第12話 研一郎とジェニファーの出会い

研一郎がMITの講義に外部聴講(無断=不法)し、そこにジェニファーが外部聴講(正式)していた。

講義内容は、客員教授として最先端理論物理学者、学説は「ひも理論」の進化系「ゴムひも理論」の提唱者で前半55分は「アインシュタイン、相対性理論の解釈」休憩を10分取り後半は持論の「ゴムひも理論」の予定だった。

前半開始15分頃、アインシュタイン のE=M掛けるCの二乗の式解説の時、一人の青年が質問した。

研一郎である。

「先生はCを光速と捉えますか宇宙定数と捉えますか」

「一部の解説書には宇宙定数としている物もあるが私は光速としています」

「何故、ここに光の速度の値が入るのですか」

「それは、光が宇宙で一番早いからに決まっている」

「では、今後、どんなに科学技術、特に、実証物理の検知機器が進歩しても、光速を超える物質なり粒子、素粒子はあり得ないと言う事ですね」

「私は無いと思っています」

「では、Mの物質の質量に水1グラムと氷1グラムの算出されるエネルギーは同じ値かと質問、

次にMに炭素、次にプルトニウム235を1グラムの算出されるエネルギー値を質問、

この式から導きだされる数値は、物質が何であれ、質量が同一ならば、放出されるエネルギー値も同一となります、これを、疑問に思いませんか?」と研一郎は疑問提示した。

追い討ちを掛けるように、博士は、アインシュタインの理論によって作られた人類最大の兵器をもちろん、ご存知ですね、原爆です。

これは、核分裂ですが、その後、開発された水素爆弾は核融合です。

自然の核融合と言えば、もちろん太陽ですが、太陽の成り立ちと終焉の理論として最も有力な学説は、もちろんご存知ですね。

原始太陽系で、水素ガス、ちり、岩、などがぶつかりあった。

そして、より高い質量の物質に集まり、一定質量を超え水素がへリュウムへと核融合した。

では、この最初の水素ガスは、どこから来たのでしょうか。

また、地球などの原始惑星は、小さな岩が集まり、より高い質量に引き寄せられ形成された、となっていますが、そもそも、当初の、ちりや岩はどこから発生したのでしょうか。

また、より高い質量に集中するのなら、何故、太陽は、ガスで、水星、金星、地球は岩石で、軌道上の違いであれば、より遠い、木星、土星は何故、太陽と同種のガス惑星と考えられているのでしょうか?。と研一郎の矢次早の疑問は、その場にいる教授を含めた聴講生の沈黙を呼んだ。

暫くして、教授は、「君には、ひょっとして、アインシュタインの法則を内包、又は、凌駕する理論がすでに、あるのでは、ありませんか」の問うた。

「はい、あります、理論だけではなく、式も既にあり、今、私が述べた疑問点を全て解消するものです」との声に会場が、騒然となった。

この時から、偶然、参加していたジェリファーは研一郎の頭脳と巧みな話術とカリスマ性に興味

を持ち始めていた。

後半予定が急遽変更され、研一郎の新理論の講演会になってしまった。

公演予定であった教授の心の広さと好奇心の御蔭で研一郎は自説の発表の機会を得た。

約3時間の公演と質問と説明であったが、理論物理学界に新風が吹き込まれたのは間違いなかった。

それもアインシュタイン以降は彼の理論を基にするものであった。

だが、この若者の理論は、20世紀最大の天才と言われ続けたアインシュタインの理論を完全に覆すものでこの世界では著名で自らも今日公演予定だった「ゴムひも理論」を提唱した理論物理学者の質問に対して全て説明し、この教授を完膚してしまった。

最後に、彼は「理論に過ぎないが、多額ではあるが従来の素粒子衝突実験施設のような途方もない金額は必要ありません、既にこの理論の正当性に対する実証方法は立案住みです」

と言った。

教授が質問した。

「君は一番大事な式を後で、後で、と言いながらまだ発表していないが」の言葉に

「最初は、発表するつもりでした、が、考えればアインシュタインも自分の理論で原爆、水爆を望んでいませんでした。

あの理論であの威力です、この理論を兵器利用すれば、あの程度では済みません。

それで発表は控える事に決めました、例え私をペテン師呼ばわりしようが、仕方ありません、今は、理論も発表した事を後悔しています・・・・そう言う訳でこれで失礼します」

そう言って壇上を降り足早に立ち去った。

皆が呆然とする中、教授は「待ちたまえ」と叫び追いかけた。

また今一人、階段教室の階段を駆け上がり外へと急ぎながら電話を掛けた女性がいた。

そして青年が出て来るのを待っていた。

脇の出口から駆け出して来た彼の後を教授が追いかけて来た。

丁度、彼女が電話で呼んだリムジンがやって来て彼女の横に止まった。

彼女は彼に「早く乗って」と言ってドアを開けた、彼は一瞬戸惑って、聴講していた彼女を思い出したのか、教授の追跡を恐れたのかリムジンに乗った。

彼女が続いて乗り込み車は急発進し、郊外へ向かった、彼女は改めて自己紹介した。

「ジェニフー」ですと、苗字は言わなかった。

「岬 研一郎」彼も告げた

「私の自宅に行きます」と彼女はこれからの行き先を正直に告げ、

「そこで私の父に会って下さい」と言った。

「貴方のお父さんにですか」

「はい、とにかく、会って下さい、貴方に取って会うだけでも損はありません」

「・・・銃も見えませんし、解かりました」

観念した様に言い黙り込んだ、その態度は、まだ信用していない・・との意思表示であった。

「信用して、戴けないのは無理もありません、私も同じ立場であれば・・」

研一郎はジェニファーと名乗る彼女を再度見たが何も言わず正面に向き直った。

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