右足が埋まっただけ

 右足が埋まった。


 体育が終わり、教室に戻ろうとしたときだった。

 何をしたわけでもない。そこに穴があったとかでもない。ただただ当然のように、僕の右足は埋まっていた。


 力を込めて引き上げようとすると、土に少しひびが入った。でも、それだけ。どう頑張っても右足は埋まっている。


 友達に気づかれた。足を抜くのを手伝ってもらった。僕の右足は大きなカブのよ

うには行かなかった。


 先生が気づいた。大人は直ぐには信じられないみたいで、暫く僕を疑っていた。

 先生が足の力を抜けというので、言うとおりにすると、体を持ち上げられた。


 僕の右足は埋まっていなかった。でも、靴下と運動靴は土の中にあった。

 それが何だか嬉しくて、明日が少し輝いて見えた。

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