混沌

南海之帝為儵、北海之帝為忽、中央之帝為渾沌。

儵与忽、時相与遇於渾沌之地。

渾沌待之甚善。

儵与忽諜報渾沌之徳曰、

「人皆有七竅、以視聴食息。 此独無有。 嘗試鑿之。」

日鑿一竅、七日而渾沌死。


荘子の『混沌』がふと、そこにあるような気がした。


私たちは逆に穴を塞がれてしまったのではないか。


今まで他者と関わるのは物質的な世界だった。しかし、その物質的な世界と精神的な世界が逆転し、私たちが関わるのは精神的な世界となった。ある一人の感情と思考が滑るように、あるいはすっと広がる霧のように、その意味が変わってしまった”場”の隙間を埋めてゆく。


もはや”私”と”あなた”の区別さえもよくわからない。


私たちは七つの穴を埋められた儵と忽だ。穴を埋められた儵と忽は混沌である。元の混沌と新しい混沌なんていう区別はない。


そして、この意識こそ、混沌だ。


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