こぼれ日

 カーテンから光が漏れている。暗い部屋に明かりがさすようにではなく、ぽたぽたと光が垂れていた。

 それは触れないのに確かな粘度があって、なんとも不思議な感覚だった。その上、床に落ちても水滴のように丸くなって動かないものだから、これはどうした物かと頭を悩ませた。

 触れられないのに、確かにそこにある。つまりそれが邪魔な物であったとして、どかすことは出来ないのに、ずっとそこにあり続けるわけだ。

 まぁなんとも迷惑な話である。

 試しにカーテンを完全に閉じ、部屋を暗くしてみたが、やはりこぼれ落ちた光は明るく輝き続けていた。昼はいいのだが、夜も光り続けるとなると厄介である。


 しばらく放っておいてみても、光はそのままだった。床にしみこんだりも、その場を動いたりもしない。うちわで扇いでみたが、やはりびくともしない。紙に乗せて傾けてみてもすり抜けるだけだった。

 床には触れているのに、他の物は駄目なようだった。


 結局その日は箱をかぶせて寝ることにした。


 翌朝、私は光に溺れていた。

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