでしょうか」
「僕はそうだったとおもうなぁ~」
「そうだと言っています」
リサが肯定した。
「何とピラミッドとスフィンクスが黄金色でしたか、何と何と、それが今ではなぁ~」
「今の姿も素晴らしいと思います」
「リサ、他に知らせは無いか」
「大気の構成が違います、彼らの酸素比率は22%と我々より2%高いのです、湿度は70%と言っています。」
「細菌やウィルスへの耐性はどうかな」
「はい、彼らもそれを気にしています、彼らの医学は進歩している様です、病気は全く無い様です」
「其れは凄いなぁ~、無菌室は彼らのものを使う方が良さそうだね、我々が向こうに行く事になるな、さて兄さんと僕と何方が行くか」
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