2020年プロを目指す作家の生存戦略【目指すはVtuberなのか】

 作家の場合、はたしてどういう結果を出したとき、才能があったと認めていいのだろう──というのを最近よく考えるわけでして。

 たとえばあなたが何かしらの賞──大賞に輝いたとして、あなたの作品が刊行される運びと相成りましたおめでとうございます! けど、思ってたほど売れませんでした。むしろ金賞・銀賞とった人の方が数字出してます! とかなったらもうわかんないじゃないですか(笑)

 賞は取れなかったけど、自費出版で本出しました! SNSやYouTubeでメッチャ宣伝しました! アマチュア時代に増やしたフォロワーの応援もあってバズりました! 本売れましたわ~! とかなったらはたして誰が一番作家として才能があったということになるんやろうね(もちろんこのたとえはフェアじゃない。大賞をとった作家に全く宣伝のノウハウがないことを前提にしているわけだから。ただ、こういう状況がリアルに発生したとき、誰が一番才能があったかって断定するのは難しいでしょ? というお話。あくまで一冊目の売れ行きにフォーカスしているので、もしかしたら二冊目以降は違う結果が待っているかもしれない)。

 

 やっぱり才能の有無を語る上で、売り上げという成果を切り離すことはできないじゃない。


 あと、自費出版ルートをやたら下に見るヤツ偶におるけど、会社の名前つけて刊行する以上は相応の手直しガッツリ要求されるし、山田悠介先生という初手自費出版から成果を上げた前例もあるからね? ちなみに先生のデビュー作『リアル鬼ごっこ』って一時期文章力云々うんぬんを理由に某掲示板とかで結構叩かれたんだけど、今になって思えばこれも良い方向に転ぶきっかけだったよなーと思っていて。

 

 商品にとって一番悪い状況って、良い評判があることでも悪い評判があることでもなく、良い評判も悪い評判もないことだからね。


 ない評判を頑張って覆すことはできない。

 うん、さらに意地の悪いことを云うと、「ただ面白い作品が書ける人」と「自作をSNSやYouTubeで宣伝できるノウハウがある人」だったら、より有能なのははっきり云って後者じゃないですか。上手く宣伝できるということは、フォロワーやチャンネル登録者を伸ばす方法もある程度理解しているということだし、YouTubeやってる時点で配信の仕方もわかっているわけですから。動画編集スキルあるのかもしれないし、依頼しているのだとしたらそういう人脈があるわけだし、もしかしたら編集なんて要らないレベルのトークスキルがあるのかもしれない。


 結局、今のご時世は「あなたの商品は何ですか?」という質問に複数回答できる人間が強い。


 だから、私もここ最近ブログ始めたり、プログラミング勉強したり、YouTubeや書籍で投資の勉強したり、セルフバック(ただ、コレに関してはどうにも個人情報の切り売り感は否めないので。やってみたいと思う方は注意されたし)で軍資金稼いだりとか色々着手しておるわけでして──そんな世の中だからこそ、特に作家にとっての「あの人才能あるよな」の定義って、もう大分あやふやになってしまったなぁと思うのですよ。

 実際、商品と云えば私思い出すのはVtuberで、今やしぐれうい先生や伊東ライフ先生、クリムゾン先生など、多くの漫画家あるいはイラストレーターがクリエイター系Vtuberとして界隈で活躍されているわけじゃないですか。云えば、ああいう方々こそが「あなたの商品は何ですか?」って質問に複数回答できる人たちよね(しぐれうい先生に関しては、正直私も配信を追ってる身ではないのであまり突っ込んだことは云えないのだけれど、作業メインのソロ雑談配信で同接一万出してるの見たときは流石に震えた。YouTube事情に疎い方にはピンとこないだろうが、ソロで同接一万はマジでエグイ)。

 そういう点じゃあ所謂絵師の「あの人才能あるよな」の定義も、もう──何かあってないようなもんじゃない? 絵だけで食っていけるいけないとかじゃあなくて、もう「ただただ絵が上手いだけの私」を発信する時代がそろそろ終わりを迎えつつある気がするなって。

 

 だから、あなたが商業出版ルートか自費出版ルートか、どちらを選ぶにせよデビュー後の生存戦略──「面白い作品が書けます」という以外の商品を提供できるどうかってところに意識が向いていないと、いずれ詰むと思うんだよね。


 すごい極端なたとえだけど、あなたが大賞をとってやったぜーってなってるときに、金賞か銀賞とったヤツが実はメチャクチャイケボか萌え声でSNSやYouTube駆使してバリバリ宣伝しだした挙句上手いこと大手と絡み出したら多分あなたの作品何の対策も講じない限り、秒で消えるからね? なかったものとして扱われるからね? それが現実。大手本屋の平棚に並ぶと云えば聞こえはいいが、すいませんそもそも現代人ってそんな本屋行きます? え、最近出たあの実用書の中身が気になる? YouTubeで要約動画アップされてるよ! あのラノベが面白いかどうか気になる? YouTubeでレビュー動画アップされてるよ! そう、それが現実。

 改めて未来に目を向けるって大事よねというお話でした。別にだから皆さんVtuber目指してどうぞ! という話ではない。

 そういえば、Vの者繋がりでなろう時代の友人(ラノベ作家志望)が「ラノベはどうあがいてもにじさんじに勝てないから」と云って筆を折ったことをたった今思い出しましたが、その話はまた後日──気が向いたら書きます。うん、そうだね、にじさんじは多くの創作者を生み出し、発掘し、界隈に良い刺激を与えていった(そして今なお与え続けている)一方で、一部創作者の"何か"を確実にへし折ってはいったよね(念のため云っておくがこれはディスではなく、ただただ素直な胸の内である)。ではまた~。

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