珈琲は月の下で
カラン、とドアベルが鳴り、いらっしゃいませ、と言いながらドアの方を振り向くと、げっそりとした様子のマツダ君が立っていた。ほんの少しだけ目を見開く。
「マツダ君。なんか久しぶりやね」
「アヤノさん……」
マツダ君が泣きそうな顔をしながら、「何か食べさせてください……」と続けたので、思わず吹き出した。
「勿論かまへんよ。ちょうど席も空いとるし。お代さえちゃんと払ってくれればやけど」
「え、なんか言い方冷たくないすか……」
「金ないけど食わせてくれ~って言われたら、少し考えてまうよね~、流石に」
マツダ君の定位置である窓際の席が空いていたので、手で指し示すと、マツダ君は、「あ、すんません、今日はこっちでも良いすか」と、別の奥の方の席を指差した。
「うん、好きなとこ座ってや」と言ってから、キッチンへと下がり、お冷やとお手拭きを用意して、マツダ君が座った奥の方の席へと運んだ。
「何にする?」
注文票を手に聞くと、既にメニューとにらめっこを始めていたマツダ君は、たっぷり10秒ほど考え込んでから、「ミックスサンドください……」と小さな声で言った。
ミックスサンドは当店のサンドイッチメニューの中でも1番安価なメニューである。それは、男子大学生が満足するようなボリュームでは到底ないことを表している。
壁にかけた時計を振り仰ぐ。ただ今ちょうど午後3時。
「ミックスサンドだけでええのん? お昼まだやからそんな死にそうな顔してるんちゃうん?」
「そうです……」
「いつものカツサンドとか大盛りカルボナーラじゃなくてええのん?」
マツダ君の喉から、グゥッ……と何かを堪えるような音がした。分かりやすくてオモロいな。
「……ミックスサンド、の、」
「はい」
「……心持ち、大盛りを」
「サンドイッチの大盛りメニューはやってへんで」
「冷たい……」
マツダ君がテーブルに突っ伏した。「商売の世界は厳しいんや」と言いおいて、注文票にミックスサンドと、マツダ君がいつも頼むアイスカフェラテを書き記した。
私がマツダ君について知っていることと言えば、近所に住んでいること、近くの大学に通っていること、本が好きなこと。これくらいだ。3つ目は、このカフェに来るお客さんの大半に言えることやけど。
なんたって、うちは一応、ブックカフェなんで。それぞれのテーブル席の近くの本棚や、カウンターに、様々な本を並べ、好きに手にとって読めるようになっている。気に入ったら、購入も可能。
そういえば、マツダ君は自分で小説を書くことも、時々あるらしい。
ちなみに読ませてもらったことは一度もない。ペンネームや小説投稿サイトでのURLを聞いたことはあるけど、断固拒否された。ドリンク100円引きクーポン10枚綴りで釣ろうとしたけどダメだった。
「はいお待たせ~」
出来上がったミックスサンドとカフェラテを運んで行くと、マツダ君は席に一番近い本棚に並ぶタイトルをボーッと眺めていた。この辺りの本棚は、一般文芸や、少し古めの、いわゆる純文学が並んでいる。
マツダ君がいつも座る席近くの本棚は、ライトノベルやライト文芸なんかが並んでいるので、趣向は大分違っているはずだ。
「読書傾向変えたん?」
テーブルにミックスサンドとカフェラテを並べながら聞くと、マツダ君は「はい、まあ……」と曖昧に頷いた。
「ふーん。あんなにライト系が好きやったんにねぇ」
「別に、嫌いになった訳じゃないですよ。ただ、読書範囲を広げて見識を深めてみようかと……」
マツダ君は言い訳のようにボソボソと言いながら、ミックスサンドに向きなおり、食べ始めた。
ちょうどその時、他の席のお客さんが「ごちそうさまです」と言って立ち上がったので、「ありがとうございます~」と返事をして、レジへと戻った。お客さんのお会計を済ませて、頭を下げて見送ると、店内には私とマツダ君の二人きりになった。
帰っていったお客さんの皿をキッチンに下げてからテーブルを拭いた。チラリとマツダ君を振り返ると、やはり、もうミックスサンドを食べ終わっていて、少しだけ血色の良くなった顔で、どこか遠くを見ながらカフェラテを啜っていた。
マツダ君の向かいの席に腰を下ろす。
「全然足りひんやろ」
「……はい」
「金欠なん?」
「……はい」
「なんや、風俗かいな」
「違いますよ!」
マツダ君が顔を赤くして慌てて否定したので、「冗談やって!」と言って笑った。
マツダ君はまだ少し赤い顔のまま、グラスの中の氷をストローでガシャガシャと乱雑にかき回しながら、何か考え込むようにした。グラスの中を見つめたまま、ボソボソと話し始める。
「……仕送り、止められちゃって。うち、元々、学費と家賃と、あとは必要最低限の生活費を毎月送ってもらってて。その他の遊びとかに必要な金は自分で稼げっていう方針なんですけど。少し前から仕送り全部止められちゃって……」
「ほーん。なんでまた」
「親と喧嘩しちゃって……その……就活しないって宣言したら、めちゃくちゃキレられちゃって……」
思わず眉を少し上げてしまう。「どしたん? 前に来たときは就活してたやんな?」
「してたんですけど……」
そこからマツダ君はポツポツと話してくれた。大学の友達との喧嘩のこと。ついカッとなって、大学卒業までに小説家としてデビューする、という途方もなく無茶な宣言をしてしまったこと。後に引けず、それからなんとか小説を(それも普段読まないし書かない純文学を!)書こうと奮闘しているが、あまり筆が進まないこと。
「なるほど。つまり喧嘩してから友達とは会うてないし話もしてへんし、就活もやめてもうて小説の執筆に奮闘しとったら、それが親御さんにバレて仕送りストップ。小説を書きたいからバイトの時間もあまり増やせへんし、餓死しそうになって今に至る、と」
「俺の苦悩をざっくりまとめすぎですよ……」
マツダ君が再度テーブルに突っ伏す。その旋毛を見ていると、なんだかもっといじりたくなってくる。
「普通こういう時は相談に乗ってくれるものじゃないんですか……」
「相談には相談料いるで。一時間一万円」
「たっか……金欠で餓死しかけてる常連客への対応ですかそれ……」
「最近来てくれへんかったやーん。それに、人生の大先輩の話が聞けるなら、一万円なんて安いもんやと思うで?」
マツダ君は突っ伏したまま、くぐもった声で、「アヤノさんのニヤケ顔が見える……」と答えた。なんや、良く分かっとるやん。
私はニッコリと笑って言った。
「マツダ君」
「なんすか」
「青春しとるね!」
「だからざっくりまとめすぎですってえええ……」
マツダ君の抗議の声は、相変わらずくぐもっていた。
それから、マツダ君はしばらくの間静かに読書をした。読んでいるのは、席の近くに置いてあった、いわゆる〝文豪〝と呼ばれるような人達が書いたような名作文学や、近年どこぞの文学賞を取ったような人気作家の作品などなど。何冊かをテーブルの上に積んで、あっちをパラパラと読んではため息をつきながら閉じ、こっちをサラサラと捲っては頭を抱えていた。
洗い物を終えた私は、偵察がてら、マツダ君のコップに水を継ぎ足しに行く。
「進まんねぇ」
マツダ君は弱々しい顔で頷いた。水を継ぎ足したばかりのコップを手に取り、チビチビと飲み進める。
「面白くないわけじゃないんですけど……やっぱり、いつも読んでるものとはジャンルが違いすぎて、なかなか読み進められないです」
マツダ君はそう言うと、水をグイッと飲み干し、ごちそうさまです、と言いながら立ち上がった。
「もう帰るん?」
「はい……早く帰って、少しでも書き進めないと……」
そんな状態じゃ、いくら画面の前でにらめっこしたところで進まないやろ、と思ったけど、黙っていた。
お会計のために、レジを挟んで向かい合う。ふと、レジ横に置いている卓上カレンダーが目に留まった。店の定休日を書き込んで、お客さんに見てもらうためのカレンダーだった。それを見て、はたと気づく。
「マツダ君、今夜暇?」
「え、はい、まあ」
「今夜、飲みに来ぉへん?」
「あ、すいません。俺、酒ほとんど飲めないんすよ……」
マツダ君が肩をすぼめる。私は笑って告げる。
「お酒やのうて、珈琲よ」
その日の夜、マツダ君が恐る恐るといった風に店のドアを開けたのは、約束した夜8時の少し前だった。この時間は、いつも閉店してしまって店内は真っ暗だ。ただ、今夜は半分ほどの明かりをつけていて、ほんのりと明るくしていた。
「いらっしゃい」
「お邪魔します……」
「ふふ、なんやねんそれ。さあ遠慮せんと、入った入った」
マツダ君を店内に招き入れて、入り口ドアに鍵をかける。ドア内側の小さな看板は、ちゃんと〝CLOSED〝の面が外から見えるようにかけている。マツダ君の表情の中の緊張度合いが、少しだけ強くなったのが良く分かった。
マツダ君を〝STAFF ONLY〝と書かれたドアの奥へと手招きする。「えっ、良いんですか」と戸惑うマツダ君に、「店長がええってゆうとるんやからええに決まっとるでしょ」と言って、さあさあ、と背中を押した。
扉の向こうは簡単な事務室になっている。億劫で仕方ない事務処理や経理の作業をしたり、在庫の本を保管しておいたり、そういった何でもござれなバックスペースだ。
ただし、今夜の目的はこの部屋ではない。事務室の奥にある別の扉の外に用がある。
扉を開けて、マツダ君と二人で外に出る。その扉はこの店の外へと出られる勝手口になっていて、その外には、小さいながらも空き地が広がっていた。今日は月が明るいので、月明かりで近くを大体見渡せるほどだった。秋も深まったこの頃は、雑草も夏の頃の元気の良さはどこへやら。足にまとわりついて不快になることのない長さで成長を止め、枯れ行くままに身を任せていた。
そしてそこには、私が今夜のために用意した、折り畳みの椅子が2脚と、小さなテーブルが1つ。
「ここや。ここで珈琲でも飲もか」
「はあ……」
「ちょっと座って待っとって~」
マツダ君を置いて、再度店の中へと引っ込む。キッチンで二人分の珈琲を入れる。私の分はうんと私好みに、マツダ君の分は知りうる限りマツダ君好みになるように、淹れ方を変えた。
小さめのお盆に二人分の珈琲を載せ、それからクッキーを載せた小皿も載せて、マツダ君が待つこの店の〝なんちゃって庭〝に運んだ。
「はいお待たせ~」
マツダ君は椅子に座り、ぼうっと月を見上げていた。私がお盆をテーブルに置くと、私を見て、「今日は良い天気で気温もちょうど良いし、月が綺麗に見えますね」と言って、ようやく少し笑った。「せやろ」と、満面のドヤ顔で返した。
「毎晩ここで珈琲を飲んでるんですか?」
「まさか~。マツダ君、今日はめっちゃ特別な日なんやで。分かっとる?」
「特別?」
私はドヤ顔を更に強めて、指を立てて数えながら、宣言した。
「今日は! ハロウィンで! 満月で! 大安なんや! しかも晴れ!」
マツダ君は少し固まった後、「え……、それで?」とのたまった。
「えええええ嘘やん? こんなんテンション上がらん訳ないやん! こんなん生きとって1度あるかないかやで!」
「そうですね……それ聞いたらなんか凄い気がしてきました」
「〝なんか凄い〝んやのうて、〝確実に凄い〝やろ。〝確実に〝」
はあ~っ、まったく、と、大きな溜め息をつきながら、やれやれ、と首を振った。マツダ君は珈琲を飲みつつ、積極的にクッキーへと手を伸ばしていた。まだ腹減っとんのかい。クッキーの皿を、少しだけマツダ君の方へ押しやった。
「うちのレジの横、カレンダー置いとるやろ? あそこに月の満ち欠けも載っとるんよ。それで、満月で、おまけに晴れてる日は、ここで珈琲飲むのが好きなんよ」
「何かの儀式みたいですね」
「ルーティーンいうてや」
それにしても、今夜のコンディションはいつになく抜群だった。晴れていて、雲も少ないから月も良く見える。気温もちょうど良く、時々涼しい風が優しく吹いてくる。秋の虫の音も耳に心地よい。こんな〝秋〝らしい〝秋〝は、数年ぶりな気がする。まるで外でのんびりするために特別に用意された夜みたいや。こんな日にマツダ君をお招きできて鼻が高い。
「来てもらっておいてなんやけど、大学生はハロウィンは仮装してバカ騒ぎするんとちゃうの? 渋谷行かなくてええの?」
「そんなのごく一部だけですよ……」
「マツダ君」
「はい」
「Trick or Treat!」
「どうぞ」
「いやそれうちが用意したクッキーやんか! 貰うけど!」
マツダ君の手からクッキーを受け取り、口に放り込む。「食べるんかい」と言ってマツダ君がケラケラと笑う。少しは元気が出たようで安心した。
それから暫く、珈琲を飲みつつ、他愛もない会話を楽しんだ。お互いの好きな本の話から、本が好きになった切っ掛け(私は実家のすぐ近くに図書館があったから、マツダ君はお母さんの絵本読み聞かせが切っ掛けだった)、あの本屋はどの分野が強い、あの本屋は面白いフェアを頻繁にやっている、本は紙派か電子派か、推している出版社、本を読むのに好きな環境(私は自宅のソファ、マツダ君は電車の中だった)、などなど。
色々話をしてから、昼間のマツダ君の悩みについての話になった。
「うち、職業柄、本が好きなだけやのうて、たくさん読んどるうちに自分でも小説を書いてみたくなった~って人を、何人か見てきたんやけど」
本が好きで、人と話すのも好きだった。だから勿論、人と本の話をするのも大好きだった。
今まで話してきた、〝小説家志望〝の人達のことを、思い起こす。
「その人達、皆、こんな話が書きたいんだ~って話すとき、めっちゃ良い顔してんねんな。ほんで、実際に書き始めた人の話を聞くと、書きたくて堪らなくなったから書き始めたって、照れながら笑うねん」
そういえばあの子は、大学を卒業すると同時に田舎に帰ってしまった。元気にしているだろうか。もし、彼女がデビューを果たしていたら、そうとは露知らず、その子の作品を読んでいた、なんてことも有りうるだろうか。
「マツダ君はさ、今書こうとしてる話について話すとき、あんまり良い顔してへんのよ。それに、書きたくて堪らなくなったから、やのうて、書かなアカンから、ゆうて書こうとしとるやろ? そこがちゃうと思うねんな、うちは」
マツダ君は、手に持った珈琲を見つめたまま、黙って私の話を聞いていた。やがて、口を開く。
「……確かに、今は、書きたい、よりも、書かなきゃ、が、強いです」
「せやろ。だからな、そんな純文学に拘らんと、自分が書きたい話を書いたらどう? マツダ君て、どんな話を書くのが好きなん?」
「話というか、俺、台詞を書くのが楽しいみたいです。つい、場景描写よりも台詞の割合が多くなりがちなんですよね。会話劇というか。登場人物達の軽快な会話というか。そうして書いて読み返してみると、純文学よりも、ラノベに近いなってなるんです」
「それでええやん」
私は微笑んだ。
「マツダ君が本当に書きたい話を、書いたらええと思う。うちは、ね」
マツダ君は、少し考える素振りをしてから、「……そう、ですね。少し、考えてみます」と答えてくれた。
夜も更けてきて、珈琲もすっかり冷めてしまい、段々と肌寒くなってきたところで、秘密の夜会はお開きになった。
「何がなんでもって訳やないんやけど、うちがこうやって時々外で珈琲飲んどることは、あんまり言いふらさんでもらってもええ?」
「良いですよ。なんか魔女っぽいですもんね」
「ちゃうわい。自分だけの密かな楽しみにしておきたいねん」
「え、それに俺を誘っちゃって大丈夫だったんですか?」
「マツダ君は特別や」
ウインクしながら、「美人のお姉さんと秘密の共有。ドキドキするやろ?」と言うと、マツダ君は、「俺を励ますために誘ってくれたんですよね……ありがとうございます」と感極まった風に言った。私は、「いやスルーかいな」と、マツダ君の肩をはたいた。
店内へと戻りながら、「余ったクッキー、持って帰る?」と聞くと、マツダ君は「良いんですか! やった!」と言って満面の笑みを浮かべた。クッキーごときで可愛いな、まったく。
残りのクッキーを紙に包んでいる間、マツダ君は店内の本棚を見ていた。そして、「アヤノさん、本、何冊か借りてっちゃ駄目ですか?」と聞いてきた。私は「かまへんよ~」と軽く返す。普段は貸し出しサービスなんてやってないけど、マツダ君なら大丈夫やろ、と思った。
包み終わったクッキーを、マツダ君に差し出す。マツダ君の手には、純文学の文庫が何冊かと、ライトノベルが1冊、抱えられていた。
「ほい。家着くまでにお化けに会ってもうてTrick or Treat言われたらこれ渡し」
「はいはい」
そう軽く流しながらクッキーを受け取ったマツダ君は、「あの、今日のお代は」と聞いてくれた。
「ええよ。うちが誘ったんやし」
「でも、お昼の時も、カフェオレサービスしてもらっちゃったし」
おお、ちゃんと気づいとったか。
「ん~、せやなぁ。確かに今日は色々サービスしてもうたし、本当なら相談料ももらわなアカンしなぁ」
ニヤニヤしながらマツダ君を見ると、「……金欠なので、お手柔らかに願います」と、ビクビクしていた。
「読ませてくれたらええよ」
「へ」
「小説。今書いとるのが完成したら、読ませてや。そしたらチャラでええわ」
「ええ~マジすか……。そんな見合うものが書けるかどうか、分かんないんですけど……」
「ええのええの。マツダ君の小説には、ドリンク100円引きクーポン10枚綴り以上の価値があるから」
「なんすかそれ」
「それに、楽しみに待ってる読者がおった方が、筆が進むかもしれんやろ?」
「それは、まあ……」
「決まりやな」
私はニヤリと笑う。「約束やで」
帰っていくマツダ君の背中を見送って、ドアを閉めた。使った珈琲カップや小皿を洗いながら考える。
晴れた満月の日に、外で珈琲を飲むのを始めたのは、春ぐらいのことだった。それから何回も行っている、いつもの行事だったけれど、今日の珈琲はいつもより一層美味しく感じた。
珈琲豆や淹れ方はいつもと同じ。天気が良かったけど、まあそれもいつもと大した差はなかった。
珈琲に限らずやけど、誰と、何の話をしながら、どんな気持ちで飲むかで、美味しさが全然ちゃうねんなあ。
当たり前のことだけど、それを実感して噛み締める。
今夜はハロウィン、満月、大安。その上、晴れ。
更に、マツダ君と一緒の夜ときた。
これは、ほんまに、生きとって1度あるかないかの、特別な日やったなあ。
思わずにんまりする。
洗い物の手を止め、手を拭いてから、レジ横のカレンダーを手に取る。ページをめくり、来月の満月の日を確かめる。
晴れますように、と、心の中で誰かに向けて祈った。
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