第39話 F型星系-発見

皆でビールを飲みながらそれぞれの仕事の進み具合を報告し合った。


部屋に「ピンポーン」と音が響いた。

皆が音のした方を見ると大画面に幾つかの光の点が見えた。

「見つかったか、リサ」

雄一郎がリサに尋ねた。

「はい、F型主系列星でハビタブル・ゾーンに岩石惑星を認めました、計画通りで宜しいですか」

「頼むよ、リサ」

「お兄さん、計画って何ですか」

皆に先んじてジェニーが雄一郎に尋ねた。

「惑星に高等生物が存在している場合を想定しての接近手順だよ」

「へぇ~もう思案済なの~」

皆が雄一郎を敬愛の目で見つめた。

中でもルイの顔の表情と眼差しは恋焦がれる乙女のもので他所の世界へ行っていた。

「リサ、簡単に説明してくれないかね」

「はい、雄一郎さん、1G、1.5G、2G、2.5Gと加速、速さ、時間別の燃料消費率と到達時間についてと今後のGは1.5にする事、目標惑星系への待機位置まです、これから1.5Gにしてもよろしいですか」

「頼む」

徐々に皆の体重が重く感じられ始めた。

「な~る程、流石・・・一石二鳥と言うか、何と言うか」

「気が付かなかったな~」

とそれぞれに理解の言葉を告げた。

日常を1.5Gの負荷の基に生活する事で筋肉が鍛えられるのだ。

地球の1Gの環境に戻れば身体が軽く感じるという事だ。

1.5Gに慣れれば2Gにする事になる。

「リサ、将来2Gにしても燃料は大丈夫なの」

「母上、燃料は十分とは言えません、ですが何がこの先に起こるか不明です、故に現在の最善策を講じまする」

「侍言葉できたか、姉さん・・・姉上が母者で御座る・・・か」

とヘンリーがリサに追従した。

「起こらぬ不幸を嘆いても詮無い事じゃな」

とジェニーも乗っかった。

「それともう一つてすが、ケンとジェニーに設置して貰った探査装置に15分前から人工物と思われる物体が探知されています」

「思われる・・・とは」

と雄一郎がリサに共もケンにもつかずに尋ねた。

「兄さん、探知範囲が狭い・・・せいかと」

「そうです、光学的には5時間前から探知していましたが組成が判りませんでした・・・人工物の確率が高くなりました、こちらの加速に対して軌道を変更しました」

「大きさは?、リサ」

「側面を見せませんので正確には不明ですが軌道変更時の計測では長さは700メートルで断面は100メートルの径でした」

「大きい」

と佐紀が呻いた。

「確かに大きいね、その質量でその速度・・・どの様な動力か、気になるなぁ」

「お兄さんそんなのんきな事・・・攻撃してくるかも知れないんですよ」

「ジェニー、攻撃があるか無いか解らず、どんな武器かも解らないんだ、起きてもいない事をくよくよ悩んでもしょうが無いよ、でも備えはしてあるから大丈夫」

「どんな備え?」

「まぁいろいろとね」

「どんな?」

「ジェニー、兄さんが考えたんだ、任せなさい」

「うーん、はい、あ・な・た」

ジェニーはしぶしぶではあるが夫のケンに説得され諦めた。

「私も700メートルを超える大きさの船の動力が気になります、それにどの様に速度を落とすのか・・・加速するのか・・・重力制御できるのか」

「ルイ、その事その事、速度を徐々に落とせば重力制御は出来ず・・・が突然変化させれば慣性制御・・・重力制御ができると言う事だからね、楽しみだ」

「まぁ~貴方も呑気ね、佐紀ちゃんは心配でしょ」

「いいえ、ジェニー、私は小さい頃から父に起きてもいない事で悩むな・・・と教えられ続けられたせいでしょうか、全然心配していません」

「まぁこの親にしてこの子あり・・・ね、ヘンリーはアメリカ人だから心配するわよね」

「そうだね、でも今の言葉に感銘を受けた、心配するのは止めにするよ」

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