第26話 考察、熟考
船では日本時間をそのまま利用し生活していた。
朝、7時に集まり仕事は8時から午後の5時まででシャワーを浴び皆で夕食を食べ食後の会話を楽しみ8時から遅くとも10時には解散し自室に戻っていた。
夜8時と早いのは皆が自室に戻りそれぞれの趣味、勉学、思考などの時間とする為だった。
昨日も9時に解散し皆、自室に戻ったが考えの時間とした様で7時に集まったのは雄一一人だった。
5分遅れてルイ、10分遅れてケンとジェニー、そのまた10分後にヘンリーが「おはよう」と現れた。皆一様に眠たげで昨夜は遅くまで考え込んでいたと思われた。
だが一人として晴れやかな顔をしておらず理論の確立に至っていない様だった。
ケンに至っては公式の完成に至っているはずなのに悩み抜いている様だった。
集まった皆で朝食を食べたが何時もの様に会話は弾まなかった。
そして8時に仕事に散って行った。
佐紀一人が8時になっても集まらずリサが何も言わないので体の不調ではないと安心から声を掛けずにいる事にした。
雄一はルイと作業をしながら時々佐紀の様子をリサに尋ねたが帰ってくる答えは同じだった。
「ベッドに横になっています」
一度目に雄一は聞き直した。
「横になっている・・・寝ているとは言わないのは何故かね」
「目を空けているからです」
「ありがとう」
「いいえ」
「ところで、リサの進捗はどうかね」
「まだ途中です」
「OK、頑張りたなさい」
「ありがとうございます」
雄一は10時には制御室にルイと戻った。
それはルイの手元が直ぐに止まるからだった。
勿論、考察に入るせいだった。
そこで雄一は「お茶にしよう」と言ってルイを誘い制御室の椅子に座らせルイが考察に入るのを待って一人で作業に戻った。
雄一が昼食に制御室に行くとルイは先程と同じ姿勢で考察していた。
雄一はバナナとりんごと冷蔵庫から飲み物を取り出し静かに制御室を後にした。
雄一が3時頃に皆の様子をリサに尋ねると昼食も食べずにそれぞれの作業場で考察している・・・との事だった。
雄一のその日の夕食は自室で一人で取った。
リサに確認すると今は全員、食事も取らずに自室で考察、熟考しているとの答えだった。
人間、二、三日食べなくても死にはしない、雄一は暫く放っておく事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます