才能・夢に生きる人を描いた作品3選【いずれも短編です】

 タイトルにある通り「才能・夢に生きる人を描いた(のだろうと私は解釈した)作品」を三つ紹介します。以下、ネタバレ注意。


『とある音楽家の遺言』 作者 saw

https://kakuyomu.jp/works/1177354054934221081


 経済的理由という外部要因により、才能ある人が夢半ばにして頓挫するパターン。

 Twitterでもつぶやきましたが、嫉妬の対象がいつまでも嫉妬の対象でいてくれることは、実のところ結構幸せなことだったりする。いつまでもかの憧れが目の届くところで光り輝いてくれているなどと思うな──みたいな。

 ただ、件の作品においては才能ある側が「心底君達が憎い」と胸の内を言語化してくれているので。"俺"からすると苦い話だが、一歩引いて見ると互いに思い思われている分、"不幸中の幸い"を描いた話であるようにも思う。


『Line』 作者 辰井圭斗 

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054919041393


 才能ある人が異性であるパターン。

 こと「才能」を題材とした作品において、才能ある側が異性であるか同性であるかは結構重要だったりする。たとえば──主人公が(異性愛者であること前提になるけど)男性として、嫉妬するその対象も男性であるとき、恐らくその感情はよりストレートで、しかし傍から見ると存外爽やかに映るのではないかと思う。一方、嫉妬の対象が異性──それでいて見目形が整っているとなると、これはまあ

 この場合どちらがより気が楽かとか、そういう話ではないのだ。方向性が違い過ぎるあまり、比較のしようがないので。


『野に消えた線路』 作者 濱口 佳和

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054917548313


 上記二つが才能のある人とない人を主軸にしているのに対し、こちらは夢にいきている人を描いたパターン。

「だから、夢を持たず流されるままの子供たちが歯痒かった」という一文がやはり好きで。元より子どもたちは皆そういう気質であった──などと云えばそれまでなのだが、やはり「人は夢を追ってこそ」みたいな父の背中(当人に斯様な意図はなかっただろうが)が、かえって子どもたちを息苦しくさせてしまったのではないか、と。夢を追う人が図らずももたらす"余波"を描いていて、凄い着眼点だなぁと思う。


 11『Étoile』 作者 姫乃 只紫

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054919328175/episodes/1177354054922297085


 3選は終わったのでもう読まなくていいです。というか、上記リンク先が連載小説の一部なのでこれだけ読んでも甚だ微妙だと思います。が、一応概要だけ。


 こちらは才能ある人がより適性のあるもの、情熱を注げるものを見つけてそちらに方向転換してしまうパターン。


 わかりやすく云うと、たとえば貴女が中学時代バスケ部のA子さんだとして。当時絶対的エースで皆の羨望の的だったB美先輩が卒業。その後、先輩と同じ高校に入学して「またB美先輩とバスケができる! 先輩のプレーが見られる!」かと思いきや、「テニスめっちゃ楽しいんだけど⁈ A子もやらない?」って欠片の悪意もなく誘われるタイプ。せめて勧誘とかいう追い打ちやめろ。

 別に統計をとったわけではないが、リアルだとこのパターンが一番多いのではないかと思う。諦めたのではなく、適性込みで吟味してこっちのルートの方が有意義じゃないかと判断した結果──みたいな。ぶっちゃけ「夢半ばにして挫けた」というエピソードは共感を得やすいというか、開示の仕方によっては格好イイので。

 自作語り不得手過ぎて何を云いたいのか自分でも皆目わからないのだけれど、"彼女"はただ小説好きで好きで仕方ないから書いていたわけじゃあなくて。「将来の為、より時間を費やすべきことが他にある」と解っていながら、それでも書かずにはいられなかった──みたいな在り方が好きだよ、好きだったよとだけ。 

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