2020/07/29『ライトノベルの定義とは』

 ライトノベル。ラノベ。よく耳にする単語です。小説において最も若い世代に読まれている様式と言っても過言ではないでしょう。内容的にも文章的にも誰もが手に取りやすく、活字が苦手な人も気軽に読むことのできるのが一番の強みです。若年層のみならず大人までもが楽しめるのもその一つ。冒険物から恋愛物まで幅広いジャンルを内包するライトノベルは、今や日本文学を牽引する大きな存在となっています。

 しかし、僕はふと、疑問に思ったのです。

 ──その定義とは?

 まぁ『ふと』という表現は不適切で、実を言うと常日頃から感じていた事なのですが、そこには目を瞑っていただきたい。

 ライトノベルは確かに人気の高い様式ではありますが、時折、『ライトノベル=オタク』という意味不明な等式を立てる輩が見られます。あながち間違いではなさそうに見えなくもないですが、恐らく彼等の言うライトノベルは所謂『なろう系』、異世界ファンタジーやハーレムものを指していると思われます。

 なろう系はライトノベルであるが、ライトノベルは必ずしもなろう系ではない。

 命題の真偽を未だ授業で教わっていない僕に上手な説明は出来ませんが、このような勘違いをしている輩が一定数居られるだろうと推測されます。

 それは一介の読書家である僕にとっても非常にもどかしいことです(無論、僕はなろう系も好きだし否定する気は毛頭ない)。しかし僕自身も、ライトノベルの定義について完璧な説明が出来る訳でもなし。

 故に今一度、考察しておきたいのです。

 まずは、天下のウィキペディア大尊師様にライトノベルについて訊ねます。結局のところ、ネットで調べるのが素早く何より楽なのです。情報社会万歳。時代は5Gです(無関係)。

 ……どうやら、大尊師様もライトノベルの明確な定義をご存知でないらしい。

 数説挙げるならば、

『キャラクター描写を中心に据え、漫画のノベライズのように作られている』

『青少年(あるいは若年層)を読者層に想定して執筆されている』

『作者が自称している』

 等等……といったところです。他にも多々見られましたが、枚挙に遑がないので。

 取り敢えず三つ目は論外として、一つ目と二つ目に着目して考えてみます。

 まず一つ目。漫画をそのまま小説化したような作品をライトノベルとする、という考えです。

 例えば、長月達平著『Re:ゼロから始める異世界生活(略称リゼロ)』を漫画化してみる。コミックとしてリゼロの物語が描写されている様子を、我々は難無く想像出来ます。そりゃ漫画化されてるんだから当然だろと言われてしまえばそうなのですが、リゼロはエミリアやレム、ラムといった個性的なキャラクターが多く、彼等の描写が中心となって物語は進行していきます。また、戦闘シーンがあったり、主人公ナツキスバルとの掛け合いもあったりと、漫画で描写した際に映えるような場面展開が多いのも特徴的です。

 ならば、芥川龍之介著『羅生門』を漫画化してみると果たしてどうなるか。言うまでもなく、想像のしようがありません。登場人物は下人と老婆だが、各キャラクターの描写は極めて少ない。彼等が起こしたアクションと言えば、せいぜい死人の髪で鬘を作ったことと老婆を追い剥ぎしたことくらいです。漫画にしたところで、言い方が悪いですが映えないということです(芥川さんごめんなさい)。

 刑事もののミステリー小説だって、ドラマ化することは多々あれど漫画化されることはまずない。重きを置かれ掘り出されるのは事件そのものであってキャラクターではないし、その事件も『DEATHNOTE』のような超常的要素が絡むでもない謎と思惑が交錯するただの刑事事件。勿論そこが醍醐味であるのですが、ライトノベルとの差は明々白々です(刑事もののミステリー小説を揶揄している訳では決してございません)。

 次いで二つ目、要は若年層向けに書かれた小説を一般にライトノベルとする、という考え方。これは理解し易い。

 ライトノベルは血湧き肉躍るバトル要素だったり、好奇心を擽るファンタジー要素だったり、思わずニヤケてしまうような恋愛要素だったりと、青少年もとい若年層が好むような内容になっている事が多いです。キャラクターに所謂『萌え』の要素があるのも、一概に若者をターゲットにしているからです。

 言わずもがな『萌え』を好む大人だって少なからず(ry

 そして若者をターゲットにしている以上、文章や描写が難解で婉曲では読者はついていけません。中には広辞苑の如く分厚い書を軽々と読破する青少年もいることだろうが、しかし大多数はそうではない。したがって地の文は読者が親しみやすく、また共感を得られやすい一人称視点でポップに書かれることが多いです。地の文に疑問符や感嘆符がよく使われるのも特徴の一つと言えるでしょう(文学的にありかなしかはさておき)。

 ……以上の二つの視点からライトノベルについて深掘りしました。

 やはり『若年層に向けて書かれた』という点が、ライトノベルの最大の特徴のように思います。漫画だってターゲットとしているのは主に若年層が中心でしょうから。

 結局、双方の定義は言い方を変えただけでその本質はほぼ同じと言えるでしょう。

 総括として、ライトノベルの定義は『若年層向けに執筆された、キャラクターやストーリーに重きを置いた非現実的小説』ということにしておきます。あくまで主観的意見として、の。

 何だかゴチャゴチャしてますが、本人が理解出来てりゃそれで良いんですよ(自棄)。

 まあでも、『ライトノベル≠オタク』を主張するべくして広げた説明にライトノベルの例としてリゼロを挙げた時点で、お門違いも甚だしいのですが。まあ、いいや。

 こう長ったらしく書き連ねてまで僕が述べたいことは『ライトノベルという様式に偏見を持たないで欲しい』ただその一心です。

 若年層をターゲットに執筆された小説というだけであって、必ずしもなろう系のような類いばかりではない。そんな偏見も持つのは貴方が普段小説を読まないからであって、読書感想文を課された時に渋々手に取る本がライトノベルである可能性だって零じゃあない。如何せん、そんな非読書家でも楽しめるようライトノベルは出来ているのだから。

 これから先ライトノベルは、破竹の勢いで増え続けまた進化していくことでしょう。

 ライトノベルという様式の地位が確固たるものとなり、誰もが偏見や躊躇なくそれを楽しめる未来を作り上げていきたいものです。

 ……僕もそのお力添えを、なんて妄言はあまりに烏滸がましいのですが。

 身の程を弁えたところで今宵は就寝致しましょう。一学期はあと残り二日と言われましたが、僕にとっては夏季休暇まで残り二日です。疲労困憊を極めた我が身体と精神は摩耗しとうに限界を突破している。はよ休ませろ。

 それでは皆様良い夢を、おやすみなさい。

 明日もまた、頑張って。











 マジで長ったらしいったらありゃしない。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る