同じく"衝撃"を受けた身だったので 「『ゴッホの手紙』の衝撃」

【作品情報】

「『ゴッホの手紙』の衝撃」 作者 ネコ エレクトゥス

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054894728645


【紹介文】

 そしてこれまでと同じようにゴッホの『ひまわり』を見れないと思う。そこまでゴッホを掘り下げた小林秀雄の名著『ゴッホの手紙』。


 同じく衝撃を受けた身だったので──僭越ながらこういった形で推させていただきたく存じます。

 ゴッホと云えば、芸術にいくら関心があろうとなかろうとまあ誰でも名前くらいは知ってるよねというレベルで有名な画家ですが──恐らく多くの人の中では「狂気の天才」として、彼に対するイメージが定着しているのではないでしょうか。

「え~、だって自分で自分の耳切ってるし、挙句拳銃自殺したヤベーやつでしょ? 怖~い」みたいな(とはいえ、ゴッホの自殺については実は他殺だったんじゃねという説もあります。動機どうこう以前に拳銃を入手したルートがそもそもわからない──とかね?)。絵に関してもきっと自らの感性が赴くまま、奇才に突き動かされるがまま筆を走らせていたんやろうなぁ──などと想像されがちであるように思います。


 ところが、彼の死後発見されたメモ書きや弟・テオに宛てて送った手紙を見るに、どうも事実は異なっていたようで。


 生前ゴッホはテオにメチャクチャ手紙を書いているんですが、「次はこういうテーマで描こうと思っている。なぜなら今俺の中でこのテーマがアツいからだ」とか、「次はこういう構図で描こうと思っている。そしてこことそこはこの色にしようと思っている。今俺の中でこの色がアツいから」とか、そういうのを逐一テオに報告しながら着実に絵を作成していたんですよね。


 狂気に踊らされるがまま、ただただ筆を走らせていた芸術家ではなかった(実際入院していた間も幻聴が聞こえているときなどは筆を取らず、比較的症状が落ち着いているときにのみ絵を描いていたそうで)。


 こういう背景を知ると、ゴッホが入院中窓から見える景色を描いたとされる『星月夜』や『オリーブ園』に見るあのうねるような、鬼気迫るような力強い筆触にも何やら別の感慨を覚えてしまいますね。ちなみに私が好きなゴッホの絵は『花咲くアーモンドの木の枝』です。

 さて、ゴッホと云えばポスト印象派──つまりは印象派が流行った少し後の世代。印象派と云えば、モネやルノワールが有名ですが、私はルノワールの生き方にものがあります。

 自分の表現したいものは貫きつつ、一方で長いものには適度に巻かれつつ(印象派という実質アンチサロンの出でありながら、良いタイミングで貴族ウケする絵を描いてサロンで大絶賛、裕福になって好きなもの描き放題、モデル選び放題となっているワケですからね)──。断じて裸婦を好きなだけ描きまくれる裸婦天国が羨ましいとか、そういう意味で云っているのではなく。

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