葛藤

翌朝

 手紙が届いた日の翌朝、真司は親友の立川陽一に電話をした。


「もしもし、陽一、今日遊べる?」


「聞かなくても分かるだろ?だって前に言ったじゃん。宝くじで7億当たったって。」


 今登場した、立川陽一について、紹介をしよう。


 前述の通り、陽一は宝くじで7億を当てている。昔から強運の持ち主で、クジや、懸賞など、そういう類のものは、外したことがない。

そのため、雑誌なテレビなどの取材のオファーも来ているのだが、全て拒否している。理由は、面倒臭いかららしい。今は、ごく普通の一戸建てで一人でゆったり暮らしている。

さらに、テニスが上手い。真司とやり合ってもいい勝負をする。性格は面白い。どんな人、どんな状況でも、笑かすことが出来る。


説明は、これくらいにしておこう。


「そうだったね。じゃあ、いつものカフェに9時に集合ね。」


「はいよ。」


 真司は電話を切り、出かける準備をした。普段、出掛ける時には、暗殺に使う道具は持っていかないのだが、今回は、持っていく。


理由は、あの手紙である。いつ陽一を殺そうと、決心するか、分からないからだ。量は、リュックサック一つ分だ。


陽一も、真司が何の仕事をしているかは知っているので、怪しまれることは無い。まして、他人にバレるようなヘマも起こさない。


 用意が終わった真司は、約束のカフェへと向かった。カフェまでは、十分程で着く。[今日はおそらく殺せないだろうな。]そんなことを考えながらカフェへと向かった。


 カフェが真司の視界に入ってくると、陽一が既に座っているのが見えた。


「ごめん、待った?」


「いや、俺も今着いたとこ。」


 陽一は、注文するのを待ってくれていたらしく、真司と同じタイミングでコーヒーを頼んだ。


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