第20話 第三段階
研一郎が参加する前も一族の企業は大会社だったが、研一郎が参加して二年で一族の企業は世界一の大企業に成長した。そして、更に大きく成りつつあった。
研一郎が航空機エンジンも開発したからだ。
このエンジンは発電機の改良版でゆっくりとした内部での燃焼を外部の一定方向へ急速燃焼させたものだ。
その為、従来の燃料を一切必要とせず高出力、軽量、だった。
このエンジンを利用し研一郎は垂直離陸可能な大型飛行機を考案していた。
300人乗りの飛行機が垂直に上昇し音速で飛行するのだ。
勿論、一族は新たに航空会社を設立し製造、運行、管制、全てを行う事にした。
このニュースが流れただけで航空会社の株価は大暴落し株券は紙屑になってしまった。
その後の一族の正式発表でこれまでと同様に一般社員の雇用を約束した。
その間に何度もアメリカ軍から連絡があり車の銃弾を防いだ装置の購入と航空機の購入の依頼があった。
だが、研一郎の要望がなくても一族の方針で軍への提供は拒否された。
その後、大統領から直々に連絡がありホワイト・ハウスへの来訪を依頼された。
だが、これも、やんわりと断固とした拒否が伝えられた。
二人が種子島にやって来た時には、事業は全て軌道に乗りジェニーの手を離れていた。
今、世界はウインステッド一族なしでは、立ち行かなかった。
電力、交通、航空、通信と世界中のインフラを事実上、支配していた。
未だに、何れも導入していない国も存在したが、理由はその国が拒んでいるのではなく、内乱中の国、人道的に問題のある国への導入を一族が拒否していたからである。
二人はアメリカから種子島へ来たのではなかった。
事業が軌道に乗ると二人は研一郎が要望したオーストラリアへ向かったのだ。
そこで契約してあった建設会社と協力し広大な敷地に巨大な穴を掘り地下室を作りその上を塞ぎ小さなドーム型の建物を建てた。
敷地の内側200メートルに金網のフェンスを設置し、その内側200メートルに高さ4メートルのコンクリート・フェンスを設置した。
建設工事が終わるとドームには研一郎とジェニーの二人だけになり、その後、数日間に渡り数台のロボットと大量の材料が運び込まれた。
研一郎が設計したものは、自己増殖型のコンピューターだった。
彼は、小さなコンピューターを利用し、ロボットを使い材料から巨大なコンピューターの基礎部分を作った。
その部分は今後作られるものの中枢となるAI部分だった。
彼はAIに制約や防御、監視、通信の機能を設定し最後に増殖能力を設定し二人は種子島へと向かった。
予想された事だったが何度も敷地への侵入警報の報告メールが研一郎に入った。
そのほとんどは、コンピューターからの警告音声で済んでいたが、一件は度重なる警告を無視し金網まで侵入して来た、だが、金網への電流警告で退散していた。
種子島に住み始めて一週間後、研一郎の電話に音声での報告が入った。
コンピューターに音声通信機能が追加されたのだ、着実に進化していた。
この事をジェニーに告げると彼女は、コンピューターに名前を付けようと言い出した。
研一郎は了承し、名付け親の栄誉をジェニーに譲った、彼女は何日か考え「リサ」と命名した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます