第10話

 目が覚めて、自分のベッドの上だった事に酷く安堵したのを覚えている。


 そう、今までの事が全部夢で、朝起きたら会社に行って……とか考えていたけど、どうやら今日は土曜日らしい。会社は休みだ。スマホが嘘をついて居なければ。


 ふとベッドの下を見ると、床にごろ寝しているエリスさんを見て息が止まるかと思った。


「というか、やっぱりエリスさん可愛いよな……」


 っと、違うそうじゃない。違くも無いんだけど、そう、とりあえず今は違う。


「はぁ……身体に悪いな。色々と」


 エリスさんは俺の服を着てるし、下着付けて無いし……。


 良し!気持ちを切り替えよう!メニューオープン!って頭の中で念じてみる。


 すると、出たよ。出ちゃったよ。あ――、夢だけど夢じゃ無かった的な奴ですよ。

 いや、エリスさんが居る時点で夢では無いんだけどね?


 ・スキル


〇異世界移動  1/1

〇鑑定     1/1


 異世界移動が回復してるな。という事は、やはり一日でスキルが回復するって事か。




 さて、そうしたらこれからどうすべきか。


 昨日エリスさんが言った通り、向こうの世界に行くべきなんだろうな。とは思う。だけど、少し準備してからにしよう!流石にノーアイテムは無理げー過ぎる!


 という事で、今日は買い出しに行こうかと思う。いやだって、ほら……エリスさんの下着やら普段着やら揃えないとだし……。あ――、出費痛いなぁ。なんて思っちゃ駄目だな。

 だって、こんなに可愛い子に課金出来るんだ!そう思えば!



 課金は無いか。見返り無さそうだしな……。つっても、買い物は行かないとな。流石に床に寝て貰うのは気が引けるし。布団位買うか。俺が下に寝よう。


 さて、じゃまず、エリスさんが起きる前にシャワーでも浴びるか。



 シャワーから出ると、エリスさんは既に起きていた。


「あ、お早うございます。シャワー、良かったら使って下さい」


 そう言って新しいタオルを用意した。ついでに今日着てもらう透けなそうなしっかりした生地のシャツと小さくなってしまっていたジーンズ。靴は……サンダルしかないかぁ。


「お気遣いありがとうございます。ではお言葉に甘えて」


 そう言ってエリスさんはシャワーに向かった。


 さて、何処に行くか。人が多い場所は避けたいけど、まぁ、ショッピングモールなら午前は混んでないだろう。


 今の時刻は8:00だから、十分時間はある。


「うっし!そしたらとりあえずコーヒーか!」


 とはいえ、風呂上りに熱いコーヒーは飲めないから、冷蔵庫から缶コーヒーを取り出し、一気に流し込む。


「コーヒーとかって異世界にもあるのかな……まぁ、あるにしても、まず金策を考えないとな。また怪しいって理由だけで投獄されるのは勘弁だぞ……」


 もう一度異世界に行ったとして、復帰地点が牢屋のままなら即帰還だな。その為には、日付が変わる前に異世界に行って、向こうで日付を越えればスキル回復してて帰って来れるな!良し!これでいこう!



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