第九話 体育祭が気が気でない 後編
第九話 体育祭が気が気でない 後編 ①
いよいよ今日は体育祭本番!
体育着で登校だ。
奈緒と二人、体育着で学校へ向かう。
「負けないからね! 奈緒っ!! 玉入れで勝つのは一年四組だからね!」
「何だ、あれだけ隠してきた癖に」
「うるさいなぁ! てか『あれだけ』って、すぐにバレたでしょうが」
「ぴょんぴょん♪」
「やーめーーろーーー!!」
「ほら、こうやって……。ぴょんぴょん♪ ぴょんぴょん♪」
奈緒はにやけながら、例のウサ耳ポーズをして僕をからかう。
「もうっ……。奈緒は僕をからかうのが好きなんだね」
「ああ。お前が可愛くて仕方ないからな」
「だから格好良いと……」
「お前の柄じゃ無いだろ」
「うっ……」
悔しいがこれと言って反論できない僕であった。
「それじゃあクラスの皆で
クラスの全員が教室に集まった時。
早速、クラス委員長の田口志乃さんがクラス全員に呼びかける。
どういう並び順で、とか決めていないんだけど、何故だか自然と集まって円陣を組めた。これぞクラスの
僕の右には風見、左には中島。多分仲良し三人組だ!
「一年四組、絶対優勝っ!! 気合い入れて行くぞ!」
クラス一の
「オーッ!!」
クラスの皆が声を合わせて叫ぶ。
行くぜ体育祭っ!!
最初の種目は花形中の花形、男子リレー。
栄光ある第一ランナーは……そう、彼!
「中島、頑張れよ」
僕は中島の肩を叩き、
「ああ、絶対に勝ってやるよ!」
中島は
期待しているぞ、中島っ!!
入場行進や開会式は別に見たくないでしょ? だから省略。
僕らは
コースの外にあるクラスの観客席からクラス一同、中島を見守る。
「頑張れー!」
「ファイト!」
クラスの連中が口々に
「絶対優勝してやるぜ!!」
中島は手を振った。
「中島ぁ! 飛ばして行けぇ!!」
僕からも飛びきりのエールだ。
「颯太ぁ! 行くぜぇぇぇぇ!!」
中島は大声で僕のエールに応えた。
「位置について……用意、ドンッ!」
さあ、運命の
中島、速いぞ!! 万年ベンチとか言ってごめんよ、実力あるじゃないか!!
こりゃ中島を正当に評価してあげられない男子サッカー部の方に問題があるな。
「おーっ! 良いぞ、中島ぁ!」
「ガーンバ!!」
「すげぇな!!」
一年四組の席から七色の歓声が沸き上がる。
「行け行けぇ!!!! すごいぞ中島、ファイト!!」
僕も思いきりエールだ。
中島の快進撃は止まらない。二位を大きく
「あっ、ああっ……」
一年四組の席から聞こえる
「ワハハハハハハハ」
それ以外の席から聞こえる
中島…………やらかしたな。
途中で
転んでいる間、他のクラスに次々と追い抜かれ……立ち上がり、走り始めたら時既に遅し。
中島、圧倒的最下位。
「ドンマイ、中島……運が悪かったな」
僕は中島に
「お前に俺の何が分かるんだ! 俺はこの日に命を賭けてきたのに……。ううっ……ううううっっっ……」
中島は
放っておいてやる他無いな、これは……。
幾らかの僕とは関係無い競技を挟んで、今度は女子走り幅跳び。
お待ちかね! 奈緒が出場だ。スタートラインに奈緒は立つ。
「奈緒ーっ! 奈緒ーっ!」
届け、僕の声!
……どうやら聞いてなさそうだ。
「マジかよ、あれが颯太の姉ちゃんかよ」
「やべぇ、美人すぎるだろ」
「エッロ!」
「肌白っ!」
「ヤりてー!」
クラスの男子達の噂話が聞こえる。お前ら……
「走っている時の乳揺れに期待だな!」
隣でキモい事を言う風見。
「なあ、殴られたいの?」
「いやいや、そういう訳じゃ……」
「全く……。おっ、そろそろ始まるぞ!」
「位置について、用意……ドン!」
ピストルの音と共に奈緒は砂場めがけて走り出した。
快調な走り出しだ! 行け! 行け! 頑張れ!
「あっ、颯太、奈緒のブラがチラリ!」
「えっ……?」
「嘘ぴょーん!」
「風見、キメェんだよ!」
「ふぎぃっ!」
風見の頭上にゲンコツをお見舞いだ!
全く、こいつは……。
こうして風見に気を取られている間に、奈緒の出番は終わっていた。
クッソ、奈緒が跳ぶ姿……見たかったのに!!
「嬉しそうだった癖に……」
「うっせぇ!」
風見に
どうやら奈緒、女子走り幅跳びで二位だったようだ。やるなぁ!
運動部の奴もいる中、帰宅部なのにこの
今の内にお祝いの言葉、考えておこっと。
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