NewGame+(2周目は宝探し) 『僕とばーちゃんと、時々彼女の島 ~僕の穏やかな島暮らしが終末を迎えるまで~』

【作品情報】

『僕とばーちゃんと、時々彼女の島 ~僕の穏やかな島暮らしが終末を迎えるまで~』 

 作者 武石雄由

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054896073151


【紹介文】

※昨今のコロナ禍を思わせる描写があります。不謹慎、不快と思われる可能性がございますのでご注意ください。

 僕はばーちゃんとふたり、この島に暮らしている。

 生まれてからこの方、一度も外に出たことはない。

 そんな僕が知るヒトはばーちゃんと、

 本土から船で毎週のようにやって来る年上の少女アカリだけ。

 このままずっと三人で続くと思っていた穏やかな暮らしは、

 一人の漂流者を発見したことから崩れ去っていく。

 ばーちゃんのかつての部下だった彼は、世界中を震え上がらせたという感染症に冒されていた——

※この作品は「小説家になろう」「ノベルアップ+」と重複投稿になります。


「洞窟の比喩」なる話を思い出しまして。

 私たちは、洞窟の中で鎖に繋がれたまま生きている。手足はおろか、首まで拘束されているので、後ろを振り返ることもできない。背後では炎が絶えず揺れていて、壁に映る人影を"現実"として眺めている他ない。


 あるとき、繋がれているうちの一人が解放される。


 振り向いて、これまで"現実"として受け容れてきたものが、炎に照らされた人形の影に過ぎぬと──世界が、洞窟の中だけに留まらぬことを知る。この世を照らすものが、炎に留まらぬことを知る。その"現実"を洞窟の中にいる人々に伝えるが、彼らはまるで聞く耳を持たない。


 そう、元より"こう"であったものに、人は違和を抱きようがない。


 第6話──オサナイの「その事実をどう受け止めている」という言葉に対する反応がリアルだなぁと思っていて。然して重く受け止めるでもなし、「確かに、そう云われてみれば」とハッとした様子もない。


 そりゃあ──物心ついたときから、そういう人が傍に居たのであれば「こういう人もいるのだろう」程度にしか思うまいて。


 しかし、ある種の旧人類からすれば、新人類とでも呼ぶべき彼らの特徴は異質でしかなく、さりとて彼らを異質と見なす常識は旧人類が創り上げたフィクションに他ならぬのですが──。

 読み通したあなたは、ぜひ二周目をおすすめします(と勧めるまでもないやもしれませんが)。一周目の時点では違和を抱かせぬよう巧妙にカモフラージュされた伏線がいくつもあり、さながら宝探し的な面白さが味わえるのではないかと。

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