第25話 覚醒
二時間程してケン、早紀、ジェニー、ルイ、ヘンリーと30分の間に順次覚醒した。
先に覚醒した者は皆同じ様に黙ってコーヒーを注ぎ又座り自分の考えをまとめる様に唯座っていた。
「さて、皆戻って来た様だから聞こうかね、ではルイ聞こうか」
「はい、でも・・・駄目だったんです、理論が浮かばないんです・・・事実の列挙をしたのですが、その事実を繋ぐ事が出来ないんです・・・どうしても解りません」
「事実の列挙、良いね、言ってみて下さい」
「はい、現在、間違い無いと思われる事実は1、我々がブラックホールと呼ぶ物は高重力である・・・が全てを吸収する訳では無い・・・何かを放出している。2、我々は光より早く動いている。
・・・たった、この二つしかないんです・・・それもここに来る前はたったの一つだけだったんですよ。それも全て・・・と言っておきながら何か出ている・・・し・・・・・・私、理論物理には向いていないみたいです」
「事実の列挙は基本だね、他に無いかね」
「3.銀河の中心には高重力の何かが存在する」
ヘンリーが追加した。
「4.木星の10倍の大きさ、質量のガス惑星が存在する、10倍だから太陽くらい~かな」
研一郎が更に追加した。
「5.光の速さを超えられないとするアインシュタインの法則は誤り・・・か不足している」
佐紀が追加した。
皆がジェニーに目をやった。
「私・・・私はダーク・マターとダーク・エネルギーそしてエーテルについて考えていました。
事実と言えるか・・・現在見えている恒星、惑星だけでは全宇宙、銀河の質量に全く足りないし、その位置、軌道さえも維持できない・・・でしょうか・・・あと昔、提唱されその後その存在を否定されたエーテルは実はダーク・マターかダーク・エネルギーではないか・・・と考えていました」
皆が「ほぉー」と言う顔の後、考えに落とそうな態度になった。
「待った、皆、また考えに戻ってはいけない、そろそろ寝る時間だからね、それに事実の列挙が先だよ、他に解っている事実は無いかな」
「兄さん、ある程度予想していた僕でも光の速さを超えてしまったと言う事実に戸惑っているんですよ。これまでの常識を根本から変えなければいけないから。何と言っても光の速度を超えられないと言うアインシュタインの法則が全ての基本でしたからね」
ケンが皆を代表して困惑を語った。
「そうだね、まぁ~一晩ゆっくり寝て光より早く動いている事実を基本に考えかたを変える事だね」
自分で考える事の大事さを知っている皆は雄一に回答を求める事はしなかった。
「寝られるかな~でも・・・お休みなさい」
と佐紀が皆に挨拶し自室に向かった。
雄一を除いて皆が自室に戻った。
「リサ、ごめんね、今はリサの意見を聞くタイミングでは無いと判断し言葉を控えて貰った」
「いいえ、でも・・・実は私も事実の列挙の網羅がまだ終わっていないのです」
と超高速コンビューターのリサには珍しく言い淀んで答えた。
「いいね~、どんどん考えどんどん悩んで見なさい」
「はい」
「ところで、航行は順調だろうね」
「はい勿論です」
「良し、じゃぁ僕も寝るよ・・・お休み、リサ」
「お休みなさい・・・雄一さん」
頭の中がこんがらがった皆の夜が終わった・・・表面上は・・・。
雄一には皆が直ぐに眠りに着く人達ではないとの思いがあった。
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