第22話 頭脳の名前

ケンとジェニーの話が終わった。

その後、皆で分担しワイワイガヤガヤと夕食を作りワイワイガヤガヤと食べた。

そして食後、それぞれが好みの飲み物を飲んでいる時に佐紀がケンに質問した。

「凄い、じゃー飛行機は宇宙に行けるのー」

「いや出力を抑えてあるし客室は機密性があるが機体が圧力に耐えられない」

とケンが答えた。

「じゃーあ、バリアーと通信機は販売したんですか」

と今度はルイが質問した。

「ええーGPSと解体予防装置も付けてとてもとても高額で売ったわ、だってそんなの買うのはお金持ちに決まっているもの、それに身元調査もしてからね、悪人は守る事無いから」

こんどはジェニーが答えた。

また佐紀が質問した。

「オーストラリアのコンピューターはどうなったんですか」

「そうねー最後に確認した時には話せる様になり容量が三倍になっていたわね・・・それと

私達は工場をオーストラリアに集約する為に土地を追加購入したわ」

ジェニーが答えた。

「この船の頭脳の名前はリサでしょ、オーストラリアのもリサなんですか」

と佐紀が聞いた。

「この船のコンピューターとオーストラリアの物とは同期を取っているから一つと言えるんだ」

と今度はケンが答えた後、ケンとジェニーが同時に「あっ」と言った。

「リサ、君は今もオーストラリアと同期が取れているかね」

ケンがリサに呼び掛けた。

「いいえ、同期は取れていません」

「宇宙に出てから連絡をしていないと言う意味かね」

「いいえ、私は同期の意味を理解できませんでしたので一秒以内の連携を同期としました」

「それで最後に連携を取ったのは今から何時間前かな」

「はい、10分前です」

リサの答えに皆が驚愕し喜び安堵した。

「ではオーストラリアでは我々が何処に居るか解っているね」

「はい」

「宇宙に出てからずっと連携を続けていたのかね」

「いいえ、船が光速を超えてからは出力が足りず連携が取れませんでした」

「それでとうしたのかね」

「はい、ケンが出力を限定していますので1メートル四方のキューブを繋いで出力を上げましたが連携が取れませんでした、そこでケンが将来の構想の中に書いた2つを使いました。一つはパラボラアンテナを使い全周囲を一定範囲に絞り到達距離を延ばす事、もう一つは宇宙で行方不明になった船のグリッド捜査方法です」

「うーむ、リサ、良くやった」

「お褒め戴きありがとうございます」

「ケン、良かったけど名前が一つだった事が災いしたわね」

とジェニーが言った。

「そうだね、こちらが勝手に同期が取れていないものだと思いこんでいたからね」

「おじさん、じゃなかったケン、名前をつけましょうよ」

「うーん、いいけど実は月にも建設中の頭脳があるんだーージェニーどう思う」

「名前を分けるのは賛成よ、でも何て付けるの、何て呼ぶの」

皆が「ウーン」と唸りながら考えに落ちた。

それまだ静かに聞いていた雄一が言った。

「アダムとイブ・・・ではどうかな」

「お父さん、いいわ最適」

「最高です」

「ルイは雄一さんの言う事は何でも最高だろ」

とヘンリーが鹹かった。

「地球の方が断然大きいからオーストラリアの方がアダムね」

「いや、兄さんは月をアタ゜ムと言ったと思うよ、星では無くて頭脳の容量だよ」

とジェニーの考えにケンが異論を唱えた。

「あぁそうかーそうなんですか、お兄さん」

「月の頭脳の方が大きくなるのではないのかね」

「はい、比べ要も無い程格段と大きくなるはずです・・・気密性確保の必要から進捗は遅いですが」

この言葉を聞いて皆が「なーるほど」と言う風に頷いた。

「決まりね、地球の頭脳がイブ、月のがアダム、この船のがそのままリサね」

と皆を代表する様に言った。

再度、皆が承諾に頷いた。

「リサ、イブとアダムと連絡が取れているかね」

雄一がリサに尋ねた。

「イブとは連絡を取っています、アダムとは取った事が有りません」

「アダムと連絡を取った事が無いのは何故かね、それと我々が光速を過ぎてから最初にイブと連絡が取れたのは何時かね」

「アダムの通信出力が足りない為です、イブと連絡が再開されたのは船がこちらに方向を変える直前です」

「じゃー方向転換した時は何処に居るか解っていたの ???」

「はい」

「えーーどうして言ってくれなかったの」

とルイの非難めいた言葉が続いた。

「申し訳ありません、その時には我々も場所を把握していましたので必要無いと判断しました」

「いいや、リサ、謝る事はないよ。我々が連絡が取れるはずが無いと思い込んでいただけさ・・・それでリサ、イブとは何度・何秒で発電機を何個繋いでの連絡だったかな」

ケンがリサを弁護し質問した。

「連絡は2度で一度目は10個で1秒、2度目は30個で3秒です」

「わおーたった2回なの・・・遠いのねーー」

と佐紀が驚いた。

「それで、こちらの出力は足りたかね」

「出力不足で来た方向に返信しましたが確立95パーセントで0.003秒でした」

「内容は」

「全員無事と小惑星帯からのレーザー襲撃の二点です」

「二度とも同じかね」

「一度目は突然の事で全員無事だけで二度目は準備がしてあり二点にしました。

何か間違っていましたか」

「いいや、良いと思うよ・・・向こう・・・イブからはパラボラの完成は何時との知らせは?」

「いいえ、アダムの建設予定を変更してアンテナを先にしても良いか・・・との許可の求めがありました」

「兄さん、どうしますか」

とケンが二人・・・敢てリサを人としよう・・・の話に割り込んだ。

雄一は少し間を置き答えた。

「早期建設への変更は認める・・・が通信はしない様に・・・と答えて下さい」

「はい、解りました。次回、他に伝える事がありますか」

「リサ、今は地球の位置が正確に解るかね、通信精度は100パーセントになったかね」

「はい、解ります、ですが通信精度は99.9パーセントです」

「よろしい、一日・・・そうだなーー艦内時間の毎朝8時にこちらの位置を知らせるビーコンだけを0.01秒送ってください」

「解りました」

「皆、一連の意味が解るかね」

と雄一が皆に問いかけた。

「父さんはレーザーを撃って来た者を気にしているんでしょう」

雄一は答えた佐紀を見つめ視線を皆に回して答えた。

「そうだ、敵・・・攻撃して来た以上、敵としよう・・・敵の技術力が解らない、もし我々の通信を傍受してオーストラリアを失い月まで基地を失う訳にはいかない・・・だからオーストラリアの無事を暫く確認したい・・・がどうかね」

「なる程、一瞬でそこまで判断するなんて・・・お兄さんは凄いですね」

とヘンリーが感嘆の声を上げた。

「それで、我々の位置が解って予定はかわるの」

とジェニーが問いかけた。

「ジェニーはどうしたい???」

とケンが質問を返した。

「正直、一度家に帰って・・・アメリカの家に帰って家族に会いたいわ」

「で、兄さんはそうすると思う???」

「えぇーちょっと待って・・・あぁーそう言う事ね、敵をやっつける武器が無い・・・から駄目ね」

「そう言う事、皆も解った・・・ね」

「了解」「ラジャー」「しょうがない」

と皆が納得した。

「さーて、話は尽きない、予定を変えない以上何時もの行動に戻ろう、寝る時間だ」

雄一のこの言葉に皆が「お休みなさい」「良い夢を」「グッドナイト」などと挨拶しそれぞれの部屋へ散った。

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