第13話 危険

 恋也は体を揺らし始める。その光景を目の当たりにした人たちはどよめき始める。大きく揺れる二人の姿。下に救急隊が到着する。その姿を見た彼らは冷や汗が出る。

「君たち!やめるんだ!落ちるぞ!」

 必死に呼びかけられるがやめるつもりは無い。真保を助けるためにやっているのだからだ。

「真保、そろそろ離すよ!」

「わかった!」

「そこの人!彼女を受け取ってください!」

 恋也は真保を投げる。突然飛んでくる彼女に慌てて受け取り、そのまま倒れる。

「恋也くん!」

 真保が恋也を見ると、掴んでいたはずの手が外れている。誰もが彼の死を覚悟する。

「よく彼女の手を離したな!」

 元気よくレンが言うと、恋也の身体を掴むとクローショットを取り出して、三階の渡り廊下のでっぱりを掴む。そして引き戻して二階の渡り廊下に着陸。

 周りからは大拍手と大歓声。

「レン、それ何?」

「こいつはクローショットって言ってな。何か掴めれる物があれば、掴んでそちらに移動ができるのさ」

「そんなのあるんなら最初に使ってよ!危なかったんだよ!」

 恋也は怒るが、レンはクローショットを見せる。

「悪いがこいつもガタが来ててな。三人も持てないんだ。お前に教えようとも複雑で教えずらいんだ」

 恋也の無事に真保と岩太、実花が走ってくる。



 その後、恋也たちは事情を聴かれた。「手すりが消えた」と話したが救急隊は信じてくれない。だが、それを見ていた人がたくさんいたので、信じれもらえた。しかし、恋也がした女の子を投げる行為は注意された。

「かーなり時間がかかったな」

「そうだね、クレープ食べて帰ろう?今なら空いてると思うし」

 彼女らはクレープ屋に向かう。

「いらっしゃいませ~何にいたしますか?」

 実花はイチゴクレープ。真保はマンゴークレープ。岩太はカスタードクレープにプリンとジェラートトッピング。恋也はシュガークレープにバニラジェラートトッピング。レンの分としてチョコバナナクレープ抹茶ジェラートとバニラジェラートトッピングを注文。クレープを焼いている姿を四人は眺めている。

「お待たせいたしました。イチゴクレープとマンゴークレープでお待ちのお二方様

いらっしゃいますか~?」

「あ!こっちです!」

「はーい。お待たせしました」

 レンはなぜだか普通の人には見えないようにそっと恋也の横に居座る。

「えっと、シュガークレープにバニラジェラートトッピングとチョコバナナクレープで抹茶ジェラートトッピングでお待ちのお客様~いらっしゃいますか~?」

「あ!こっちで~す」

 恋也は手を振って応答する。その姿を見てこちらにやってくる。

「お待たせしました。でしたね」

「え?」

 恋也は目を丸くする。その子も驚く。そしてはっと息をのんで

「失礼しました!お一人でしたね。すみません」

 それを見かけた真保が駆け寄る。

「もしかして、未来?」

 彼女も振り返ると、嬉しそうに笑顔になる。

「真保だー!久しぶり!なになに?遊びに来たの?あ!学校近いもんね」

 未来という彼女は笑いながら言う。彼女は何者なのだろう。普通の人では見えないはずのレンを見たのだ。何かがある。恋也に不安が走る。

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