第4変 優しい世界
カズミが住んでいた村についた。
村は柵で囲まれており、早見櫓(ヤグラ)が2ヶ所ある。
マキナは、櫓の方を向き手を振った。
・・・「そこで止まってろ!ここに何の用だ?」
マキナは、打ち合わせ通りに返答した。
「村長のナカムラ・コクウに会いに来ました!」
・・・「…今から、人を向かわせるからそこで待ってな!」
マキナは、村の方を向いてたたずんだ。
「(カズミ?今ので良いの?)」
「(問題ないです。また、僕がいった通りに行動してね)」
「(…これって、カズミがやれば良いんじゃあないかしら?)」
「(……アンマリ、ヒトニアイタクナインダ…普通にマキナとして振る舞うことができるけど、軍で身につけた技術を使って、この村の人を騙すような真似は…やりたくない…のです)」
カズミは、村を見てから悲しみや恐怖歓喜と言った感情が怒濤のように押し寄せていた。
「(…そう…分かったわ。でも、私、人生で門番のケールとカズミとしか、ほとんど会話したことないからフォローは御願いね!)」
「(了解)」
二人が話している内に一人が村の入口に近づいてきた。
・・・「一人でこの村に何の用ですか?」
「(アスカ!)」
カズミの心の声にマキナは一瞬硬直したが、心の中のカズミの言葉に合わせて話始めた。
「…私はマキナと申します。ここに来た理由は、この村では移住者の募集をやっていると昔に聞いたことがありましたので、住む場所を探すために来ました」
少し詰まりながらマキナは、話した。
「移住者…もう、労働者の募集はやってないのだけど…一人ですか?」
「…一人です。…二人で来たのですが…今は一人です」
「一人ですか、そこで待ってて…」
マキナと話していた女性は、
マキナは、カズミと話そうとしたがカズミは生返事しかしなかった。
また、先程の女性が戻ってきた。
「私の名前は、アスカよ。この村の村長をしているわ。とりあえず、私の家に来てもらいます」
「はい!」
マキナはアスカの後ろについて歩いた。
すぐに家に通され、マキナはアスカに促されたままに椅子に座った。部屋にはアスカとマキナしかいない。
マキナは、村に入ってからぎこちない歩き方をしていたが、もう慣れたのか、部屋に入ってからは物珍しそうに部屋の中を見ていた。
「不用心過ぎるって思ってる?」
「へ?!いえ!人の家に入ることが余りなかったので」
オーバージェスチャーでマキナは言った。
「そう、ですか。でも、初めに言っておくわ。私は魔法が使えるの。この村で一番強いからね!」
「抵抗するなってことですね。分かりました」
「そう言うこと!で、誰に聞いたのですか?この村のこと…」
「カズミという方です」
「カズミ…」
「一緒に来た方って言うのがカズミですか?」
アスカの声が震えているようだった。
「いえ、違います」
「カズミは、生きているのですか?」
「…分かりません」
アスカは、息を吐いた。
「は~、そうよね。カズミは2年前に死んじゃったもんね。ごめんなさいね変なこと聞いて…とりあえず、当分の間は私の家であなたを保護します。明日には村の人に顔見せしてもらうから今日のところは隣の納屋で寝てもらいます。良いですね?」
「はい!ありがとうございます!」
ドアが開いた。そこには、カズミが知っている村長がいた。
「アスカ、もうお前が村長だからなにも言いたくはないが、素性が分からない人を村に入れるなら、迷惑をかけないよう…村の皆にその理由を説明しなければならんからな」
元村長は、アスカに話ながら外から来たマキナを見た。マキナに迷惑をかけるなと念を押してきたのだ。
「分かったわ。ってことで、私は明日の段取りと夕御飯の準備するからコクウおじいちゃんはマキナの面倒見てあげてね!」
「ん?分かった…え?わし、お父さんだけど…」
元村長の返事を聞いてアスカは部屋を飛び出していった。
「すいません。ご迷惑をおかけしています。私、マキナと申します」
「…コクウです…いや、良いよ。私も昔、拾った子供を村に無理やり住まわせたことがあったからな。」
「それって、カズミのことですか?」
「ああ、カズミと会ったことがあったのでしたな。外で聞かせてもらっていたんだが…」
そう言いながら、元村長はマキナの斜め前に椅子を出して座った。
「あ!気にしませんよ!」
マキナは外の人の気配には気づいていたので、焦って取り繕った。
「それに、カズミの昔の話、聞かせてくれませんか?」
元村長は、見た目の堅物な印象とは違い、
元村長は、カズミを孤児として引き受けたところから村の人の説得、川で溺れかけたこと、アスカとの喧嘩や毎日の畑作業や家事の手伝いについて話してくれた。
カズミは、村長が自分をどれだけ大事にしてくれていたのか分かった。
話す間に、私が2日間でリンゴしか食べてないことを知ると、お湯を沸かしてすぐに温かい
少しだけお塩が入っていて美味しく温まれた。
マキナが笑顔でお礼を言うと、元村長は可愛げに照れてくれた。
「(リンゴ…一つじゃなくいっぱい食べたんだけど…これは、言わないでおこう)」
この事には、カズミも同意していた。
「…でね、マキナさん。マキナさんは移住者の募集の件をカズミから聞いたと言っていましたが、実際は村で募集をしたことはないのです。初めにも言いましたがカズミは、孤児だったのです。カズミには、労働力を募集した中での子供枠として村長が引き取ったことにしていました。なので、カズミがマキナさんにそう教えてしまったのでしょう…実際は、カズミの父親が私の親友だったのですが、両親が事故で亡くなってしまい天涯孤独になったカズミを私の養子にしようと考えていたのです。しかし、村人の反対が出てしまったので、使用人(小姓)としてカズミを養うことにしたわけです。だから、私も余り強くアスカに言えないんですよ。ハハハ…もう、カズミも知っていると思っていたのですが、知らなかったのですね…」
村長は、遠い目をしながら最後に呟いた。
マキナには少しだけ悲しそうに見えた。
「(カズミ!カズミ!村長さんいい人だよ!本当のこと話さなくて良いの?)」
「(…うん。大丈夫。十分だから…迷惑をかけられないし…)」
マキナは、うなずいた。
「カズミは、2年前に亡くなったとアスカ村長さんから聞きました。カズミもお空でお父様の話を聞いて喜んでいると思います」
「そうですかな…おっと話しすぎましたな」
ギィッギィッギイッ
入口の階段が軋む音が聞こえる。アスカが帰ってきたのだろう。
「ただいま~!明日の件を伝えに行ったらお野菜貰えた!おじいちゃん、マキナさん待ってて!ご飯作るから!」
「お父さんじゃけど…」
「(手伝います!)」
カズミの声に合わせてマキナも声に出してしまった。
「手伝います!…(カズミ!私!料理できないよ!)」
このあとは、マキナからカズミに体の操作権を移し、アスカと一緒に懐かしい料理を作って三人で食べた。
本当に楽しい食事だった。
食器を片づけていると元村長が少し照れながらアスカの所に来た。
「いやー慣れないことはするもんじゃないな!」
そう言いながら、棚の上段から少し焦げた器を出してきた。
「おじいちゃん…まずは?」
「ごめんなさい…焦がしました…」
マキナは、慌てて二人の間に入った。
「あの!コクウさんは!私が2日間あまり食べれてないことを心配してくれて…ご飯前に、オモユを作ってもらったので…」
「マキナちゃん、大丈夫。怒ってないよ。とりあえず、おじいちゃんは部屋掃除一週間ね!」
元村長も、娘には勝てないようだ。
洗い物が終わったあと、マキナは家から少し離れた納屋の整頓された一角に通された。
「ここは、カズミが寝てた場所なの。カズミの知り合いだもんね!好きに使ってね!」
「あ、ありがとうございます!」
その一角は、10年前と変わらず、シーツも換えられており、綺麗なままそこに存在した。
マキナは、カズミと色々話したかったが、カズミが、牢屋で話してくれた自分の場所をそのまま残してくれていたことに感動しているようだったので、黙って布団に入った。
その夜…
「マキナちゃん。起きてる?」
納屋の前でアスカが小さな声で呼んでいた。
「はい。起きてます。」
アスカが枕を持って納屋に入ってきた。
「(不用心すぎだぞ!アスカ…大丈夫か?)」
カズミは、慌てていた。
「クスクス…」
「どしたの?ま、いっか。少し話そ?…ダメかな?」
「どーぞ」
マキナは、そう言いながらベッドの隅により布団を捲ると。すぐにアスカが滑り込んできた。
「やったー!寒かったんだよね」
アスカはマキナの片手を両手で握った。マキナは手を伸ばしていたので、握られた手がアスカの下腹部辺りに引き込まれる形になる。そして、アスカの放漫な胸(黙っててすまんの(*^^*)ウプヌシより)が二の腕にひっつく。
「さむさむ~」
マキナは、カズミに体の主導権を投げた。
「(ん~!!!)」
「不用心すぎですよ!あ、アスカさん!」
「ゴメンゴメン、同年代の子は皆、結婚して家族がいるし、カズミのこと知ってる人に会えて童心に返っちゃった」
カズミは、アスカとは10年ぶりに会ったが、胸が大きくなっただけで、顔は少し幼い気がした。
「あ、いや、あれは…大丈夫です。少し驚いただけです。余り人肌の温もりを感じてこなかったので…むしろ、気持ち良かったというか…なにいってるんだろ?」
「マキナちゃん…力入りすぎだよ。色々あったんだよね…」
アスカはマキナの頭を抱き締めた。アスカの鼓動が聞こえる。ゆっくりとした落ち着いた鼓動だった。
マキナの全身の力が抜けた。
「もう、大丈夫、大丈夫だから…」
「…ありがとう…」
カズミの意識は、ここで眠りについた。
マキナは、握ってくれていたアスカの手の感触を探すようにアスカの太ももと太ももの間に手を伸ばし触れた。
「ももの間って手を入れると暖かくて落ち着くもんね…」
マキナは、少し浮かしてくれたアスカの足の間に片手を差し入れた。
「暖かい…」
「フフフ…マキナちゃん見たときカズミかなって思っちゃったんだ…全然違うのにね…カズミにもぎゅってしてあげたかったな…」
抱き締められて見えなかったが、アスカは泣いているようだった…
二人はカズミの昔の話をしたが途中で寝てしまった。
カズミは、2年ぶりに熟睡できた。
そして、マキナはカズミに対して抱いた感情と同じ感情をアスカに対しても抱いた…
しかし、この感情がなんなのか、マキナにはまだ分からなかった。
次の日の朝、村の朝は早い。
※※※※次回予告※※※※
はぁ…至高にして究極の皆の夢、好きな人に抱き締められてやりたいこと優先順位第一位!太ももの暖かみを感じること…
女の子の太ももには、黄金三角形が宿り、その三角形の頂点から伸びる直線は官能の極地!そして、黄金三角形の淫靡(インビ)な湾曲をした底辺には、カースト底辺には到底届かない桃源郷が広がっている。
百合は眺めるのみ、踏み込んじゃならねぇ。
踏み込むんじゃねぇぞ…
次回第5変 懐かしい景色、眩しい世界
Catch you later! またね~!
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