第3話 スターになりたいの。誰もが振り返るようなスターに
# 3
— ノートの切れ端 —
「スターになりたいの。誰もが振り返るようなスターに」
青い空、反転した窓枠、コーヒーの香り。ベッドに寝転がっていると、拙いアルペジオが聞こえてくる。
「今は冷たい路上の上、いつか私はスターになるの」
彼女の強い眼差しが、今もどこかに残っている。僕は時折その在り処を確かめる。そして、その輪郭が、まだなんとか掴めることに安堵する。溜息の上を行くボート。どれくらい進み、どれくらい戻ったのか、何を得て、何を失ったのか、そんなことばかり考えてオールを漕ぎ続けている。
「望み通りの存在になれ、そうならねばならぬという存在ではなく」これは誰の言葉だっけ? ぱらぱらとページを捲りながら、白い紙の上で映写機を回す。スクリーンにいくつもの海が現れる。太平洋、大西洋、いくつもの湾、波、水飛沫。それらはすべて微細な水素分子の塊で、何かの象徴で、誰かの息遣いで……でも結局はみんなシノニムに思える。どこにもない海は、もう、どこにもないのだろうか?
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