こぼれ日
カーテンから光が漏れている。暗い部屋に明かりがさすようにではなく、ぽたぽたと光が垂れていた。
それは触れないのに確かな粘度があって、なんとも不思議な感覚だった。その上、床に落ちても水滴のように丸くなって動かないものだから、これはどうした物かと頭を悩ませた。
触れられないのに、確かにそこにある。つまりそれが邪魔な物であったとして、どかすことは出来ないのに、ずっとそこにあり続けるわけだ。
まぁなんとも迷惑な話である。
試しにカーテンを完全に閉じ、部屋を暗くしてみたが、やはりこぼれ落ちた光は明るく輝き続けていた。昼はいいのだが、夜も光り続けるとなると厄介である。
しばらく放っておいてみても、光はそのままだった。床にしみこんだりも、その場を動いたりもしない。うちわで扇いでみたが、やはりびくともしない。紙に乗せて傾けてみてもすり抜けるだけだった。
床には触れているのに、他の物は駄目なようだった。
結局その日は箱をかぶせて寝ることにした。
翌朝、私は光に溺れていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます